6 文明と人間
前述のように生命活動とは、
生物と環境の相互作用であるといわれます。
特に人間では文明を介して、
人間と環境の相互作用が行われます。
人間⇔文明⇔環境というかたちで営まれる、
この相互作用の前半部分を説明します。
人間の二大特性である限りない想像力と欲求は、
文明の両輪である技術と政策を生み出します。
まず、合理的推論から完全な虚構に至る広義の想像力は、
因果法則の発見・活用能力である知性を人間に与え、
社会活動を豊かにする農耕などの自然科学的技術と、
政策を助ける法律概念などの社会工学的技術を可能にします。
もちろん技術は単なる想像の産物ではなく、
実験や観測による検証が不可欠ですが、
その結果の評価や仮説の修正にあたっても、
〝こうなのでは?〟と考える想像力は必要です。
また、技術革新による社会活動の拡大や複雑化は、
本能を越えた欲求の多様性・可変性である人間性を生み、
ある技術水準で社会活動を健全に保つ利害調整政策と、
その限界を越える新技術導入政策を必要とさせます。
もちろん政策は何でもありの欲求の承認ではなく、
公益のための取捨選択、優先順位決定が必須ですが、
その基準もまた〝最大多数の最大幸福〟のような、
いわば社会全体の欲求であるといえます。
技術が社会活動と政策を助け、
政策が社会活動と技術を助けることで、
ロータリーエンジンか三極モーターのように
文明の循環を回して発展させます。
この図では技術進歩による社会変化が
人間の欲求を高度化させることしか描いていませんが、
文明発展は人間の欲求に加え、想像力も高度化させて、
さらなる技術と政策を生み出すと考えます。
すると、人間の二大特性である限りない想像力と欲求
(または、それに基づく知性と人間性)が、
文明の両輪である技術と政策を生み出すだけでなく、
それによる経済・社会活動の発展が
さらなる想像力と欲求の高度化をもたらすという、
文明と人間の相互作用があるのだといえます。
以上が〝文明の星〟理論における
主要な解説図6枚(補足図2枚)の紹介です。
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