028 『成果と釣果』 春の一月、十五の日
馬場和子です。
街の防衛準備を進めています。
・町の防衛システムの確認
・黒猫を通してバルドルスに連絡
・罠の作成
など
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■帝国歴308年 春の一月 十五の日■
* * 晩 * *
戦闘チームが各自レベルを1つずつあげていました。
夜中も狩りに出かけていたようです。
疲労はしているようですが強くなれるのが楽しくてしかたがないのかもしれません。
昨日、軍隊が進撃を開始しました。
軍隊は昨晩からの丸一日を進軍し全体工程の1/3を進んでいます。
これによりバルドルスさんに頼んでいた〝ミッカダケ〟が発動します。
〝ミッカダケ〟とは三日間腹痛に侵され動けなく茸の事で、それを食事の材料として混入服用していただきました。
調理前の〝ミッカダケ〟は斑点が特徴的なのですが薄平たくしてしまうと斑点部分が散り分からなくなるので混入しやすいのです。
味は非常においしいそうです。
黄色いポーションで治るなら食べてみたいですね。
出立した軍隊は道中の半ばまで来ていますので、解毒剤や治療師を用立てに都市に戻ろうとも早馬の往復と治療自体に同じ日数が稼げる計算となっています。
これにより3日間の猶予が増え計算していた6日間が確定しました。
そして、フォルマッジやヒロキという男の性格も図れることでしょう。
今回、フォルマッジだけが別の食事だった為にお腹がギュルマッジにならなっかたのが残念です。
こうして時間を稼いであたしは抗戦準備を整えていきます。
この戦いが終わったらバルドルスさんには美味しい海鮮料理でも食べさせてあげましょう。
なんだかドンドンと負けフラグを立てて回っていますがしていますが……たぶん気のせいです。
なぜ海鮮料理が急に出てきたかというと本日の晩御飯が海鮮丼だったからです。
久しく忘れていた刺身の味に舌鼓を打ちます。
音は舌がとろけ落ちそうになっていた為にうまく鳴りませんでした。
お料理はおおむね好評だったように思えましたが、生魚を食べる習慣が無かったために好き嫌いが分かれたようです。
ちなみに本日の晩御飯が海鮮丼になった訳は子供たちが釣りに出かけたからです。
ご老人の中に釣り師が居ましたので釣果は……ビックリ仰天でした。
そうそう釣果といえば新しい成果もありました。
戦闘チームが着実にレベルを上げていますが、ご老人や子供たちも日々の生活でレベルが上がっているのです。
おかげさまで街のレベルがどんどん上昇していきます。
そして、今日の最大の成果はスペイン先生の無限矢だと思います。
これは矢と矢筒を連動しており、ある一定時間お互いが離れると矢筒の方に収納される優れものです。
あと形状記憶合金の様に修復機能も追加されているとの事。
それを聞きつけた戦士たちが同じものをスペイン先生に要望していました。
弓矢を習得して下さるなら戦術も増えますので頼もしいです。
* * 夕方 * *
※少し時が戻ります※
日暮れ前の子供たちが帰宅します。
「お魚はとれましたかー?」
なぜか慌てて姫さまもやってきました。
子供たちは何やら奇妙で大きな物体を連れています。
ん? この子たちは何??
その物体は全体的にまだら模様の土色で、丸いハニワの様なフォルムで三角形のヒレの様な物があり、歩くたびにパタパタと左右に揺れています。
クチバシもパクパクしており。土色でなく黒色ならばペンギンと認識したことでしょう。
土色のペンギン、あたしは初めてみました……。
そしてあたしと同じぐらい大きいです。
あ、あたしよりも小さい子も居ますね。
その子の前にあたしが屈み込むと『ゴンチャ』と鳴いてきます。
可愛いですどうしましょう……食べてしまいたいです。
ズラリと並ぶと圧迫感がありますね。
ひーふーみーよー目ー鼻ー口ー耳ー顎ー喉ー……12匹居ますね。
姫さまに問い合わせてみました。何ですかこの子たち?
姫さまが姫・職業の技能である【鑑定】を使用して情報を読み上げました。
種別:獣 名称:サンドペンギン(別名:擬態ペンギン)
好物:サソリ 毒耐性:強 得意技:穴掘り
「コンチャ」
あたしは改めて声をかけてみました。
『ゴンチャゴンチャゴンチャ』三度お辞儀が返ってきました。
砂のサンドじゃないのね。土色なのに……。
体は保護色で変化するため、水辺で浮かぶとお腹は空色に背中は水の色に変化するそうです。
あーだからペンギンさんはお腹が白かったのか~。
いやいや、そうじゃなくて!
そんな説明よりも何で居るのこんなところに?
魚を釣ってたら魚にくっついてきた?
というかそもそも街に入れるの?
姫さまが首を傾げていますので聞いても無駄なのでしょう。
管理者のはずなのですけどね……。
念のために子供たちに聞いてみると――。
一度は入れなかったペンギンたちに手を差し伸べるとスルリと入ってこれたのだそうです。
これはきっと随伴者がいれば入れるということですね。
それは盲点でした。
先日、ハスキーに色々試させた結果。無機物なら入れることまでは判明したいたのですが……。
姫さま、これは事件ですよ!
二人で協議した結果、街の防衛機能設定を向上させることになりました。
今のうちに気が付いてよかったです。
「(このペンギンさんたちは喋れるのかしら?)」
「ピクシーが喋れるようになるぐらいだから〝人生リセット〟できれば喋るのじゃないかしら?」
「姫さま、わくわく動物ランドですね!」
「動物ランドがよくわからないけれど~ペンギンさんたちの自由かしら?」
では聞いてみましょうか「この街に住みたい人は手を挙げて~」
「「「ゴンチャ!」」
手は上がりませんでしたが手を前につなげた後、頭を少し下げ両手をハの字に広げ構えを取りました。
これは了承ということでしょうか?
この後、お試しでアルキマワロを住民として登録してみました。
それを無事達成を確認できましたので賢いペンギンたちにも登録していただきました。
初期装備は三つ又の槍です……狩りをしてもらいましょう。
「姫さまあたし気がつきました!
可愛いと美味しそうは両立します」
「させないで……」
不思議と頭を抱える姫さまが居ました。
夕食時、3チームに向けて情報を伝えました。
軍隊の食事にミッカダケ混入が成功――予定通りです。
準備期間 残り5日
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■後書き■
現在の人口:51名(+1移籍予定者)
やりたいことリスト(今日の達成した出来事)
・達成なし(住民:動物が増える)
総合レベル目標342/510
正直に言います!
両手足を超える二十より上はたくさんです……そこから先は一杯一杯です。




