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プロローグ
プロローグ
ある所に一頭の龍がいた
遥か昔から世界に存在し
世界最強と謳われ
創造神と崇められ、厄災と恐れられ
人々の都合のいいように語られ
感謝され、愛され、忌み嫌われ
魔法も高度な文明もない人々は
自らの知恵で作り上げたもので
龍との戦の準備をし、万全を期す。
しかし、龍と戦うことはなく
その知恵が生み出した武器は
近隣の森を焼き、他の動物を虐殺し
そして、人々が殺し合った
兵士と兵士の戦い、
文明の発達が遅い一族、村、国の人々を
虐殺、人体実験、重労働、差別、征服
言ってしまえば弱肉強食の世界へとなっていた
そんな世界で一度も人々の前に姿を見せることなく
また、危害を加えることもなく
ただただ静かに世界を見渡し、時を過ごし
生き続けている哀しくも、優しい龍
そんな龍と出会う少女が共に紡ぐ
楽園とは何か、どこにあるものか
どうしたら行けるのか
探し、考え、旅をし、生命と関わり、出会い
別れ、時に戦う
楽園へ至るまでの、切なくて、温かい物語