表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ちびっ子ボディのチート令嬢は辺境で幸せを掴む  作者: 紫楼
二章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

104/166

102話 父の事情と真実。

 私の言葉で場がシンっとなる。


「そんな目で私を見るなァ!ナタリアもあのババァも俺を見下しおって!!」

 ハゲ親父が目を剥き出して唾を飛ばし騒ぎ始めた。トラウマスイッチに触れちゃったかな?

「ナタリアには俺が最初に目をつけたのだ!それをカイダールなんぞに!!」

 何それ。キモ。

「挙句路頭に迷うところを妻にしてやったというのに俺を拒絶しおって!」

 実家と不仲じゃなかったみたいだから路頭には迷わなくない?


「いい加減に黙れ」

 陛下がそう言うと護衛が親父を押さえつける。

「リーシャ夫人、これに触れてみてくれ」

 陛下に渡されたのはバンクル型の魔道具。封印?じゃなくて鍵かな。鍵が掛かっていて掘り込んだ魔石の上に隠蔽する用みたいな魔法陣が書き込んである。

 解呪の術式を魔力で書き込むとバンクルが淡く光って映像が浮かび上がった。


『これが君のところに届くことを願って・・・ナタリア、君の元に帰れなくてごめん。子は無事に産まれたのだろうか?君はどう暮らしているのだろう?・・・僕は先日急に自分のことを思い出して状況を整理してみた・・・レイドラアースを出発して11年経っていた・・・国を出る時に馬車に細工が見つかったり馬具に遅効性の毒が塗ってあったりで、色々問題を排除して出てきたつもりだったが。まさか護衛が誘導香を持っていて途中でそれを発動されるとまでは予想できなかった』


 誘動香は魔獣を引き寄せる所持使用を禁止されている物だ。

 映像の中の男の人は黒髪でカッコいいんだけどちょっと可愛い感じの人。ハーボットの人たちには全然似てないな。

 そしてちょっと顔色が悪い。


『じきにアルモンドに入るというところで魔獣の襲撃に遭い馬車ごと川に落下した・・・大怪我を負い川辺で意識を無くして倒れていたところを近くの村の住人達に救われたそうだ。僕の他には人はいなかったと聞いた。僕は記憶をなくして、怪我が治った後に看護してくれていた女性アルマの元で夫として彼女の息子アーレンと家族として暮らしている・・・君には何て伝えたらいいんだろう。過去の記憶がない中で、何のしがらみもない日々の暮らしを維持するのに精一杯の暮らしだけど平穏で温かい・・・君がいないのに僕は幸せだった。君を思い出した今は身を引き裂かれそうな思いなのにここでの暮らしが手放し難い・・・きっと心配も苦労もかけているだろうに酷い男だ・・・産まれた子は男の子か女の子かどちらだっただろう?どちらでもきっと可愛い。成長を見られない・・・見られなかったのが辛い・・・ナタリア、君に会いたい。でももう僕には時間がない。赤斑病の薬を作れたというのに僕自身にはもう効かない。君に謝る事もできず君に逢えないままで申し訳ない。君には必要はないだろうけど、僕個人の財は父と兄に好きにされてる事だろうから。君と子供に残せる物はこの研究成果のみだ。君なら・・・マーベルハント家ならば、レイドラアースのため、民のために有効に使ってくれるだろう。寄るべのない僕を受け入れてくれたアルマとアーレンと協力してこの病を根絶させてくれる事を望む。大変な事を頼んでしまうがこれが僕たちの願った夢の結晶だと思ってる。ナタリア、ごめん・・・僕の子がいつかアーレンと出会って弟・・・妹かな?として縁が繋がると良いな・・・」


 何か父は凄い人だった。


『「・・・ナタリア、アルマとアーレンが僕の体が事故で少し不自由だったところを補助してくれて研究を手伝ってくれた。常に心を砕いて側にいて尽くしてくれた。記憶を無くして一人ぼっちだった僕を受け入れてくれて、記憶が戻った今、本当の家族に縁が無くて君がいない僕にとって二人はかけがえのない家族だ。僕を許さなくて良い・・・でも二人のことは少しでも気にかけて・・・いや、ごめん。・・・ナタリア、僕は君を幸せにしてあげられなかった。どうか子供と君が幸せである事を願ってるよ』


 最後の方は声が聴き取りにくくなりがちだったけど、ちゃんと私の事を思っててくれた・・・って知れた。

 アーレンさんは内容は知らなかっただろうから最後の言葉に驚いたみたいで涙が溢れちゃってる。

「リーシャさん、ごめんなさい。もっと早くに報せられなくて・・・」

 アーレンさんが膝をついて謝る。でも平民である以前に遠くの国から私を探して訪ねるのは大変だったと思うし、責任もないよ。

 それに今より早く知らせられてもオレイユ家にいた時だったら私の元に届けられなくて握り潰されてたと思う。

 導かれたタイミングなんだよ。きっと。


「お兄さんって呼んで良いですか?」

 アーレンさんの肩に手を添えてみたら彼は顔をぐしゃぐしゃにさせて泣いてしまった。

「ありがとう・・・ありがとう・・・」


 父が帰ってこられなかったのは悲しい事で、お母さまにとったら残酷な現実だけど、彼とアルマさんのおかげで記憶を失った父が幸せを得ていたのなら・・・それでよかったんだと思う。

 

 場内に啜り泣きが響いて、ハーボットの爺さんは何か放心してるしハゲはブツブツ言ってて怖い。

「・・・赤斑病の特効薬は権利を持っていれば途方もない財を手に入れることができていただろうな。カイダールはあらゆる薬学を学びナタリアと共同で不治の病を研究していた。普通に二人がともに暮らしていたならば素晴らしい成果をあげていたことは想像に難くない。カイダールの命を軽んじ、ナタリアの自由を奪い、その娘リーシャの成長を阻害した。リーシャが受けるべき教育を受けていたならもっと早くに頭角を露わにしていただろう。ハーボット、オレイユ、其方たちが我が国に与えた損害は計り知れない。沙汰があるまで牢にいるがいい。親族も取調べを受けるまで謹慎を命ずる」

 キミーが訳がわからないような顔をしているけど、義母マーガレットは達観しているようなすべてをあきらめているような、何ていうのか役目を終えたみたいな?不思議な感じの表情で。


「マーガレット、其方は家族を盾に望まぬ結婚をしたと報告があった。イダルンダとの婚姻の記録が改竄され消されていたのに別れる事も許されず、妾とされたまま今日まで暮らしていた。望むなら離縁を認めよう」

 ・・・確かにお母さまに対して敵意を向けたり嫌な顔をしていたことはなかったように思う。

 この人がお母さまと私に敵意があったなら、もっと暮らしにくかっただろうし、お母さまの死後にニーナが私のそばに残ることは難しかったかも知れない。


「私はリーシャさまがどんな扱いか知っていても放置していました。イダルンダと同罪でございます」

 静かにそう言うのをキミーが信じられないという表情で見ている。

「そうか」

 陛下が合図をしてハーボット家とオレイユ家は全員退場した。


 またシンと静寂に包まれる。

 私は王様の次の言葉を待って壇上を見つめた。






_____


シリアスが続いてすみません。

もう2話くらいお付き合いください。


通り過ぎたら通常の食い意地リーシャ復活するはず。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ