表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

月夜譚 【No.1~No.100】

商家の蔵 【月夜譚No.34】

作者: 夏月七葉

 立派な蔵だが、中は大したものは入っていない。この家がまだ商家だった江戸の時分には、それこそ値の張るものが仕舞われていたのだろうが。時を経た今では、形ばかりで中身のない存在になってしまった。

 つっと木箱の上に指を滑らせると、端に埃が山を作る。掃除をするなら、マスクをしないと喉がやられそうだ。

 顔を仰向けると、高い天井が両端から斜めに中央に向かって走っている。天井近くに設けられた明り取りの窓から陽が差し込み、空気中に舞う埃を照らして視覚化する。木箱が鎮座した五段ほどの棚が土壁沿いに設置され、乗れば踏み抜きそうな古い梯子が立てかけられていた。

 薄暗く、ひんやりとした蔵の中はとても静かだ。ずっとここにいたら、江戸時代にタイムスリップしたかのような気分になるだろうか。外も内も立派だった頃の蔵を見られるだろうか――。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言]  古びた静謐な建物に一人でいると、世の無常を感じます。有りし栄華に想いを馳せて、今にそれを重ねる。  乙なものです。  ありがとうございました!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ