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拝啓シリーズ

拝啓、親愛なる生徒へ

作者: くろねこ

以前に投稿した「拝啓、先生はいかがお過ごしでしょうか。」の先生視点のつもりで書きました。

拙い文章ですが、見てくださった方々がいてとても嬉しいです( ^∀^)

教師生活を続けて、何年もの、何十年もの時が流れた。

これまで多くの様々な生徒に関わってきた。

ありがたいことに多くのやりがいを感じる機会にも恵まれた。

教え子が、夢への第一歩を進んでいく姿を見るたびに自分も頑張らなければと、改めて自分を戒めることもできた。

もちろん、仕事は楽しいことだらけなはずがない。

問題を抱えた生徒、家庭環境が複雑な生徒など、本当にきちんと生徒と向き合えたのかも分からないことも多く経験した。

何が、生徒にとって1番なのかを考え、頭を悩ませる日々はストレスや疲労で逃げ出したくなることもあった。

それでもこの春になると、私は生徒のありがとうと笑顔、そして成長して学校を巣立っていく姿を見るのが好きなのだと、感じた。

そして、また生徒が成長していくのだなぁと思いを馳せた。

あの子らの学年の生徒が卒業して巣立っていく姿が見られないのは少し残念にも思えた。

そのときの高校には比較的何年も勤めてあったのもあって、もう異動はないのではなかろうかと少し油断していたのかもしれない。

そして、いつも生徒達からお菓子を貰っていては申し訳なく、ホワイトデーが近いという口実も相まって多くのお菓子を用意することにした。

本当に聡い生徒達だから、自分が異動することを変に勘付かれなければ良いのだが。


一年後、多くの手紙が勤務先の高校に届いた。

たまに、届くこともある昔の生徒からの手紙は、懐かしい出来事を思い出させ、生徒のその後を知ることができ、楽しみともなっていた。

本当にそこには多くの感謝の言葉が綴られており、自分のしてきたことは間違いじゃなかったんだと。

嬉しさと喜び、達成感などが胸いっぱいに広がり満たされた。 

しかし、忙しさのあまり、手紙の返事を送る時期を逸してしまって、本当に申し訳なく思った。

仕方ないので、頭の中で生徒一人一人を思い出し、返事をすることにした。

拝啓

風薫るさわやかな季節となりましたが、お元気でいらっしゃいますか。

私は多忙のあまり、頂いた手紙の返事を送ることができずにいました。

本当に申し訳なく思います。

そして、無事に第一志望合格を掴み取れたのは君の努力の賜物だと思います。

自分ごとのように年甲斐もなく喜んでおります。

私も生徒達の努力や成長を見て、精進しなければならないと改めて自分を戒める良い機会となりました。

本当にお手紙ありがとうございます。

新しい環境に慣れた頃かと存じます。

お身体に気をつけて、ますますご活躍ください。

                     敬具


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