030 『芽と目』 春の一月、十七の日
馬場和子です。
昨日から毎朝の日課が増えています。
子供たちは朝からペンギン体操を行った後で朝ごはんになります。
寝坊して体操に来れないぐうたらな子は朝ご飯抜きです。
昨日、ダメ元でお願いした温泉は早くも簡易的に出来上がっています。
みんなの疲労が少しでも取れるといいですね。
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■帝国歴308年 春の一月 十七の日■
「姫さま事件です!」
朝から畑で問題が発生していました。
なんと畑に魔物が居るというのです。
早速、畑に駆けつけました。
すると、魔物の目が一斉にこちらを向きます。
こちらの畑には米や麦が植えられているのですが、その一本一本に目が生えています。
「芽がでるのはあたりまえだわよね?」
あいかわらず呑気な姫さまが居ます寝起きだからでしょうか?
「でも目ですよ目。出ますか目?」
「めでたいことね~」
あたしのわかりにくい物言いを〝あらあら〟といったいつもの感じで受け返してきます。
「ええ、ちょっとだけ可愛いので愛でたいのですけども……近づくとウィンクをして黒い眼の部分が飛んでくるのです」
「目は飛ばないと思うよ~?」
「イヤ、飛んできますよ? ほら」
あたしは人差し指を育ってきた作物の目に伸ばします。
すると〝バチリ〟と目をつぶり中にあった目の芯を飛ばしてきます。
「いててて」
デコピンをされたぐらいに痛いです。
「害はなさそうねぇ~」
呑気な様子の姫さまが居ますので、魔界だしそんなものかなと思ったりもしました。
「でもコレ、成長したとして食べれるのかなぁ~」
遠目にあたしが眺めていると姫さまが言い足してきます。
「あらカズコ? 魔獣物の肉好きよね?」
あたしは元気よく返事をします。
「モチのロンです!」
「魔作物は?」
「(そう言われて食べれそうな気がしないでもないあたしがいます。
なんだかラフレシアみたいで凄いですね。美味しければ食べます)」
「あらラフレシアはドリアンと並ぶ高級食材よ?」
食べてみたい方向に心の針がグググと傾きました。
とにかく、食虫植物みたいな形じゃなくて良かったです。
大きくなって狂暴になったら何か手を打つことにします。
当面の危険はなさそうなので経過観察です。
ツバキちゃんに新しく観察日記をつけてもらいましょう。
というわけで解決には至りませんでしたが論破はされました。
そのほかの出来事
・水路の完成
・広間に大きな溜池(ペンギンさんの仮住まい)
夕食時、3チームに向けて情報を伝えました。
軍隊は停泊しています
準備期間 残り3日
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■後書き■
現在の人口:51名(+1移籍予定者)
今日の達成した出来事
・特になし(作物が自己防衛できるようになった)
総合レベル目標438/510
正直に言います!
美味しい物には目があります……カズコです。




