236話 「美味しいの」のジェラシー
帰りの道中はクラウスさまとルルゥが楽しそうに会話してるのを聞いてた。
ルルゥも馬に騎乗で、キッチン馬車は馬番のドーリーが馭者。
新車を見せびらかしはするけど運転はしないんかーい!って馬と馬車じゃ勝手が違うよね。
自動車作るのは流石になぁ。
せっかくならバイクも乗ってみたいけど、免許を取ってなかったから怖いよねー。バギーとかなら乗れるかな?
……結局セリウスさまとクラウスさま、お義父さまがヒャッハー!する未来しか見えないかも。
「でねぇ、あの子達って私の顔見たら「美味しいのが来た」って言ってたじゃない?今回も人気者だわってちょっと楽しみにしてたのに向こうのコックは熊獣人でしょ?美味しいものを作る熊には私、人気で勝てなかったわけよぉ!」
ディードさんは大柄だけど優しいから子供たちがずっと着いて回ってたよね〜。ほのぼのだったよ。
料理の腕じゃなくて人気で負けちゃったらしい。
でもルルゥの作った物をすごい勢いで食べてたし、お菓子も大喜びだったし人気者だったじゃんね。
「まぁーさー。毎日いる人に懐くのは仕方ないと思うよ」
「え〜、そうだけどねぇ、なんか寂しいわぁ」
私の言葉にルルゥはちょっとだけしょんぼりしてる。
「うちのお義母さまに大人気だからいいでしょ〜」
下手したら食事とデザートで家族で一番食べてる可能性があるよ。
お肉をセーブしてケーキって雰囲気でもないし。
「もう〜大奥様の胃袋は絶対に離さないけどぉ〜、子供達につけてもらった〈美味しいの〉ってあだ名も捨てがたいわぁ」
馬上でくねったらお馬さんに迷惑だよ!
「ディードさんは〈美味しいの〉じゃなかったし〈熊おじさん〉だったからいいじゃないの」
ビ◯ードパパとかス◯ラおばさんとかみたいでほっこりだよ。
途中でポム効果で原っぱに変わった草が生えてるって騎士さんが声をかけてくれたので確認がてら休憩を取ることに。
草が1mほど伸びてるのでクラウスさまが私を抱き上げて運んでくれた。
「わぁ、ここって前回は地面剥き出しでしたよね?」
クラウスさまに聞くと、
「んー、なんかね、花見以前から少しずつ雑草が生え始めてたんだよ〜」
って。アズライトの池やポムたちの豊穣の舞が広範囲で影響してたのかな?
「あ、ルルゥ、これお茶にできるハーブだよ」
こんな背丈あるんだね?いや異世界仕様かな?
「お茶?」
「青色のお茶になるよ」
マロウブルーっぽいやつが群生してる!ちゃんとレモン系ので色が変わるって鑑定さんが言ってる!
綺麗だね〜。
「じゃあ、サクッと摘んでいきましょねぇ」
これだけ群生してれば欲しい時いつでも採りに来れそうだ。
乾燥させないとだから後日試そう。レンチンか魔法でもいけそうだけど、そう焦ることないしね。
他にもエルダーフラワーっぽいのが数種類。お肌を整えくれそうでいいね。
うーん、イケメンマッチョたちがお花畑で楽しそうにしてる図。面白いかも。
ポムたちが暇して追いかけっこを始めちゃったりしてたけど、ルルゥがお茶を入れてクッキーを出してくれたら、結構遠くからダッシュで戻ってきた。めちゃくちゃ鼻がいいよね?
「でね〜、デイジー嬢ってば「ここは食糧が自分からノコノコやって来て捕り放題で天国です」って言うのよぉ〜」
デイジーさんはルルゥにかなりインパクトを与えたみたいだ。
「あの子、ディゴーで面接した時に出来えるだけ田舎に行きたいって言ってたよー」
「ああ、スコット領はかなり田舎よね〜」
「王都の学園寮生活、苦痛だったみたいだよ。食事が高いし、味がえぐいって〜」
クラウスさま、デイジー嬢とは結構お話ししたのかな。
「狩りができなくて辛かっただけかもねぇ☆」
確かにあの投げ縄の技術が相当だったよ。
「ジョイもホークも村の食事がうますぎてとか言ってたから村から出て行きたくなくなったかもね〜」
ま、あの村にはまだまだ人が増えそうだから教師が4、5人いてもいいと思うけど、他の地域も必要だから困っちゃうよ。
屋敷に到着したら、ちょうどジュリアスさまたちが帰って来てたので一緒にお部屋に戻った。
「リーシャ、どうだった?」
ジュリアスさまがフーゴの村でのことを聞いて来たので、デイジー嬢のことを話したら、
「アンゼリカと気が合いそうな女性だな」
なんて笑って。
アンゼリカさまとは系統が違うと思うけど、確かに強そうかも?
「どちらかというとマデリーさまかなって思います」
「そうか?」
食堂ではすでにクラウスさまががお義父さまたちと村でのことを話してた。
畑のことや子供達のこと、獣人っ子たちのことも。
でもやっぱりデイジー嬢のことが出ると興味が集中しちゃう。
「あらあら、そんなに面白いお嬢さんがいるならセリウスかクラウスと結婚してくれないかしらねぇ」
お義母さまが結構気に入っちゃったみたい。
「えー、僕は大人しめの子が好みだよー」
「俺は結婚はまだいい〜」
お二人とも貴族男性としては晩婚になりそうだけど全く気にしてない。
「あの子だったら、騎士じゃなくて村の人間とあっさり結婚しちゃうんじゃないかしらぁ」
ルルゥがパスタを運んできて会話に混ざる。
「あらそんなお相手がいたのかしら?」
「いーえぇ、ただあの子は貴族生活が好きじゃないっぽかったからぁ?」
お義母さまが残念そう。
でもセリウスさまもクラウスさまも貴族然としてないし、気が合えばアリかも?
「こんな辺境に家を捨てて来るくらいだから確かに貴族に未練はなさそうだよー」
でもマッチョに怯えなくて、魔獣にも怯まなくて、ナタにビビるどころか自分でも縄を投げちゃうような女性、なかなか居ないから他の騎士さんにでも嫁いでくれたらありがたいね。




