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冒険者見習い2

「服装……バラバラ過ぎるだろこれ……」


男が見た少年少女達の服装、子供の服とはいえ大体の系統は察することは出来る筈だが、全員のジャンルがバラバラ……


「おい、ここでやるしかないぞッ! あいつだけじゃ絶対無理だッ!」


一人は鉄製の槍を構える蝙蝠マントの少年……蝙蝠というより吸血鬼の様な服装……いや、昼間に出歩いているのは不可解だが、間違いなく吸血鬼の少年だろう。色白い肌や真っ赤な瞳、何かに追われ焦りを表した際に見えた口内には立派な犬歯が見えていた。



「えっ えっ えっ!?どうやってどうやってぇ~ッ?」


未だにバタバタと慌てふためくピンク髪の少女は……恐らく現代風というのだろうか、男に女性のファッションはわからない。

様々な【異世界】を練り歩いたとしても、どんな女性と出会ったとしても、自分には縁の無い服装はわからない。でも、確かに懐かしい気がするその服装はどこかで似たようなものを見たのだろう。慌てながらも、服装に似合わない弓をしっかりと構えている。


「私だって魔法剣士よ! 本気を出せばあんな奴ッ! 抜刀!マジックソードッ!!」


もう一人の茶褐色の髪の少女は間違いなく魔導鎧だ、名の通り魔法と剣を駆使する戦士が効率よく全身に魔力を導く為に好んで身に付ける鎧。


魔法と剣を扱う戦士の中には剣の扱いは得意なものの、魔力容量が少なく、魔法を剣術の支援のみにしか使用できないという者も少なくはない。


男の知識が合っていればの話だが、恐らく少女もその筈。

胸元には光輝くオーブは魔力容量の少ない戦士がより効率よく、望む部位へと魔力を送り込む為に鎧に埋め込む事が多い。予めオーブに魔力を送る方向性を決める術式を施すと、脚力や腕力、武器のエンチャントなどを重点的に行うようになる。そして少女の引き抜いた細身の剣は淡い青色の光を放っている事が確認できる為、少ない魔力をエンチャントに回す事を考えたオーブだと予想できた。


「俺にぃッ!任せろぉッ!!」


問題はオレンジ髪の少年である。肩や胸だけを守る簡素な皮鎧に赤いジャージだった。武器も木製の剣でそれ以外は何もなし、魔法も使えるようには見えない。

しかし少年は堂々とした立ち振舞いで雄叫びを上げ、迫り来る驚異に果敢に立ち向かおうとしていた。


果たして、少年少女達の前に現れたものは……


男の記憶が正しければ、それはウサギであった。

丸々と太った身体でゴロゴロと迫り来る姿は冒険映画の大岩を思い起こさせる。つぶらな黒い瞳に大きく突き出た前歯、小さく素早く口と髭をピクピク動かし少年少女達を見つめている。

巨大なウサギ、巨大な獣とは何度も戦ったことはあるがウサギは初めてだった。

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