第9話「終わりなき序章」
あの古びた写真の裏に隠された真実。
俺はそれを知るために、動き出した。
写真の四人の男たち――
シルエットでしか見えなかったが、顔の輪郭や雰囲気は確かに覚えている。
あの日、俺が裏切られ、奈落に落とされた現場。
そこに確かに存在した“主”は誰か。
調査は難航した。
“真実の主”の名は全ての資料から隠蔽されていた。
どの公的記録にも、その人物の痕跡は無かった。
だが、俺は確信した。
この計画は、復讐者Veilたちを操るための巨大な“仮面舞踏会”だと。
一方、由梨は相変わらず“沈黙”を守っている。
だが、俺の偽アカウント『Mie_13』には、昨日突然メッセージが届いた。
【由梨】
「ねえ、Mie……もう耐えられない。私、何か壊れそうだよ。」
その言葉は、まるで助けを求める叫びだった。
俺は返信した。
「由梨、君は一人じゃない。真実は必ず暴かれる。
だから、諦めるな。」
その時だった。
外の電話が鳴り響いた。
受話器を取ると、低い声が響いた。
「佐久間蓮か。Veilか。」
俺の心臓は激しく打ち始めた。
声の主は、暗闇の中で声だけが届くような、冷徹な男だった。
「お前の調査は終わりに近い。
だが、終わりは始まりでもある。
すべては計画通りだ。
お前も“選ばれし者”の一人に過ぎない。」
その言葉に、俺は震えた。
だが、同時に怒りが沸き上がった。
「“計画”って何だ。俺は操り人形じゃない。」
相手は笑った。
「ああ、操り人形だ。だが、それが“人間”の本質だ。
人は皆、知らぬうちに誰かの計画の中で動く。
その計画に抗う者は、必ず破滅する。」
電話は切れた。
俺はその瞬間に決意した。
「計画に抗い、
仮面舞踏会をぶち壊す――」
そして、俺は知ることになる。
この世界には、俺以外にも“Veil”を名乗る者がいる。
彼らは誰かの道具なのか、それとも――
自分の意志で戦う戦士なのか。
すべての謎は、まだ始まったばかりだ。
――次回、第10話「舞台の影」
Veilたちの“真実”と“選択”が交錯し始める。