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15 宴の残り香


 それから数日たって、月枝は自分の家で目を覚ました。


 最初は、全部、夢だったのかと思った。

 けれども居間のカレンダーはいつのまにか四月になっているし、手と足に包帯が巻かれていて、少し痛んだ。


 家には母と日向子がいた。

 三月いっぱいで退院したのだと教えられた。


「明奈ちゃんは?」と訊くと、「あなたたちは、北長沼の駅の周りを散歩してたおじいさんに助けて貰ったのよ」と言われた。


 駅の周りを散歩……。

 あの雪の日に……。


 ふと、汽車の中で会った老人を思い出した。

 南幌から乗り込んで双葉で降りた老人だ。

 彼は一駅ごとに昇降を繰り返して、駅の周りを散策するのだと言っていた。

 それで幸運にも、見つけてもらえたらしい。


「そのおじいちゃんね、機関車の話してくれたよ。面白かったなぁ」

「そう……」


 母があいまいにうなずいたとき日向子が泣いたので、母は日向子のところへ行ってしまった。


 その日はもう遅かったので、やわらかいおじやを食べて、明日、明奈の見舞いに行こうと思いながら床についた。



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