021 『金平と金平』
馬場和子です。
一件落着ですね?
これで心置きなく姫さまを口説くことができます。
違いました!
シスターを説き伏せました。
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■帝国歴308年 春の一月、十二の日(昼)■
孤児院の移籍のお話がまとまりましたが結構な数の子供たちになります。
具体的には男の子7人・女の子5人です。
連れていくにも一苦労なのでハズキに先導してもらうことにしました。
ぐうたらな最年長の男の子もいるのですが、ツバキちゃんの方がシッカリしていますからね。
ハズキを含むと合計13名ですね。シスターを含みますので総勢14名です。
「苦労を掛けます」
シスターに改めて声を掛けられました。
いえ、姫さまの為なので苦労もなんのそのです。
ともあれ川が流れてて始まりの街まで繋がってるなんってことありませんし。
「どうしましょうか? 何か名案ありますか?」あたしはアシュリーの面倒見るだけで精いっぱいですし姫さまを見つめるのに大忙しいです。
せめてもう一台、馬車があれば全員乗れそうなんですけどね?
乗り合いの馬車はあるそうなのですが、もちろん反対方向にしか便がありません。
購入も出来るようなのですが今日買って、今日受け取りとはいかないのだそうです。
馬車は基本オーダーメイドなので1か月ぐらいかけて作る贅沢品になるとの事。
「中古の馬車とか無いんですかね?」
聞いたことが無いそうです。
馬車を売るのは恥になるらしく、密かに処分されるのだとか。
それにそのような落ち目の馬車には買い手がつかないのだそうです。
そうこうしていると昨日の3兄弟が息を切らせて走ってきました。
「探しましたぜ! あねご!」
姉御はよしてくださいそんな歳ではありませんし、どうせ拝めるなら姫さまにしてください!?
「わかりやした! 小姐!」ん? 何ですかそのおもらしをしそうな呼び名は!
「あれ? そうすると姫さまのことは?」
「大姐です!」
もう呼び名はいいや~好き呼んでください。
「それで? 何があったの?」
「親分が、『何で金目の物を奪ってきた!』ってカンカンなんでさ~」
「意味が分からない。どういうこと!?」
金目じゃなくて 金の像でもほしいのかしら? 琥珀で良ければどうぞ!
いつのまにかチンピラな三兄弟があたし達の前で正座して綺麗に並んでいます。
「えっと~それで例の魔石は渡したのですよね?」
「もちろんでっさー!」
「金目の物は渡したのに怒ってると?」
「そうでっさー!」
「とりあえず取り返してきてくれます?」
「そんなことしたら」
「俺らの首が飛んじまう!」
顔を上げた3人が青ざめた顔になます。
「首って飛ぶんですか? 見てみたい気もしますね。さぞ愉快に飛ぶのでしょうね?
でも流血はやめてくださいね? 掃除が大変です。
という訳で、知ってることを全部話すところから始めましょうかー」
ガチガチになった体でうまくしゃべれないながらもポツポツと真実を打ち明け始めます。
そもそも、親玉とやらの目当てはシスターの身体だったらしく、策を講じて借金まみれにしていたのだそうです。
それも用意周到に両親を嵌めてまでも……。
もしかしてシスターの両親が最近になって死んだのって……。
実行犯ではないらしいですがそのように仕向けた片棒を担いでいたそうです。
「すいやせん! あっしらのせいです。死んでお詫びします」『ゴン!』
「「お詫びします!」」『ゴツン!』両脇の男も床に額を打ち付けます。
「死んで済むなら〝弁護士〟いらないんです!」一番嫌いな言葉を言われてあたしは青筋を立てて怒りました。ところで? 青筋って何ですかね? 冷静になりましょう。ひっひふー。
「弁護士が何かわからないけど、そうねぇ~死んでもダメね」姫さまがあたしの言葉を擁護くださいます。
「とにかく死ぬのも土下座も金輪際禁止です!」ところで、金輪際って何?
「どうしたのカズコ? 顔が青いし、怖いわよ?」
「ちょっと〝床〟で嫌な事を思い出しまして~口直しとかお願いできますか?」
「カズコ、お腹が減ったの~?」
「いえ、違うのです。昔、金縛りから逃れようとベッドから落ちてしまい。体が動かなくなったので床とキスしていたことがあります。人が来るまでの間ずっとですのでディープキスに該当するかもしれません……。
床はノーカウントだと思いたいです。
え!? 味ですか? 消毒液です……」
ともあれ、この3人は始まりの街で更生さるべきかと思います。
名前を尋ねますとニジン、ゴボー、ゴーマと返ってきました。ニジンがリーダー格のようです。
これはもう~チンピラじゃなくてキンピラですね金平三兄弟 金平糖みたいで甘そうです。
孤児院の移籍は確定事項なので二台目の馬車が早急に必要ですね。どこで調達しますか?
「馬車ならあっしらにお任せくだせい! 当てがあります」よし! 任せました。他力本願を発動させます。
*
そういって案内されたのは冒険者ギルド……当てというか本拠地じゃん!?
お昼前の時間ですが中には、またもや昨日の男女がいらっしゃいます。
「昨日はごちそう様」男性があたし達を見付けると改まってお礼を言ってきます。
「ごちそうしたのはこちらの姫さまですよー。あたしは提案しただけです」
「キンピラどうしたんだい?」男性が後ろの三人に声を掛けてきます。あー通り名やっぱりキンピラなんだ~。
「旦那を紹介しようと思いやして~」ニジンが代表して答えます。
「僕をかい?」
「ヘイ! それにあっしらこの方々の護衛で都市から出るんで挨拶も兼ねまして」
「うまく足が洗えたのかい?」
「そっちはどうにも~鬼のヒロキに怯えつつも逃亡の一手でさ~」
「それは好きにすればいいが、紹介とは?」
「旦那の持ってた馬車貸して貰えやせんかね? もちろんあっしらにでなくこの方々に」
あたしたちは新しく村を作った事を説明し、どうやら勝手についてきそうな3人。というか更生させる為に連れて帰る事を伝えます。
「もちろん、また戻ってきますので馬車はその時にも返却ということではどうでしょうか?」
値段を交渉したところ使ってないのでタダでいいそうです。その代わりに飼い葉やメンテナンスをお願いするとの事でした。
「ところで、昨日ここに居た人たちはどこに行ってるんです?」
「みんなは狩りに出かけてるよ?」
みなさんは仕事で狩りに出ているそうです。お兄さんはお留守番ですね。
朝一番に張り出される依頼書を確認して、今日の仕事内容の方向性を決めるのだそうです。
「早起きですね」と伝えたら。
半分ぐらいは飲んだ後、そのままここで朝を迎えるそうです。
昨日はほぼ全員ここで飲み明かしたそうですが……。
いつも誰か来ると気配で起きるので、寝坊しなくて便利だとおっしゃっています。
たくましいですね。冒険者さん恐るべしですねー。
タフです。タフガイとはこの事を言うのでしょうねー。
依頼書ですか~。
張り出されている方に進み寄ります。
がら空きのカウンターでは一人の女の人がまたもや突っ伏して寝ています。
いえ、寝ている振りをして案の定隙間からのぞいていますね。
ホント今日といい、昨日といい……何なのでしょうかね?
カウンター横の一番右手の壁ですが一面コルクボードになっていますねー。
いっぱい張り紙があります。これが依頼書ですか~。
チラホラと空いた場所もありますね。
空いている所は受注されて剥がされたからだそうです。
あっ、お兄さん説明ありがとうございます。
それにしては紙がいっぱい貼られたままですねー。
爽やかに笑われました。
なんでも。受注すると期限に責任を持たなくてはいけなくなるそうです。
そして、依頼を横取りされなくなる代わりに。違約金が発生するそうです。
しかも、いったん先払いになるのだそうです。
報酬額の半分~期限が近いと3倍ぐらいなんですって。
失敗したら大赤字ですね。
厳しいお仕事なのですね……知らなかったです。
厳しいといえば、このお兄さん。
右手がありません。肩口からパックリと魔物にかじり取られたそうです。
あたしは指があって……よかったです。
「よく生きてましたねー」全くだとさわやかに笑うお兄さんが居ます。
爽やかボーイですね。
このお兄さんの好感度が上昇中です。
「もう冒険者は辞めたのですか?」と尋ねました。
竹を割ったような性格と褒められました。
褒めたんですよね? たぶん。
なんでも利き腕が無くなったので、今は皆の管理者みたいな事をしているそうです。
パーティの調整なんかもやるそうです。
パーティって昨日の晩御飯のビュッフェでやった食事会的なパーティーじゃ無いですよ。
同じ仕事を請負う仲間の集まり。パーティです。
みんなで集まって食事を楽しむ会。パーティーです。
まぁ、あたしたちはチームと呼んでいますけどね! カッコイイでしょ?
きっとお兄さんは面倒見が良いものでしょうねー。
好感度がうなぎ登りです。
大変そうなお仕事ですねって言ったら、やりがいがある仕事だって返ってきました。
ヤッパリうなぎ登りです。
「もうかっていますか?」アキンド根性で聞いてみます。サポーターなので商人ではありませんけどね!
10パーティもの管理を受けているそうで、人数にも寄りますがパーティの上り(もうけ)から1%ほどの上りをもらうのだそうです。
安全圏から活動するのでぜいたくは言えないとの事です。
仕事が出来る大人って感じがしますね。
私も便利屋稼業だったので親近感半端ないです。
もう正にうなぎパイです。
聞こえてしまったようで[うなぎパイ]の意味を聞かれました。
精力がつくお菓子で夜のお供だと答えておきました。
お兄さんがお嬢ちゃんならいつでも歓迎だと言ってくれました。
夜のお供ですか? すみません、まだまだ子供なので勘弁してください。
カズコは身も体も子供ですので。
あれ? 同じ意味ですね。
失礼、身も心もまだ子供のようです。
からかわないでください。
そして、意気地なしでスイマセン。
それでお兄さんは皆が戻って来るまではお暇ですか?
なんでも管理しているパーティには休日や本日帰還する方も居るようで待機中なのだそうです。
前者はおいしい依頼(低リスク・高リターン)が発注された時に知らせ、後者は戻ってきた後の処理や帰還に遅れた場合の対処をするそうです。
「管理業務に余力はありますか?」聞いてみました。
ダメ元ですが人集めを少しでも手伝って頂きたかったのです。
少しなら時間のやり繰りができるそうなので、この場所でお昼までお話をさせて頂くことになりました。
簡略して用件を伝えてみました。
①新しく村を立ち上げたので村人を募集している事。
②村人に新しい人生を歩んでいただいてサポートをおこなう事。
③村の発展に寄与できるような人材を求めている事。
④魔界ZONEに人族エリアとして成り立っている事。
などです。
第一声で返ってきたのは「少なくとも飯が食っていけるか? それが最重要!」当然だと思います。
⑤各産業が立ち上がれば食べていけるようにはなるので、その前段階を構築したい事。
⑥パン屋さんやお肉屋さんに相談を持ち掛けてみた事。
などを追加で話します。
結局のところ食の確保が第一優先で、何か産業の目処があるなら物資の行き来も生まれるとの事です。
凄く共感です。
なんだかヒヨコが先かニワトリが先かみたいな話ですね。でもどう考えてもヒヨコが先ですよね?
ということで、食の確保が出来るように手段を用意しましょう。
「食の確保は魔獣狩りとかどうです?」お肉の他にも必要でしょうけども……まずはヒヨコです。
お兄さんが言うには。魔界なので腕のいい冒険者がいないと安全確保ができないのだそうです。
姫さまがここで重大な事案を告げてきます……参りました。
基本始まりの村の住人でないと活動できないのだそうです!!
理由は主に治安面だそうです。
一時的に出入りは出来るそうですが、長い目で見て移住してもらわないといけないのだそうです。
そういえば村を大きくしないとでしたねー。
再確認なのですが、移住するにはあの人生リセットは必要なのですよね?
もちろん必須との事。
人生リセットのメリットを考えた方がいいですね……そんな気がしてきました。
「お兄さんは人生がリセットできるとしたら……どうなりたいですか?」
愚問でした。
冒険者をやり直したいそうです。そうですよねぇー。
利き腕カムバック!って思いますよねー。
流石に人生リセットしたからといって五体満足になりませんよね?
ええ一からやり直したところで……。
え?
一から?
はい。
やり直すのだから。
はい。
戻るんじゃないか?
ちょっと意味が分からないんですけどー。
姫さま何って言いました。どういうことです?
「今! なんだって!?」
あたしを押しのけるように食いついたお兄さんが居ます。
落ち着いてください。ちゃんと聞き出しますのでー。
全てをリセットする代わりに、年齢はそのままに第二の人生が始まるとの事。
その第二の人生でどうして体が戻るのか分かりません!?
体験者ではありますけども……。自覚的な症状はありませんねー。残念ながら。
念のためにもう一度聞いておきます。
あれ? お兄さん、顔が青いですよ??
姫さま、第二の人生におけるデメリットを教えてください。
①すべての経験がリセットされる
②所属が始まりの街になる
③元には戻れない
だそうです。なるほどなるほど。
他にも細かくありそうですが気付いていないとの事です。
では次にメリット教えてください。
①新しい体と特性が身に付く「発覚する」
②職業を選びなおせる「自分で選択できる」
③土地が余っているので分配が可能。
だそうです。なるほどなるほど。
①は今、気が付いたそうです利点に……。
(「カッコ」↑のところはあたしが補足を加えて伝えました)
そういえばちょっと気になったのですが①の……。
お兄さん! 何ですか急に手を握り締めてー! びっくりドッキリですよ‼︎
求愛ですかー?? 次は断りませんよ? イエ! あたしには決めた人が居ます!
あれ? お兄さん今度は顔が赤いですよー?? きっとあたしも赤いですけど。
照れないでいいです。あたしとー。
「違います」ええ、そうでしょうとも。ざんねん。
「新しい村人になりたい」あたしと? 違いますね。ええそうでしょうとも……。
ええ!!??
これは村人獲得ですか!? しかもマトモな! キンピラ3兄弟を見ます。
今の話の流れだとデメリットがうなぎ兄さんにとっては無く。
メリットが特大なのだそうです。
冒険者の第1号ですね! 分かります。(ありがたいです! 感謝です)
しかし、こんな嘘みたいな話、よく信用できますねー。
あたしも人の事いえませんけど……。
メリットその④
姫さまと要相談な案件ですが、お給金の話は必要なかったですね。
お金を使って釣る気満々でいたのですが……。
というか言いかけて凄く気になってるんですけどー。
[①新しい体と特性が身に付く]
特性って皆に身に付くんですね。
私、健康なんですが……。
本当に状態ではなかったらしい。
特性=健康 何なのでしょうね?
でもまぁ、長生きができそうなので良かったです!
早速! と行きたいところなのですが、今の仕事の事後処理に時間が掛かるそうです。
それでも、色々終わらせてくると冒険者ギルドを飛び出していきました。
「また来ますので続きはその時にでも~」
そうでしょうねー。10パーティに説明するだけでも大変そうです。
説明といえば。うれしい事に自分の事情の説明をする過程で募集も手伝っていただけることになりました。
さすがはうなぎ兄さんです!
今回の出来事で分かったのは、きちんと説明すれば対象者が現れるという希望でした。
始まりの街は名前エスポワール(espoir)がいい気がします。
ダメですかね? たしか、幸運の船の名前で縁起がいいそうですよ。
「なんでもいいよ~」と姫さまです。
結構その辺は軽いというか雑ですよね?
さすがです。ザッツです!
ん?
ちょいちょいと指でお姉さんに呼ばれました。
なぜかカウンター前に出てくると腕を組み仁王立ちをします。
いい予感はしませんが行ってみましょう。
あー先ほどの話が丸聞こえだったそうです。
騒がしくてホントすみません。
まぁ隠す様な事でもないですし。寧ろあるなら拡声器で宣伝したいぐらいですから。
喜ばしい事なのですけどもねー。
「いい村~あるよ~お村だよ~♪」ちょっと芋屋台の呼び込みを真似てみました。
このお姉さん日焼けでこんがりな顔をしています。目尻もきつめで銀色のアイラインが入っています。
これってガングロっていうのでしたっけ? ガングロとは顔面が黒い人のことだと思います。きっと近いと思います。お会いしたことがないのでよくはわかりません。ごめんなさい。
何かお姉さんは怒っている様です。おちょくるつもりはなかったのです。
何故かお姉さんが言いにくそうな表情で人差し指を繋げてモジモジしています。似つかわしくないですしモザイクです! ちがったブザイクです。
それに言いにくいのなら、言わなくていいんですよ? 聞かなくて済みますので!
「トイレならあちらです!」違う? 何でしょう?
「ああ! あれですね。毎月のー」
「違う!」違うんですね?
「察して」何をさすればいいのでしょう? お腹ですかねー?
「つわりでさすれって事ではないですよね?」
「つわれるなら、つわりたい!」怒鳴られました。いえ、叫ばれました。
好きにつわればいいと思います。
あのお兄さんでつわりたい?
ああ、なるほどー。好きなんですね~好きにしてください。
ちょっといいかなーとは思いましたが。先約が居るなら譲ります。
先約ではないと……。
でも予約したい。
「ご新規様ご予約入りましたー!」大声出すなと叱られました。
もう! 何なんですか。
好きにしてくださいよー。
え? 手伝え?
何を言っているのでしょうか、このお姉さんはヤンキーか何かです? 絡むのはやめていただきたい。
お似合いだからお付き合いをすればいいと思います。
打ち切ろうとしたのですが。せがみ掴まれました。
どうしたいんですか。ほんとにもう! 放していただきたいです。
「え? もっと詳しくさっきの話が聞きたい?」分かりましたので放してください。
「だ、そうですよ。姫さま」振り向き姫さまに振ります。
「全て話した」うんうん。
「だ、そうですよ。ヤンキー姉さま」
「アタイも行っていい? それにヤンキーじゃねぇし」
「ええ歓迎します。ええ? 来ちゃうの? マジですか?? ヤンキーなのに?」いえ、ヤンキーは関係ありませんでした。首締まるのでやめてください……。
その恋、実るといいですね。
そんなに簡単に決めちゃっていいのかなー?
ああ、あたしが言うなって事ですね。分かります。
天使だと思ってたからなぁー今でも少し思ってますが。
キューピットになってほしい?
ほら~姫さま! 出番ですよ。天使・キューピットお願いします!
「キューピットが何か分からないわね?」
恋もしたことないあたしに頼むなと言いたいです!
「あれれ~カズコってば、あたしのことは?」
え!? 姫さまの事? 恋じゃないです愛です! ……純愛です。
恥ずかしいので言わせないでください。
恋は盲目とはうまくいったもんです。
さては節穴ですね、お姉さん!
「で? いつから来ます??」今から???
「どういう事ですか?」先に行って待っておきたいと。
「ああ、あれですね。向かってきたところに食パンを咥えながら飛び込むんですねー」
「この世界まだ食パンありませんけどね」
「作るところから始めましょうか……食パン」軽くパンチ貰いました……ワンパンチ。
ちょっとストーカー気質ですね。このヤンキー姐。
「いいんですか? 姫さま、ヤンキーですよー?」人が増えるなら無問題と。
なるほどーわかります。
盲目だけに目をつぶるという事ですね。
さすがは姫さまです、ヤンキー風に言うと「イカします!」
一生ついていきます!!
あ、あたしもストーカー気質だったみたいです。スイマセン。
あれ? お姉さんが奥に行って怒鳴ってますね? いつのまに……。
何でしょうか?
「こんなセクハラ職場辞めてやるー!」との事です。
セクハラって言葉あるんですね? この世界。ヤンキーもありますし、あるんですねー。結構、和製英語だけが定着しているイメージです。
「どうせならイケメンにセクハラしてほしい!」って聞こえてきました。
お兄さんは出掛けたみたいなのでー。確かに叫んでも大丈夫なんですよ? でもね、イケメンはセクハラしないと思います。あたしだけの持論かもしれませんが。
で? ヤンキー姐さん本当に今から来るんですね。
「さすがはストー……」いえ、なんでもありません。
「ストッカーって言ったんです」はい首に手を持ってこない!
意味?「えっと~愛の貯蔵庫ですね」
流石です。
おだててみました。
思いのほか、チョロかったです。
チョロインでも良いかもしれません。
何ですか? チョロイン姐さん。
いえ、言いにくいのでチョロ姐さん。
「仕事もやめたし早く行きたいんだけどよー」
「ほんと早いな。もうー!!」思わず突っ込んでしまいました。
ついでに小突くのやめていただきたい!
「姫さまは大丈夫です?」無問題。ええそう言うと思っていました。
知ってました、流石です。
「チョロ姐は準備とかないんですー?」
「誰がチョロ姐だよー」
「一人しかいませんよね?」
「まったくよー! いいから早く行こうぜー!」
「どこに行くんですか? お嫁ですか?」ちょっとおだてておちょくるとチョロ姐は乗ってきました。
「なんもいらねぇーんだよ。着の身・着のままでお嫁に行く」好きにすればいいです。むしろ裸で体当たりするといいです! アシュリーみたいに……。
のちほど募集を手伝いに来て。あわよくばお兄さんと一緒に……付き添いしたいそうです。
頑張ってくださいねー。ちょっとひとごとです。いえ、盛大に他人事です!
そこまで思い詰められるのはスゴイと関心はしています。
とはいえ。さすがに着の身着のままはどうかと思います。
いえ、裸を推奨しているのではありませんよ?
アシュリーですら半透明の服を着ていましたし、チョロ姐には見つけたら馬鹿には見えない服をプレゼントします。
「カズコには見つけられるのかしらね?」何がですか? 姫さま。
「だって馬鹿には見えないんでしょ?」お言葉ですが姫さま! あたしは馬場です。
「知ってるわよ~?」
そして、裸一貫はいいですがヒモ2号は要らないと思うのです。というか要りません!
あたしが言うのもなんですがねー。
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■後書き■
現在の人口:18名(+19移籍予定者)
やりたいことリスト(今日の達成した出来事)
・達成なし(冒険者の住人とヤンキーを獲得)
正直に言います。
なんだか子分のように付いてくる、年上の人がいるようです。
おまけにもほどがあると思います……カズコです。




