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027 『鍛錬と恩恵』 春の一月、十四の日

 馬場和子です。


 昨日、会議を行い色々と話し合いました。


 軍隊を迎え撃つ戦力として3チームを編成しましたので、それを軸に作戦を練ろうと思っています。




 ――――――――――――――




 ■帝国歴308年 春の一月 十四の日■


「皆さんおはようございます」


 始まりの館の広間(リビングルーム)にはアシュリーを除く全員が勢ぞろいしました。

 夜明けと共に集合した各自は朝ご飯を食べています。

 さて、成果の方はいかがでしょうか?


 盗賊団チームは15レベルになったそうです。

 ジンバルチームが13レベルだそうです。


 夜間戦闘は盗賊たちに分があったのかなと思いましたが、2チームがどのように狩りを行ったのか尋ねると違った行動が浮かび上がりました。

 どちらのチームも5レベルまではあっという間に上がったそうなのです。

 ですが盗賊団チームは2~3レベル分を戻らずに連戦を実行。

 対してレベルの上がる毎に帰還したジンバルチームはそれが原因で後れを取ったようです。


 ともあれ、おかげさまで街のランクも一気に上昇しています。

 おっとランクの解説がまだでしたね。


 そもそも各都市は都市ランクという表記がなされており。

 各都市の入り口に表示板が設置されています。

 そちらを見ればその都市の発展度合いが一目瞭然で分かるのだそうです。


 都市レベル5で都市ランクが〝集落〟から〝村〟へ。

 都市レベル10で都市ランクが〝村〟から〝町〟へ。

 都市レベル15で都市ランクが〝町〟から〝街〟になるというわけです。


 そして、実はあたしが〝始まりの街〟に到着した時は、まだ村でもなく都市レベル4の集落でした。

 街、街、詐欺どころか村、村、詐欺である事を知りその時は非常に(おどろ)いたのを覚えています。


 現在は喜ばしいことに都市レベル7となり正式に〝村〟とランク付けされました。

 でもまぁ対外的には〝村〟内々ではこれからも〝街〟と呼びます。


 都市ランクについては住人の総合レベルで決まります。

 住民総レベル62でレベル5に。

 2046でレベル10です。

 目標の65534でレベル15の街になります。

 頑張らねば!

 ちなみに都市は2097150必要でレベル20です……そりゃ~()()()()住んでいるはずです。


 人間の限界レベルは99らしいです……らしいというのは昨今(さっこん)到達した人が居ないからだそうです。



 説明はさておき、姫さまとあたしは地下の特異点部屋に来ています。

 なぜ地下に来ているのかですが……。


 都市には人々のレベルが上がるのと同じように、都市機能という〝恩恵システム〟が選択できます。

〝恩恵システム〟には様々な物があり。

 現在選択済みの〝恩恵システム〟は以下のようになります。

⓪見える化(デジタル化)

⓪住民再編機能(〝人生リセット〟)

①特殊職業の解放(該当の初期装備必要)

②住民への基礎知識の習得(読み書き計算:初歩級)

③住民管理機能(任意の対象に出入りのを許可をだせる)

④チーム機能(元パーティシステム)


 今回の有事に対して必要な機能を姫さまと相談をしていきます。


 目について一番欲しかったのは〝簡易端末の増加〟でした。


 スペイン先生いい仕事していますね!

 そのための依り代を作成したくださったようです。

 約束を守るのは良い男の第一条件です!


 これによりいちいち冷蔵庫の物をどけて地下に降りる必要性が無くなります。

 都市機能選択し作動させるとフラウという種類の雪の精霊さんが依り代に宿りました。

 アシュリーを真っ青にしたらこのような感じかもしれません。

 間違いなく見本(モデル)はアシュリーですね。

 氷の精霊であるフォーセリアが契約する精霊のため、簡易的な業務を補佐できるとの事でした。

 触れることによりお話も出来るようで、元が銀製品であることもあり冷たいですけど可愛かったです。

 広間のカウンターにでも滞在していただきましょう。


 そして、なるべくこれらの〝恩恵システム〟に頼らずに防衛をしたいのですが、実はとっておきの物を見つけてしまいましたので、そこを目標に設定することにします。

 目標は住民のレベルが総合510です頑張りましょう!


 朝からご老人たちにはメロンの苗などを手渡し畑の作業をお願いしました。


 子供達には遊びがてら折り紙を教え込みます。

 まずは紙飛行機です。

 これで子供たちには面白さを味わってもらいます。

 遠くへ飛ばす紙飛行機。

 長く飛ばす紙飛行機を個々で楽しんでもらいました。

 そうして折り紙の楽しさを十分に知ってもらい順々に難易度を上げ折り進めてもらいました。

 紙鉄砲・紙手裏剣・紙マキビシ・最後に千羽鶴です。


 戦闘チームには〝アゲイン〟は完成しませんでしたが赤い体力回復ポーションを手渡しました。

 前世でいうところの〝栄養ドリンク〟とは違い傷が治る効果があります。

 都市で買うと恐ろしく高価な代物らしいですが、作成したのはスペイン先生なのでお礼はあたしに言わないでください。


「え!? ポーションって作れないんですか?」


 どうも失われた古き時代の作成法らしく都市では非常に高価な商品なのだそうです。

 本来は作れないものでも、あるものはあるので使ってください。

 スペイン先生はどうやって作っているのでしょうね?


〝絶対に中を覗かないで下さい〟と自らの体毛をぬいて製造していたらどうしましょうか?

 想像すると笑っちゃいますね。

 そして好奇心はありますが覗きに行くと破滅を迎えそうなのでやめておきましょう。


「あたしはアシュリーが戻ってくるまでやることがあります。

 スペイン先生と姫さまには離れの村の住人3名を回収に向かってください。

 ついでの道中でのレベル上げもできれば幸いです。

 アイスさんが3名の村人を住民登録は済ませてくださっていますが、あちら方面を戦いの場にする事になりますので確実に避難させてあげてください」


 あとは戦闘チームの育成方法を確認しておきました。

 みなさん概ね問題ないので伸び伸びとメロンの様に大きく育ってください。


 アイスさんには黒猫(ピヨコ)を使ってお願いがありますので残っていただきました。



 *



 では、みなさんが出払ったので早速始めましょう。


 アイスさんが目をつぶり意識を集中します。

 時々表情がピクピクンと動くのが可愛いです。

 ジッとアイスさんの顔をうかがって楽しんでいますが浮気ではないですからね?

 心の中で言い訳をしながら待ちます。


 しばらくしてアイスさんが小さく2回うなずきました。


「そこにバルドルスさんは居ますか?」


 もう一度小さくうなずきが返ってきたのであたしは話しかけ始めます。


「ババカズコです、こんにちは。

 早朝から連絡とお願いがありましたので失礼します。

 大変驚きかと思いますが、今、あたしは自分の()から話しかけています。

 お渡しさせていた紙にてご連絡いただけたら幸いです」


 無事、アイスさんが黒猫(ピヨコ)を通じて接触(コンタクト)できたようです。

 その証拠に目の前にある紙に文字が走り始めました。


『おう、お嬢ちゃんかびっくりさせるな。何だこの黒猫は』


 今頃、ギルドマスターであるバルドルスさんの目の前ではピヨピヨ喋る黒猫(ピヨコ)が二足歩行で手ぶり身振りしているのでしょうね。想像すると笑ってしまいそうになりました。


「使い魔の黒猫(ピヨコ)です。すみません、知っているかもしれませんが急用が出来ましたのでご連絡させていただいています。驚かせてしまい申し訳ありません」


『急用ならしゃーない、用件に移ってくれ』


「軍隊が派遣され傭兵が動員されたと思うのですが如何でしょうか?」


『間もなく出発するところだった。狙いすましたようなタイミングだな』


「間に合って何よりです。お願いごとなのですがミッカダケお願いしてもいいですか?」


『ミッカダケでいいのか?』


「ええミッカダケでいいです!」


『本気だよな?』


「ええ、また追って連絡はしますけどお願いします。話が早くて助かりました」


『まあ、こっちの条件が達成できなくなると困るからな』


「そうそう、ジンバルさんの腕は無事に戻りましたよ」


 返答に大きな文字が書き込まれます。


『行幸だ!』


「また連絡しますので、その黒猫(ピヨコ)の世話をお願いしますね」


『ピヨピヨおもしれえ奴はこっちで預かっておく』


「ではまた連絡します」


『待ってる』


「アイスさんありがとうございました」


『アイスって誰だ?』


 集中していてそのまま話したみたいですね。

 アイスさんの頭を撫でて褒めておきます〝ナデナデ〟


 アイスさんは帽子をかぶると追撃の〝ナデナデ〟を防御しました。

 とりあえず傭兵部隊・冒険者の()は押さえれますので一安心です。

 残りの騎士1軍の対処法を増やしていくことにしましょう。



 * * * *



 お昼も順調でした。

 戦闘チームも疲れよりもやる気が勝っているようです。

 日中のほうが狩りがしやすいらしくレベルも14と15に上がっていました。

 アイスさんもあの後、狩りに出かけ31になっています。

 かなり置いてけぼりの感がありますのでアシュリーが戻ったら一緒に出掛けようと思います。

 



 * * * *



 夜になりアシュリーも戻ってきました。

 戦闘チームも疲労が見え始めたので少しずつ仮眠を挟むようにお願いしました。

 レベルの方は19と20です。かなり上がりにくくなっているそうですが丸一日で20レベルなら十分かと思います。

 アイスさんは31レベルのままです。

 姫さまたちもイカダを作って戻ってきています。

 姫さまが15・スペイン先生は20レベルになっていますね。


 アシュリーが紅茶を要求してきましたのでスペイン先生にお願いして入れていただきます。

 さすがにお風呂にすると風邪でも引きそうですので紅茶の葉を使ったベッドを用意しました。

 香りが気に入っていたようで『ねるのよー』と楽しそうな顔で寝ています。


 あたしはスペイン先生に更なる作成物をお願いします。

 思いつく限りの紙シリーズです。

 具体的には〝見える紙・聞ける紙・喋れる紙〟の3点です。


 スペイン先生はこの紙シリーズに要領を得てきたようで、この頃は要求も簡単に通り仕上がりもかなり早いので助かっています。

 次点で紙シリーズ以外にも用意してほしい物がありますのでお願いしていきます。

 そういえばサイカ姐は矢が欲しいと言っていました。

 装備品のいくらかは在庫がありますので戦闘チームにいきわたっていますが、消耗品である矢は別です。

 サイカ姐もそれは承知だったそうで使用後の矢を抜いて再利用に努めていたのですが100本ほどあった矢は消耗品なので間もなく尽きようとしています。

 それほどに使用率が高いのでしょう。

 スペイン先生は頭を抱えて悩んでいましたがどうにかなるでしょう……きっと。


 鍛冶屋がありませんので分かっていましたが何事もスペイン先生頼みになっていますね。

 反省しても何も生まれないのでしませんが――非常に感謝をしています。



 そして今晩も頑張る方々に黄色い液体の入った瓶を手渡していきます。


「この黄色いポーションは麻痺系の治療にも役立ち疲労回復を促進しますのでお使いください。

 赤と青のポーションも減っている様なら十分に補充してください」


 誰も動こうとしないのを見かねてかアイスさんが青のポーションを数本抜き取り、それを見た残り面々が申し訳なさそうな顔で赤のポーションを各自1本ずつ入手していきました。

 明日はもっと取りやすいように山ほど並べようと思いまいます。

 またスペイン先生の仕事が増えましたね。


「ポーションは効率が上がりますので遠慮なく持って行ってくださいね。あとポーションの材料になるメモ書きを明日の朝お配りしますので調達もよろしくお願いします……あ! そうだ! 竹藪をもし見かけたら〝月下美人〟の採取をお願いします。あれは夜にしか咲かないそうなので、新芽の竹にだけ咲く白い花です」



 夕食時、3チームに向けて情報を伝えました。

 本日の朝、軍隊が進軍を開始しました。

 準備期間 残り6日予定です。

 __________________


 ■後書き■

 現在の人口:38名(+1移籍予定者)

 やりたいことリスト(今日の達成した出来事)

・達成なし(レベルの底上げ)


 総合レベル目標270/510


 正直に言います!

 スペイン先生あってのカズコです。

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