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ちびっ子ボディのチート令嬢は辺境で幸せを掴む  作者: 紫楼
二章

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間話  ルドガーの想い

  


 最近屋敷の中もグレーデンの騎士達も以前より活気があるようになった。

 元々血気盛んで騒がしく、能天気な連中が集まってる辺境だからそれ以上に元気ななるとは予想もしてなかったが、王都からやって来た小さな少女が大きな変化をもたらしてくれた。


 長男とその嫁が自分達のペースで仲良くやっているのを見て、ワシは思わぬ出会いでいきなり日々が変わった妻との出会いを思い出した。


    ◇◇◇


 まだ爵位を継ぐことなど想像もしていなかったころ、面倒な事だと思いながらも王都の学園に入り、タウンハウスから騎士科と領主コースに通っていた。

 領主コースは次男以下でもスペアとして受けることがある。なにせウチは危険な辺境領であり、広大なので分家として小領地を預かることらなるから。下の弟たちも同じ教育を受けた。


 ある日、友人に夜会に連れ出された俺は、華やかな王宮でのやり取りにすぐうんざりしていた。

 すでに体格も出来上がっていて大柄な俺は温室育ちの都会の令嬢からは一歩引かれていたし、アクセサリーやドレスの話、香水の匂いにも辟易していた。


 辺境には居ないタイプの女性陣に慣れず、学園でも遠巻きにされていたのだから夜会での出会いなど期待すべくもない。

 いずれ領地の親戚筋からの紹介で気の良い女性と娶せれば良いと言われているからあせりもなかった。


 辺境伯家と言う地位を目当ての令嬢が寄ってこない事も無かったが、グレーデンの地でやっていけそうもない細腰の、少々オツムが弱そうな娘など早々に逃げ出すに決まってるので相手にもしない。


 親戚や従姉妹とダンスを踊った後は、仲間と食べ物や酒を楽しむのが常だった。

「あの!私と踊っていただけませんか!」

 突然声を掛けられたがまさか自分にだとは思わず、隣にいたロジャーに目を向けると首を振られて「お前だよ」と言われた。


 改めて令嬢を見ると気の強そうな眼差しでしっかりと俺を見ていた。

 令嬢は煌めく金髪を綺麗に飾り、派手すぎず品の良いドレスを纏っていて、あまり美醜に拘らないはずの俺から見てもかなりの美しさに感嘆を覚える。

「俺で宜しいのかな?」

「はい!」

 俺が手を差し出すと彼女はそっと手を置いて俺を見上げて艶然と微笑む。

 ニヤつくロジャーに見送られてダンスの輪に入る。


 腰に手を添えれば彼女の細いがしっかりした身体がそっと寄り添ってくる。

「・・・逞しい」

 小さな声だったが確かに彼女がそう呟いた。

 彼女の花の香り?(花や化粧の香りなんぞよく知らん)が微かに薫って、合間にほんの少し接触する豊かな胸に少し動揺した。


 曲の中盤に、

「グレーデンさまはお心に決めた女性はいらっしゃいまして?」

「いや・・・」

「でしたら私を候補に入れてくださいませんか?」

 俺の目をしっかりと見上げる彼女は、以前に会った地位目当てにと浮ついた令嬢のような思惑を感じさせず、その目に宿った熱い炎をは俺の体の芯をカッとのぼせさせた。


 誘いに驚いてすっかり忘れていたが、彼女はスノウリリィ・アーデルリンク、侯爵家の令嬢だと名乗った。

 要するに地位など当てにするような家格の娘では無かった。


「ふふ、端ないとお思いでしょうが、私はひ弱な男性が嫌いですの!ルドガーさまのようにカッコいい方に憧れているのに婚約の打診は顔が青白い細い方や自意識過剰な貧弱な騎士だったり、あとは俺様?という嫌なタイプの人でしたのよ!」

 おお・・・モテモテではないか、と思ったのが顔に出たのか令嬢はちょっとむくれる。

「私は体を鍛えているがっしりした人が良いのですわ!好みでない人から申し込まれてもまったく有り難くないのですわ」

 自分の意見をはっきり言い、強面な俺にきっちり意見を言える彼女に好感を持った。


 だが王都の令嬢に辺境はやはり厳しいと思う。


「・・・まずはお互いの事を知る事から始めようか」

 そう伝えれば勝気な彼女はニヤリと笑った。

 彼女はまだデビューしたての15歳。俺は18歳。

 この先気が変わるだろうと軽く考えていたが、定期的に会い、ご両親を乗り気にさせ、家族でグレーデン領に遊びにくるなどして、あっという間に辺境の地に馴染んでいった。

 俺の両親とも騎士団の連中とも打ち解け、一年も立たないうちに正式に婚約することになった。


 社交界の中でも人気に高かったスノウリリィが、辺境の粗野な俺が気に入った事はかなりのインパクトだったようで、適齢期の男性陣はしばらく荒れていたと聞く。


 スノウリリィの卒業を待って結婚して彼女は辺境に嫁いできた。

 領地の仕事も手伝ってくれて、俺たち一家の苦手な社交もこなしてくれて、辺境領のイメージを向上させてくれた。


 後になぜ俺を選んだのかと尋ねたら、

「私にとって一番素敵な男を選んだだけですのよ♫」

と言われて驚いた。彼女の価値観は少しズレてるようだ。


 それから大変な時期も幾多あったが3人の息子に恵まれ、少し早めに楽隠居をさせてもらった。



 ◇◇◇




 隣でニコニコと甘味を食べる妻を見て、ワシは幸せを噛み締める。

 出会った頃と変わらず美しく可愛らしい最愛の妻には今も敵う気がしないが感謝しきりじゃ。

 今日もリーシャが美味しいものを思い付いたとルルゥとともに調理をしている。

 ワシもジュリアスも思わぬ流れで嫁を貰うことになったが、とても幸せなので良かった。


 どうやらリーシャにもジュリアスがカッコよく見えるようだ。

 スノウリリィと一緒で好みが変わっているようだが本人が良いなら問題ない。


 下の息子たちも良い出会いがあると良いのだが・・・



 



 

______________



 お義父さまは若い頃自分のことは「俺」「私」を使い分けていて、少し歳を経て「ワシ」と言うようになった。威厳を出したかっただけらしい。



 他にサーキスさんとかオジサマのお話も書きたいけど悩み中。

 



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