表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/8

『赤き稲妻』第3章:滅亡への秒読み(タイムズ・ランズ・アウト)(1)

 まだ、空は暗い。とは言え、月の位置からすると、夜明けまで3〜4時間と言った所か。

 あの戦いの場から何とか逃れた私は、地図を見ながら、モーターサイクルを押して歩き続けた。

 道路上の交通標識の大半は「世界共通語」なので、今、自分が居るのが地図上のどの辺りかは、何とか見当が付いた。

 別の世界から来た2人の戦士……しかも、その2人は、敵対しているにも関わらず、どうやら互いが互いにとって「別の人生を辿った平行世界版の自分」らしい。

 その片方……青い「鎧」の戦士は、どうも「世界政府」の思想とは相容れない思想の持ち主らしいが、少なくとも、私を助け逃してはくれた。

 借りは返さねばなるまい。

 どれほどの時間が経ったのか……巨大な石の鳥居、そして、もう日本ではほとんど使われなくなった「漢字」が書かれた大きな石碑が有る場所に辿り着いた。

 そして鳥居の先には山。石碑に書かれているのは、おそらく、あの山か、その山頂の神社の名称だろう。

 多分、あの山が「高良山(こうらさん)」。

 道の両側には民家や個人営業らしい商店……おそらくは、この先に有る神社の参拝者向けの店なのだろう。

 そして、山の麓まで辿り着いた私は、モーターサイクルを止め、参道と山道の中間のような道を山頂目指して歩いていく。

 標高はそれほどではない。おそらく三〇〇m前後だろう。道も険しくはなく、「鎧」を着装したままでも支障は無かった。

 そして、山頂近くの赤い鳥居を通り、石段を上り……やはり、かつては壮麗だったかも知れないが、今は寂れた社殿が有った。

「貴方なのか? ミリセント……」

 十代前半の少女の声……。世界共通語……。そして聞き覚えが有る……。

 嘘だ……生きていたのか?

 嬉しさよりも、先に困惑が心に満ちた。彼女の口調もそうだった。

 チャユと青い「鎧」の戦士のある会話が心を過る。

 いや、待て、私の恋人と云うのは、まさか……。

「テルマ?」

「何から……話すべきか……」

 何が起きたのかまでは判らないが……他の世界から来た「継ぎ接ぎの『鎧』の戦士」が言っていた事が真実だとしたら……どうやら……私と彼女こそが、この世界を滅びに向かわせている元凶らしい。

 では、逆に、私と彼女が、この世界を元に戻す事が出来るのだろうか?……それとも……?

「誰か来たのかね?」

 今度は世界共通語で、寝惚けた中年男の声。この声は……まさか……。

「ふんぎゃ?」

「ふんぎゃ?」

 続いて、間の抜けた脳天気な声。……そして、暗闇の中から……他の世界の「青い『鎧』の戦士」の従者である恐竜型の機械人形(ロボット)が姿を現した。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ