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3話

「と……一階層は粗方、狩り尽くしたか」


 ナビィの言葉通り、一階層の敵は弱かった。

 いや、世間一般的に言えば弱くは無いんだが……最高でCランクとなれば大して脅威にはならないからね。ゴブリンジェネラルにオーガナイト、レッドウルフなんてものもいたけど普通に倒せてしまった。ゴブリンジェネラルなら防御力、オーガナイトなら攻撃力、レッドウルフなら速度がかなりのものだったけど……。




「お前、意外とチート性能だったんだな」


 能力が無いから弱いと勝手に思っていた。

 でも、振るってみて感じたが驚く程に軽くて、初めて握ったとは思えない程だったんだ。加えて当たれば一撃必殺と思えてしまう程に容易く敵の体を引き裂いてしまう。一番の驚きは重装甲とも思えたゴブリンジェネラルの鎧を斬った事か。


「ステータス」




 ____________________

 名前 タイガ

 職業 魔王LV13

 年齢 10歳

 レベル 25

 HP 500/4100

 MP 1000/4600

 物攻 E(2180)

 物防 E(2180)

 魔攻 E(2180)

 魔防 E(2180)

 速度 E(2180)

 幸運 S(100)

 固有スキル

【ガチャ】【状態異常無効】【魔眼:鑑定】

 スキル

【料理LV10】

 魔法

【黒魔法LV10】【白魔法LV10】

 ____________________




 レベルだって驚く程に上がっている。

 それでも、俺の中で休んでいるアドラメレクよりも数十段と劣るのはアレだが……まぁ、出したところで俺の出番が無いだけだし十分な結果だと思おう。実際、俺の言う事を聞いてくれるかだって分かりはしないし。


【アドラメレクは既にタイガ様へ忠誠を誓っておりますので問題はありませんよ。とはいえ、彼の悪魔は他者を蔑むプライドの高さがあります。頼み方によっては不遜な返答が来る可能性もあります】


 問題が起こる前に教えてくれて助かるよ。

 なるほど……そこら辺は部下を扱うような感じだろうな。女性はセクハラに気を付けなければいけないが、男性はプライドを傷付けないように接しなければいけない。上手く扱うというのは前提を理解しているかどうかだ。そこら辺を履き違えた瞬間に不必要な人材に変わるだけ。


「まぁ、今は話も変わってきた訳だけど」


 俺自身が戦える事は今回の戦闘で分かった。

 とはいえ、その強さは明確な付け焼き刃……一階層から離れた瞬間に通じるか分からなくなる。ステータスがどうこう、胆力がどうこうの前に剣の振るい方すら真似事の俺には先へ進むだけの権利は無いだろう。


 はぁ……ナビィ、正しい情報を教えてくれ。

 道中に大きな扉があった。その先は地図にも映っていないあたり次の階層に続くと考えている。そこで聞きたいのは階段の前に敵がいるか、次の階層に進むと戻れなくなるか、それと一階層の魔物は新しく発生するか、だ。


【地図に映っていない空間かはボス部屋と呼ばれる階層ごとに置かれた強敵のいる空間です。倒す事で多くの魔素を撒き散らすため、倒す度に同階層の魔物を発生させます。加えて戻れなくなるという事もありません】


 有力な情報に俺の持つ知識を重ねればいい。

 どこまで行っても擦り合わせだ。加えて自分で考えようとしない存在は確実に会社の御荷物となっていく。そのヒントさえ、与えて貰えたのであれば先の事は俺自身が考えるべきだろう。少なくとも一階層の魔物を狩り尽くした手前、考えるべきは次の階層へ進むための準備だ。


 その点で言えば、今の情報はかなり役立つ。

 それこそ、狩り尽くした今の状況ではレベル上げこそ出来ないが、代わりに安寧の時間を与えて貰えているんだ。先に進むとしてもアドラメレクを出せば良いと考えれば対処は難しくない。問題点はボス部屋で現れる存在の強さを理解出来ない事くらいかな。


 とりあえず、ボス部屋の前まで歩いて腰を着く。

 この扉を開ければ次の階層を開くための魔物が現れるみたいだ。ハッキリ言って、進みたいかと聞かれれば間違いなく首を横に振る。不確定な情報しかない状況、加えて進めば逃げるという選択肢を奪われるというのは問題だ。かと言って、ここで待っていてもジリ貧な事には変わりない。


 そうなると、打開策となりそうなのはガチャだ。

 今、欲しいのはアドラメレクのような眷属や無名の剣のような得物では無いな。選べるのなら守りを固められる防具だけど……そこら辺は狙って出せるとは思っていないから近しい何かが出てくれればとは思っている。


「ふーん……虹が一個だけか」


 いやいや、一個でも出ただけ十分か。

 回したのは無償ガチャ、要は当たる確率が低くて当たり前のものでしかない。それで一個でも当たった時点で運が良い方だろう。ってか、十連で当たる時点で運が良くないなんて誰も言えないからな。天井を何回も味わった俺からすれば一個でも当たるだけで少しは気が楽になる。


 とはいえ、他の物を確認しないのもおかしいか。

 大丈夫ですよ……俺は出てきた全てを大切にすると決めているんだ。出来れば美味しい食事が出てくれると嬉しいけどさ。使えそうな物は有効活用させてもらう。だから、良い物が出てくれると嬉しいんだけど……。




「なるほど……いや、悪くない、のか……?」


 虹から出たのは『仮説拠点』というものだった。

 説明ではテントらしいけど……いいや、詳しい性能は入口に戻ってからにしよう。あそこなら広いから仮に大きくても問題は無いだろう。それよりも問題なのは他のガチャ結果だけど……いいや、確率としては悪くない成果だったよ。


 金が二個、銀が一個、赤が三個、白が三個だ。

 ただ……金で出たのはスキル玉と呼ばれるもので割らないと分からないとかいう……ハッキリ言って、ガチャからガチャが出たみたいな感じだな。まぁ、今の俺には力が必要だから後で使いはするけど問題は銀か。


 銀から出たのは『蒼天の白衣』だった。

 能力としてはステータスの補助、加えて魔法展開の際の補助が付くらしいけど……イマイチ、強さが分からないんだよな。無名の剣を見た後だからか、ステータス補助のプラス値二百の凄さがよく分からない。無いよりはマシだからいいんだけどさ。


 他は……おっと、俺の願いが届いたみたいだ。

 赤の二つは肉類、白にも肉が一つある。もう一つの赤は醤油だったけど……そこら辺も出してくれるのは嬉しい話だ。残りの白がキノコの詰め合わせと野菜詰め合わせなのも個人的には嬉しい。今日の夜ご飯は楽しめそうだ。


「待っていろよ。すぐに壊してやる」


 扉の先に何がいるか、楽しみだよな。

 死ぬかもしれない……でも、あの世界での俺は生きているようで死んでいたんだ。今は間違いなく生を実感出来ている。この生の脈動を確かに確認出来ているんだ。それなら、この先にある世界だって楽しまないと申し訳ないだろ。


 俺は死んだ。そして新しく生まれ変わったんだ。

 なら、次は同じ轍を踏まないように楽しむだけの強くてニューゲームを進むだけ。あの世界で学んだ事は間違いなく生かされるだろうからね。だからこそ、さっさと薄暗い空間からは抜け出したいんだよ。

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