足音
実際僕が体験した話を書きたいと思います。
ある日家族で海に小旅行にでかけました。内陸県に住んでいる僕はせっかく海まで来たんだし、
深夜にシーバスでも狙おうかと家族とだいぶ離れた距離にある河口でシーバスを狙ってました。
僕の横にはウエーディングをしているシーバスマンもいました。でも釣れないので1時くらいに
家族が車で泊まっている漁港まで歩いて帰ることにしました。
しばらく歩いていると暴走族のエンジン音が聞こえてきました。
そこで僕は明かりから離れた暗い路地から帰ることにしました。するとさっきまで聞こえていた
エンジン音が路地に入ったとたんピタッと消えました。
もうどこかに行ったのかな? と深く考えませんでしたがその路地だけ妙に寒いのです。その
路地を歩いているとなにか後ろから足音が聞こえます。
気付かないふりして歩いていましたがだんだん近づいてきます。かなり近くに聞こえたので
僕は耐えかねて後ろを振り向きました。
すると1本の木だけ激しく揺れているのです。
ギシギシ、ギシギシ。
僕はさすがに気味が悪いので速く抜け出そうと思い走りました。でも足音は聞こえないのです
が揺れている木から遠ざかってもギシギシという音がだんだん激しくなってきました。
なので振り向かずに明るい大通りに抜けました。するとギシギシという音がピタッと聞こえ
なくなり、代わりに暴走族のエンジン音が聞こえてきました。
それから僕はなんともなく、そんなものを見ることはないのですが、あの木を揺らしていたの
はなんだったのだろう。 僕は幽霊では無い事を祈るのみです。