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7話 孤独を歩む者

 ルードはとりあえず山脈の麓の街で一休みをすることにした。

 ルードが街へ足を踏み入れようとすると声をかけられる。

「あの、どっ…どうしてこの街に…」

 ルードに声をかけたのは街で雇われている兵士だった。

「山脈を越えてきたから休みたくて…」

 ルードは穏便に済ませようとして、軽く会釈をしながら答えた。

「そっ…そうなんですね。ゆっくり休んでください」

 兵士はルードに恐怖を覚えていた。

 ルードは初対面で恐れられることに違和感を覚えた。

(これも魔剣の影響か?)

 ルードはそう考えながら宿屋へと向かった。

 宿屋へ向かう道中もルードは人から避けられていた。

 ルードはその光景に不快感を持ちながら宿屋へと着いた。


「…一泊させてくれ」

 ルードは宿屋に入って言った。

「…あぁ、わかった。一泊、銀貨2枚だ」

 店主はルードを見て、恐る恐る言った。

「…部屋はどこ?」

 ルードはそんな店主を見て、受付に銀貨2枚を置いて聞いた。

「階段を登って、右手の一番奥の部屋です…」

 店主は少し震えながら、階段を指差して説明をした。

「…あぁ、ありがとうございます」

 ルードは階段に向かいながら店主にお礼を言った。

 そうして、そのままルードは泊まる部屋へと歩いて行った。

 ルードは部屋に入ってすぐ、ベッドに腰掛ける。

「…ここに用は無いし、一夜過ごしたらすぐに出よう」

 ルードは少し、落ち込みながら呟いた。

「…はぁ」

 ため息を吐いたルードはカバンから干し肉を出して食事にした。

 食事を軽めに済ませたルードはそのままベッドで横になり、眠りについた。


 次の日、日が昇る前にルードは目を覚ました。

 ルードは憂鬱になりながらベッドから起き上がった。

 しばらくはその状態でボーッとしていた。

「はぁ…さっさと街を出るかぁ…」

 ルードはため息を吐きながら支度をする。

 ゆっくり支度をしていたルードは日が昇り始めた頃に部屋から出て階段を降りた。

「…あっ、もう出発するのか…?」

 階段を降りたルードに店主が恐る恐る話しかけた。

「あぁ…」

 ルードはめんどくさそうにして、店主を見る。

「…朝食、準備できるけど、たっ…食べていくかい?」

 店主のその言葉にルードは困惑した。

 昨日は怖がっていただけだったのに今は怖がりながらも会話を試みている。

 ルードはその光景に不思議がっていた。

「…じゃあ、いただきます」

 ルードは怯えて震えている店主を見ながら言った。

 店主はそれを聞き、厨房に行き、サンドイッチを持ってルードに渡した。

「さぁ、食べて…」

「あっ、ありがとうございます」

 ルードはお礼を言って、サンドイッチを食べて、宿屋を後にした。


 ルードは街を出て、次の街へ向かい始めた。

 次の街へと行く道中も人々はルードを避けていた。

 ルードは不快感を覚えつつも進んで行った。

 そんな中、ルードは新たな街に着いた。

 街に着いてすぐ、ルードはまた足止めされていた。

「おい、貴様。この街に何の用で来た」

 街に入ろうとするルードの前に剣を構えた門番が立ち塞がった。

「…ここを超えた先の街に用があるから通るだけだよ。まぁ、休憩ついでに飯を食うつもりでいるけど…」

 ルードはめんどくさそうに答えた。

「…そうか。止めて悪かったな。この先の街ということはシュテン侯爵領の中心の街か…」

 門番は剣を収めながら言った。

「あぁ、そうだな。今の目的地はその街だ」

 ルードは小さく呟きながら街へと入って行った。


 街へ入ったルードは大通りに面している酒場へと入って行く。

 酒場には昼間から呑んでいるおっさんたちがいた。

 その人たちは店に入ってきたルードに対して顰めっ面をした。

 ルードは不快に思いつつもカウンターへと向かった。

「…注文は?」

 カウンター席に座ったルードに店主は無愛想に言った。

「では、パンとスープをください」

「パンとスープね。代金は銅貨7枚で先払いだよ」

 ルードは店主のその言葉を聞いて、鞄から銀貨1枚を出して渡した。

「銀貨1枚ね。…おつりの銅貨3枚だよ」

 店主はおつりの銅貨を乱雑に置き、厨房で作業を始めた。

 少し経った後、店主が料理を持ってくる。

「はいよ、注文の品だよ。さっさと食って出ていってくれ。あんたがいると店の空気が悪くなる」

 店主は料理を出して、ルードにそう言った。

 ルードは不快な気持ちがだんだんと怒りに変わっていっていた。

(ただいるだけでどうしてこんな扱いをされないといけないんだ…)

 ルードは早々に食事を済ませて店を後にしようとした。


 店を出ようとしたルードに1人の酔っ払いが絡んで来た。

「おい、テメェ。いい剣持ってんじゃん。俺にくれよ」

 絡んで来た酔っ払いはそう言いながらルードの肩に手を回す。

 ルードは酔っ払いを無視して、その手を払った。

「おい、何すんだ。俺はなぁ、ここらじゃ有名な剣士なんだぞ、知らねぇのか?」

 酔っ払いはルードの行動に怒って、目の前に立ち塞がって言った。

 その状況に周りの酔っ払いたちは笑って、店主はめんどくさそうな顔をしていた。

「おぉ、ハンスやっちまえよ」

「そうだそうだ、その若造にわからせてやれ」

 周りの酔っ払いたちは酒を呑みながら盛り上がる。

「…はぁ、ここで喧嘩なんてやめてくれよ。店のもの壊したら誰か弁償してくれるのか!」

 店主はため息を吐きながら言った。

 ルードはその状況にただただ苛立っていた。

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