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カインディアと世界樹の学園3

学園の渡り廊下を上機嫌な生徒が3人、困ったような様子の先生が一人歩いている。


「いいなぁ、エリー…… 剣貰えてさぁ……先生の装備とか絶対すげぇやつじゃん!」


「何言ってんのよ、これは当然の権利よ! 私の〈エレガント・ソード〉駄目にしちゃったんだから!」


「ねぇ~♡ 先生ぇ~? お髭がなくなって格好いいねぇ♡ お髭があってもティニーは好きだよぉ♡」



先生の武器庫から一本の細身の剣を貰い上機嫌なエリーと、それに対して羨ましそうに軽口を叩くユウ……そして何故か先生に腕を絡ませてベッタリくっついたままのティニーである。


何故この生徒達はこんなに懐いてくるのか、疑問に思いながらも先生は三人の案内に従うしかなかった。

いきなり職員寮まで連れてこられた為、学園内は全くの未知だった。ダンジョンならともかく、生徒も職員も大勢いる学園を直感のままに探索など出来る筈もなかった。

渡り廊下でも生徒や、教師と多くすれ違った。何も反応しない者もいれば、新しい先生に興味を持って視線を注ぐ者も多かった。


「お、先生! ここの下さ、中庭なんだぜ? 日が当たって気持ちいいからさ、今度一緒にお昼ごはん食べようぜ!!」


考え事をしていて先生は気付かなかったが、どうやら今歩いている渡り廊下は二階を繋げている廊下らしい、大きく張られた硝子からは、階下に広がる大きな中庭をある程度は一望することが出来た。今はどうやら昼休み中らしい、中庭では友達同士で会話を楽しむ生徒や走り回る生徒、転ぶ生徒もいればごはんを好きなだけ食べている生徒もいる。勿論中庭を通り過ぎるだけの生徒も多い。


「これは……凄いな……ッ!」


「あ、先生ちょっと笑った~?」


「ずっとしかめっ面だったもんな、冒険者って大変なんだなぁ」


ティニーはじっと先生を見つめて笑い、ユウは染々と冒険者が過酷な物かと想像し溜め息を吐いた。

笑った。そう言われて先生は自分の表情を確かめるように片手で触れる。触っただけで分かる訳はないが、でも確かに、下に見える少年少女達は笑顔で楽しそうだ。それを見てしまえば先生も笑ってしまったのかもしれない。


「あ、あそこにブラッドがいる! 全く、みんなで先生に助けて貰ったお礼するって言ったのに!」


そんな久し振りの感情に浸っていると、不意に剣に夢中だったエリーが中庭に向けて指を指す。指し示す指のその先に見えたのは灰髪の少年……特徴的な蝙蝠マントはなりを潜め、学園指定の制服に身を包んだ姿は、吸血鬼というよりは、美しい顔立ちの少年と言うのが相応しく……そう言えばユウ、ティニー、エリーも制服だ。女の子の制服は学園長と同じミニスカートだったが。ユウの格好は白いスラックスだ。


「あっちは……訓練場だな!」


「そんなものもあるのか……」


「私あそこ汗くさいからきらーい!」


「みんな! 追いかけるわよ!」


エリーは剣を鞘にしまうと、渡り廊下を走り出す。後に続く様にユウ、ティニー、そしてティニーに引っ張られる先生。

目指すは訓練場。

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