第19話「裏切りの刃」
「裏切りは、いつも一番近くから来る。」
俺はそう知っていた。
だが、それを受け入れる準備ができているかは別だ。
夜のオフィス。
原口椿が背を向け、静かにパソコンの画面を閉じた。
「蓮、話がある」
俺は息を呑んだ。
「お前を信じてきた。
だが、事態は想像以上にヤバい。
奴らは俺たちの情報網を握り、俺たち自身を利用しようとしている」
「何を言ってる?」
原口は震える声で告げた。
「俺は…お前に嘘をついてた。
実は、俺も奴らに接触していたんだ。
最初は裏切りじゃなかった。
だが、状況が変わった。お前の告発は、
俺の家族を危険に晒してしまう」
その言葉は、俺の胸を刺した。
「家族?」
「そうだ。母さんと妹が…奴らに狙われている」
俺は怒りと失望が交錯する。
「なら、どうするんだ?お前はどこに立つ?」
椿は目を逸らし、答えなかった。
「お前が今、どちらを選ぶかで、
この戦いの結末が決まる」
その時、部屋の窓が激しく叩かれた。
「警察だ。逮捕状が出ている。
お前たち、拘束する」
俺はすぐに隠しドアのボタンを押し、秘密の通路へ逃げ込んだ。
椿は追ってくる警官を振り返り、冷静に言った。
「蓮、俺は……お前を助ける」
俺は疑念のまなざしを向けるが、
その時、警官たちの銃声が響いた。
狭い通路の中で、俺たちは闘いに突入した。
血の匂いと絶望の中、
俺は決意を新たにする。
「裏切りが何だ。俺は前に進む」
だが、胸の奥では叫んでいた。
「誰も信じられないのか?」
孤独が俺を蝕む。
だが、この痛みが俺の復讐の火を強くするのだ。
――次回、第20話「真実の断片」
瓦解する絆の中で、蓮は新たな味方を得る。
そして、驚愕の真実の断片が明かされる。