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「あと15分しか残ってないぞ。早く、ウチの隊長を……」

「うるせえ。5分で到着出来たんだ。上出来だと思え」

 傍から見ると白人女(にんげん)と家畜亜人が言い争いをしている異様な光景に見えるだろう。

 だが、この家畜亜人達の「中」に入っているのは、私と同じ白人女(にんげん)の「魔法使い」だ。

 彼女(かれ)等の中身は対テロ部隊。

 そして、「肉体」の方は……。

 家畜亜人達は、わざとDNAのバラツキが有るように作られてはいるが、同じタイプ、それも同じ年式の型式(モデル)であれば、良く似た外見となる。作られた工場や製造ロットが違っていてもだ。

 しかし、ここに集まっている家畜亜人達は……1つ1つが見ためには大きな差異が有る。

 いや、黒っぽい髪や目、白人女(にんげん)に比べると色の濃い肌なのは共通しているが、体格・性別はバラバラだ。

 ただ、目に見えない点においては、ただ1つ共通点が有る。

 家畜亜人達の中でも、最も強い「先天的ロボトミー」を施されている。

 家畜亜人達には、厳密な意味では、自我も無い、知性も無い、自由意志も無い。

 少なくとも、白人女(にんげん)が持っているような自我・知性・自由意志は無い。

 旧本亜人(Q−JAP)達は、元から我々白人女(にんげん)に比べて知性も劣り、付和雷同し易く、全体主義的な社会の方に適合する性質が強い……つまり、自我や自由意志も希薄という事だ……のだが、家畜亜人達は、旧本亜人(Q−JAP)の原種達と比べても、それらの機能を制限するような「品種改良」が行なわれ、念の為、更に、赤ん坊の内に脳に手が加えられる。

 家畜亜人達が知性や自我を持っているように見えたとしても……正確には「与えられた役割を果たす為の、厳密には知性や自我に似た別物を備えている」「本当の知性や自我ではなく絶対に外れる事が無いリミッターが更に何重にもかけられた『制限された自我・知性』」に過ぎないのだ。

 例えば、私が普段接している下士官タイプや召し使いタイプの家畜亜人は、与えられた役割は卒なくこなすが、例えば、白人女(にんげん)向けの娯楽は理解出来ず、結婚させたとしてもマトモな家庭生活は営めない。

 仮に無理矢理結婚させた家畜亜人達の間に子供が出来ても、育てる事が出来るのは乳母タイプの家畜亜人だけだ。

 そして、この対テロ部隊向けの家畜亜人は、それ以外のタイプの家畜亜人が持っている「自我」「知性」「自由意志」に似たモノさえ備えていない。

 真っ新(まっさら)・空っぽ・完全に白紙の脳味噌に、白人女(にんげん)の魔法使い達の「意識」が一時期に宿っているだけだ。

 こうすれば、何か有っても、消耗されるのは、家畜亜人の体だけで、中身の白人女(にんげん)は無事で済む。

 爆弾処理に失敗しても、吹き飛ぶのは、自分では何も考える事が出来ないヒトモドキだけで、白人女(にんげん)の犠牲者は出ない。

 人道的だ。

 極めて人道的だ。

 皮肉やお世辞抜きで、このシステムを考え付いた誰かは……人道主義と兵器運用の両分野における大天才だ。

「最終確認だ。優先度最大が、あんたの上司の身柄の安全。次が、あんたの上司の召使。警察署内の爆弾処理の優先度は、その次でOK。面倒な事後書類は、全部、あんたがやってくれる。それで間違い無いな」

「ああ、それでOKだ」

「わかった……」

 そう言うと、対テロ部隊は、警察署内に突入していった。

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