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スノードロップ  作者: 4コマ
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終わりの始まり

 日常を毎日過ごす中、ひび考えることがある。

 悔いのない人生とは何なのだろうか? と言った、当たり前で誰も考えていないことを私は定期的に考えている。

 高校二年生になってそんなことを定期的に考えているところを見るに、まだまだ中二病なのだろう。

 しかし、俺からしたら、そんなことでも大事なことだと思う。

 悔いのない人生、それは、周りにどれだけ影響を与えたか、それとも、自分のエゴか、そのどちらでもないものなのか。

 それは、将来のなりたい自分に直結するのだし。

 少なくとも俺は楽しく死にたいと思う。

 この世の中は平和のようで平和じゃない。 ただ平和を装っている地獄だ。

 昔の話だが、俺は昔殺しをしていた。

 痛い話かもしれないが、事実だ。

 その中で、俺は被検体としてこき使われていた。 確か、その時の番号が4番だった気がする。

 縁起が悪いったらありゃしない。

 いつ死ぬかも分からないところで戦い、探し、見つけ、殺した。

 でも、これは俺が望んだ人生じゃない。 あの時の俺も今の俺も同じことを考えていたはずだ。

 今の生活が変わればどれだけ幸せなんだろうかって……。


「だからってこれはないだろ!!!!」


 と、ここまで黒歴史を製造したが、絶賛死にかけている最中ですよ。

 気づいたら見知らぬ場所に目覚め、よく分からない化け物に追われている。

 体の所々からは血が噴き出してるし。

 殺されるよりも失血死の方が早いかもしれない。

 あー意識が朦朧(もうろう)としてきた。

 てか、なんで俺は今こうなっているんだ? 俺はいつものように生活していたはずなんだけどな。

  



 数分前の出来事――


「ふぁー」机に肘をつきながらあくびをする朝の8時15分。

「あくびなんて珍しいな。 徹夜でもしたか?」

「いや、バリバリ寝てた」

「んじゃただの寝すぎだな。 知らんけど」

「いやいつもどおりやは。 てか根丸(ねまる)はしっかり寝てろ。 二日連続で徹夜とかくるってんじゃねえか?」

「いやいやまだ二日だよ?」

「……くるってるわー」


 いつものように学校で根丸と話しながら時間をつぶす。

 毎回のように思うが、こいつの生活習慣はマジで終わってる。

 徹夜、オールは当たり前、おまけに食事なんてほぼカップラで済ましてるし。

 俺が知ってる中だったら、最長8日間もまともに寝てなかった時がある。 それなのに、寝るときは馬鹿みたいに寝るから、定期的に学校も休むし。

 

「でも君よりも身長はあるし、健康診断にも引っかかったこともないよ」

「そうかそうか君はそうゆう奴だったんだね。 お前は最後に殺してやる」

「おっとっとー、怖いねー」


 マジで、なんでこいつの方が発育が良いんだよ。

 身長が184とかほぼ巨人じゃね? それに比べて俺なんて69だぜ? 

 あれだ、俺は人よりも成長スピードが遅いだけだし、そのうちぎゅんと延びるに違いないだろう。

 と、そんなバカみたいな茶番をしていると、後ろ側の扉が開いた。


「うぃーっす」

「お、今日は早いんだな習意(ならい)」 


 いつもなら遅刻してくる習意も、今日はやたらと早く来ていた。

 こいつが早く来ることなんて、行事やらイベントがあるときだけだろ。

 てことは今日は何かあるのか? そんな予定はなかった気がするんだけども。


「おー! ライさんやー! 珍し」

「珍しくはねえだろ。 ただちょっと変なメールが来てな」

「変なメール? また変なサイトでも開いたか?」

「ライさんも男ですな」

「てめぇらと同じにすんな」

「いや俺を入れんじゃねえよ!」


 と言ってるけど、バリバリとみてる方なんですけども……。

 

「んで? そのメールに何かいてたんだ?」


「あぁ……、ちょっと待って……」そう言いながら、ポケットからスマホを出し、数回タップしたのち画面を俺らに見せてくれた。

 見てみると、長文で沢山の文字が書いてあった。  

 そのほとんどが日本語ではなくよく分からない文字でいっぱいだった。

「なんだこれ?」「なんすかいな?」初めて見る文字に頭がはてなになる俺と根丸。


「一応、俺もネット翻訳とかでやってみたんだが、どの言語にも引っかからなかった」

「それで、俺らのいたずらだと言いたいのですか?」

「それ以外あるか?」

「それは心外だよライ君や!! 僕たちでもこんな意味の分からないいたずらなんてしないよ! やるならわかりやすく、かつぶっ飛んだことを考えるよ!! 例えば……下駄箱に生肉とか?」

「いやお前らそんなことやろうとしてたの!?」


 よし、知らない振りしよ。

 そして、ここから離れよ。 

 しかし、立ち上がったはずの体は、上から加わる力によって押し返されてしまった。

 

「どこ行こうってんだ?」

「自販機」

「はい(ダウト)。 そのままトイレに逃げる気だろ」

「決めつけはよくないと思うなー!! 俺はアドバイスしただけだ!! 俺は無関係だ!!」

「それは無理ある良いわけだな」


 問答無用で絞められましたよ。

 

「んで、これは本当にお前らじゃないんだな? いや信用できないから一回殴らせろ」

「いやなんで!?」

 

 根丸と息の合ったツッコミをすると、前側の扉が開いた。 

 中からは、われらが担任の上村慎吾(かみむらしんご)が入ってきた。


「はいはい君たちー! ホームルーム始めるから席につけ!! それと、習意は後で職員室な」

「なんで俺が!?」


 何とか俺たちの天命が守られたことに安堵(あんど)する。

 しかし、その安堵は一気に消えた。

 世の中には、都市伝説やらおとぎ話、伝承、などなど、ありえない話を聞くことがある。

 大体の物は嘘であり、そもそもそんな話自体なかった場合もある。

 しかしだ、今俺が目にしている光景はなんだ? 数秒前にはなかったはずの【白い何か】、今までの経験則だと、これは非常にまずい気がする。

 その【白い何か】は、次第に光を放ち、それを見ると、体……いや、意識が持ってかれる感覚がする。


「おいおい何が起きてんだよ!?」何が起きているのか分からない習意はそんなことを言いながら、目の前から姿を消した。

「なんか異世界転生みたいなシチュエ――」根丸に関しては、最後まで言わせてもらえずに消えてしまった。

 

 周りの生徒が一人、また一人と消えていく。

 なんだ!? テロ組織の攻撃? だが、こんなの現実的じゃない――!!

 次第に、教室にいるのは俺だけになった。 

 

「ほんとになんなんだよ!! クソ、腕が……!!」


 体の部位が徐々に徐々にと消えていく。

 最初は左腕から、次に右足、次に左足と、どんどんと消えていく。


『一人だけしぶとい奴がいるな』


 声? あの白い物から声が聞こえるぞ?

 クソ、鼻から下しかないから喋れない……、てか、この状態でも生きているのやばくね!

 

『といっても、どうせ後数秒もしたらこっちに来るんだ』


 その声が聴こえると、徐々に俺の視界もぼやけてきた。

 これが何かは知らないが、こんなことならもっと楽しいことをすれば良かったなと思う。

 ま、運が良ければ異世界転生とかもありかn――


『見つけた』




 現在に至る――


「確かに、異世界転生もありかなとか思ったけど!!! 俺の想像してる異世界転生じゃないって!! 普通こうゆうのって、異世界に生まれ変わるとか!! 貴族とか王族の宮殿らしきところに目覚めるんじゃねえのかよ!! あ、あと! 上空から一万メートルからの落下とか!!!」


 目覚めたのはいいのだが、右を見ると、右腕がバクバクと噛まれているではないか!!

 急いで振りほどいたのち、現在逃走中!!

 ハンターは赤い狼!! なんかここだけは異世界感があるぞ!


「てか、そろそろ体力が限界なんですけど!! あとしつこい!!!」


 撃退を考えても、何の武器もな……、いやあるぞ!!

 走りながら、服の裏に手を入れる。

 これでも、よく分からない組織の一員だった為、常時銃を所持している。

 こんな危険時に限って、忘れるものなんだよね。


「弾は11発フル装弾」


 逃げる足をとめ、追ってくる狼の化け物に対し、負傷した右腕で拳銃を構える。

 まっすぐと、こちらに向かってくる狼によーく狙いをつける。

 銃弾を外さないように、限界ギリギリまで引き付ける。

 残り2、3メートルのところで引き金を引く。

 解き放たれた銃弾は、まっすぐ狼の目に命中する。

 が、怯むことなく狼は俺に襲い掛かり、飛びついてきた。

 その攻撃を、体をそらしながらよけ、すれ違いざまに三発撃ち込む。 

 弾丸は、そのまま狼の体を貫通し、空いた穴からは血がボタボタとこぼれている。 まさに、今の俺と同じ状態である。


「おいおいまだ生きてんのかよ」


 辛うじてだが、狼は息をしており、変わらずこちらに殺気を出し続けている。

 そんな狼の頭に、一発撃ち込むと、大きな鳴き声を出したのち動かなくなった。

 今度こそ死んだみたいだ。


「ふぅ……、犬は犬らしく甘えていろ」


 と言ったもの、こちらもなかなかまずい状況なのは変わりない。

 服をちぎり、傷口に巻いたりして止血をしようとするが、思いのほか、出血の勢いがすごくて、とてもじゃないが止血できない。


「このままじゃ死ぬな……」


 何も分からないまま、先に続く道を歩く。

 途中何回か転んでしまったが、それでも、歩き続けた。

 すると、奥の道が次第に明るくなっているのが分かった。 その瞬間、なんでか知らないが、今でも死にそうな体が本能のまま勝手に、その光に進んでいった。

 光の先には、洞窟の中とは思えない木々がたくさん生えた森林となっていた。

 鳥のさえずり、水の音、木々がこすれる音、全部が異様に感じたが、全部が当たり前だと感じた。


「はは……、最後の最後でこれかよ」


 次第に、瞼が重くなってくる。

 体に力が入らなくなり、目の前が暗転する。


「頑張ったね。 ヨマ君や」 

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