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夢見る瞳に…2

ここまでがプロローグ的なお話です。

是非ともご意見や感想、ブックマークお願い致します。

真っ赤な一本の閃光が通り過ぎると共に、ブラッドの目の前で巨大な獣は崩れ落ちた。動かなくなったと共に、さらさらとキューブ形の光の粒となって消えていく。


「ん? なんだこれは……生きている訳ではないのか?」


何かがおかしい、獣の身体が美しい光に包まれて消えていってしまう。普通の生き物であれば死体が残り……ゆっくりと腐っていく筈だった。


「ホログラムか、まさかゲームの世界に迷い混んでしまった訳じゃないだろうな?」


過去にも同じような経験をした、その【異世界】はゲームの世界が現実になってしまった【異世界】

そこでも魔物や人は死に至る際に光の粒子となって消えてしまっていた。しかし、そういえばブラッドと呼ばれる少年は攻撃を受けた際に血を流していた……やはりゲームの世界ではない?

そんな考えを巡らせていると。


「おじさん凄~いッ! ねぇねぇ今のどうやったの? ねぇ~♡ティニーに教えて~♡」


「すっげぇッ!! あんなのに勝っちまうなんてッ!! 俺、ユウッ! ユウ・ブレイベスト!! 師匠!師匠って呼ばせてくれよ!!」


「おっさん!! 私の〈エレガント・ソード〉弁償しなさいよ!! そんなに強いなら稼いでるんでしょ!? 三倍払って貰うからねッ!!」


最初にピンク髪の少女 ティニーが抱き付くように体当たりしてくる。考え事中に体当たりをされてしまった男は小さな少女に呆気なく押し倒されて。幼い…到底似合った物ではない色仕掛けを受ける。


続いてオレンジ髪の少年 ユウは目をキラキラさせながら男を師匠と呼び、勝手に弟子入りしながら慕ってくる。先程までは死にかけていたとは思えないほど元気だ。


そして赤褐色の髪をもつ少女 エリーはとにかく剣の弁償を迫ってくる。この世界のお金は一切持っていない……弁償は出来そうもないのでせめて歪な剣をと考えたが、それはもう粉々に崩れ消え去ってしまった。


「おい、あんた…… あんたが何者だか知らないけどな……あんな奴、俺一人で十分だったんだ……」


「……あぁ、すまない 邪魔をしてしまったね」


最後によろよろと現れる灰色の髪の少年 ブラッドが腕を押さえながら憎まれ口を叩く。


男は4人の顔を見ながら、その瞳にどこか懐かしい光を感じていた。

4人とも……年齢はいくつだろうか? 中学生くらいに見える。

それくらいの年齢であれば、ブラッドの態度も納得できた。全員、間違いなく冒険者の見習いだ。先程聞いた冒険者学校の生徒か何かだろう。


「剣は今度弁償するよ、申し訳ない。 すまないが君達に聞きたい事があるんだけど良いかな?」


未だに仰向けの自分の上に乗るティニーを持ち上げてその場から退かせば、素早く立ち上がる。

恐らく服装はこの4人の格好を見るとわかる通り、冒険者の格好に決まりは無い……だからってジャージは無いだろうが。


それなら安心してこの世界について調べる事が出来そうだ。


「私は……」


「その必要はありません!!」


突如響く可愛らしい声、5人の視線が同時に同じ方向へと注がれる。





果たしてそこには制服のような格好をした獣人の少女が立っていた。短いスカートにニーハイ、ニーハイが肉と毛をむっちりと引き締めて、親指で自身を示す様に犬歯を覗かせた獣人の少女が立っていた。余裕そうだが、可愛らしいボリューム満点の髪が所々乱れている所を見るに全力で走ってきたのだろう。


「見つけましたよ! 先生!! さぁ私と一緒に学園にッ……っておぉ! 既に生徒達と出会っていたのですねぇ」


テクテクと軽快な足取りで5人に近寄る獣人の少女は機嫌良さそうに笑う。男が生徒達に出会った事が余程嬉しい出来事の様だ。


「皆さん!紹介しますよぉ! この人こそ!! 噂のマスター級冒険者! そして今度から皆さんのクラスを担当する先生なのですッ!! 」


獣人の少女は男の太股に腕を回しまるで二人でツーショットを撮影しているかのようにポーズを決める。改めて見ると獣人の少女はかなり小さい、頭が男の腰に届くかどうかだ。

そんなことよりも、自分はこの世界に来たばかりだ、誰かと間違っている。否定しなければ。トラブルが起きてからでは遅い。

そう思った瞬間。


「すっげぇ!! マジかよ!! 師匠先生だったのか!やっべぇ~!」


「やったやったぁ♡ 先生がいればティニー達もっと強くなれるよねぇ♡」


「そんなことより! べ・ん・しょ・う!! 先生! 5倍にして返して貰うからね!!」


「チッ…先生だったか……道理で……おい、俺に教えるなら中途半端じゃ許さないからな?」


4人が口々に男を先生と呼び始める。男が何かを言おうとする前にグングン、グイグイ!あっちからこっちへと話しかけてくるので否定する暇はない。それにどうしても少年少女達の輝く瞳に見詰められると否定……と言うか先生と呼ばれてしまう事を拒絶できない。


「ま、待ってくれ! 私は…ッ」


「先生……!申し遅れました!! 私は栄えある【カインディア第二冒険者スクール】ッ! 通称【世界樹の学園】の可愛い可愛い学園長でございますッ!! さぁ先生!行きましょう!! 冒険者の卵がいっぱいいっぱいのぉ! 冒険者学園へ!!」


「よっしゃぁ! 行くぞぉ!! 先生ッ 俺は剣術を教えて貰いたいなぁ?」


「はいはい♡ ティニーはみんなから可愛いって呼ばれる冒険者になる秘訣♡」


「弁償ッ! 私の剣を弁償しなさーいッ!!」


体格に似合わない力強さを発揮する獣人の少女……学園の長に無理矢理引っ張られながら男は生徒達に囲まれて質問攻めを食らう。

何度も【異世界】を練り歩いてきた男が……数々の魔物や巨悪……怪物を屠った男が……少年少女達に手も足も出せない。

男は……先生は大人しくそれを受け入れるしかなかった。


【異世界転移】を繰り返した結果、冒険者学園の先生になってしまった。………と

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