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お姉様、断罪なんてさせません!

 「ディアナ・グロリアス!」


ここはユンラウス皇国の皇太子主催のパーティ会場。ディアナは皇国の第二皇子にして自分の婚約者である“アレクセイ・テュラノンス”の大声を聞いて振り返った。アレクセイの隣には伯爵令嬢の“ベロニカ・ルーバル”が彼と腕を組んで誇らしげにしていた。ディアナは、これからアレクセイが自分に何を言うのかを何となく察した。

 

 きっと、“婚約破棄”と言ったところでしょうか


「何でしょう?」


わざとらしい位に澄ました顔をして彼の顔を見た。隣にいた異母妹の“アリス・グロリアス”も何が何だかよく分かっていない様子で、ディアナとアレクセイを交互に見つめていた。


「心当たりはあるんだろう?俺は真実の愛を見つけた!お前とはこの場を持って婚約破棄をする!」


彼女は呆気に取られた。この場には貴族だけではなく皇族の方々もいると言うのに、婚約破棄なんて。騒ぎを聞きつけた人々が彼女らを遠くから傍観していた。


「何々?」

「第二皇子が婚約破棄だと」

「公爵令嬢に?」

「そうそう。あのグロリアス公爵家の令嬢に」

「何かしたのかしら?」

「さあ?」


周りから聞こえる言葉から、ディアナは本当にこの皇子はバカだと思った。


 真実の愛?頭が可笑しくなったのではないのですか?公衆の前で宣言する程のことなのかしら?


「心当たり…とは、何のことでしょうか?」


ベロニカが悦に浸るようにうっとり、アレクセイを見つめていたが、アレクセイの顔は歪み、国宝級と呼ばれるイケメンが台無しになっていた。


「何の事、だと?本気で言っているのか!お前は…」


 パァン!


破裂音のような音がざわついたパーティー会場に響き渡った。いつの間にかディアナの隣にいた筈のアリスがアレクセイの頬を平手打ちしていたのだった。アレクセイとベロニカは呆然と立ち尽くしてしまった。


「アリス!?」


驚きのあまり、会場全体がシーンと静まり帰り皆の目線がアリスに集まった。アリスは怒りで紅潮し、2人に怒声を浴びせた。


「私の愛しのお姉様がベロニカ嬢に何をしたって言うの?貴方がお姉様の何を知っているの?ふざけないで!ディアナお姉様は優しくて可愛くて凛々しくて気配りができて成績が良くて魔法も第2級まで使えて、領民にも学校の皆にも好かれていて人一倍努力していて貴方には勿体ない位に仕事もカンッペキにこなしていて、今日だって私のこのドレスを選んでくれて髪飾りを買ってくれてたくさん褒めてくださったと言うのに!何様のつもり?断罪なんてさせないわ!お姉様!こんな奴はほっておいて屋敷に帰りましょう!」


アリスはディアナの手と取り、駆け足でパーティー会場を飛び出した。外には馬車と執事らが待っていた。ディアナには訳も分からなかった。しかし、とても清々しい気分だった。ディアナはアリスの手を握り返し、一緒に笑いながら馬車へと駆けていった。


ーそう、ディアナ(悪役令嬢)の異母妹、アリス(ヒロイン)は極度のシスコンであったー

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