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あの夢は……
気が付くと私は、ベッドの上だった。
寝ぼけた頭で起き上がると、ピンクが基調の可愛らしい部屋と、枕元のクマのぬいぐるみが目に入る。
暫く思考停止していたが、ようやくそこが自分の部屋だという事に気が付いた。
「今の…夢……?」
夢にしては、凄くリアルだった。
まるで本当にその場にいたような感覚だったし、夢の記憶もしっかり残ってる。
あの少女の顔だって、すぐに思い出せる。
はずだったのだが…
「あれ…あの子、どんな顔だったっけ……?」
凄く印象に残る夢だったのに、あの少女の顔だけが、霧がかかったように思い出せない。
思い出せるのは、顔を近付けてきた時の少女の吐息と、もう一つ。
『私はあなたの…』
最後まで聞き取る事が叶わなかった、夢から覚める直前の、あの言葉だけだった。
何だかスッキリしないが、その頭のまま、私は学校へ向かう準備を始める事にした。