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018 『通信と飛行』 春の一月、十の日

 馬場和子です。


 アシュリーが使い魔を連れて帰ってきました。

 アイスさんのように、会話が成立するようになればいいのですけどね?



 ――――――――――――――



 ■帝国歴308年 春の一月、十の日■


 翌朝に始まりの街を出発しました。

 アイスさんがお留守番、身代わりの黒猫(ピヨコ)は馬車の片隅で丸まっています。


 昨日話し合った、魔法の紙の第四弾が正式に発行されました。

 出発前、みんなに配られています。

 といっても自分の背丈ぐらいある紙を渡されたアシュリーは、アルキマワロの背中に貼り付けていましたが……。

 その配られた紙は、真四角な折り紙みたいな感じで、自分以外の各色紙を手渡されます。

 姫さまが赤。アシュリーが黄色。スペイン先生は薄紫。アイスさんは水色。あたしは薄緑なのだそうです。

 色はイメージで決めたとおっしゃっていました。


 で? 各自に配られた用紙はどのように、使用すればいいのですか? 馬車の中で改めて質問を始めます。


「昨日の失敗作のままでは一方通行になってしまうので、張り合わせを両面にしたのでございます」


「それで?」と促すと。


「伝えたい相手の色の用紙の裏面の白い所に文字を書き込みます。

 すると相手の色のついた部分に文字が反映します」


 具体例を挙げると。

 スペイン先生が薄緑の裏の白い面に文字を書くと、あたしの薄紫の面に文字が浮かび上がります。

 張り合わせと色で、誰からのメッセージか直ぐに分かる仕様ですね。素晴らしい。

 破れば効力を失うので、注意との事でした。

 内容破棄にまで心配りが出来るなんって!

 さすがっす!


 神マスターですね! 違った紙マスターですね。


 それにしても凄いですねー。

 第1弾に伝わる紙。

 第2弾に燃える紙。

 第3弾には飛ぶ紙

 第4弾で伝える紙ですか。

 第5弾で攻撃できる紙とか作れませんかね?


 無いものねだりのあたしは、ダメ元でスペイン先生に質問してみました。


「攻撃できる紙でございますか?」そうなんです。攻撃方法の確立されていない、あたしの為に何か名案をお願いします!


 沈黙し考え込むスペイン先生です。


 あたしは黙っていると息が出来なくなりそうなので、いつものようにそれとなく呟きます。


 例えば紙に、各様々な魔法とかが込められていて、開くと使用できるみたいな感じ?

 それがあれば魔法の使えないあたしにも、色々な出番が増えると思うんですよね~。


 逆に疲れを癒す紙とかどうですか? シップ薬を思い浮かべてしまいますね。


 あとは~さらに逆に貼り付けると激痛がするとか? トウガラシ満載だと、顔などに貼り付けて攻撃できますかね?

 そういえば飛ぶ紙ってどんなのでしょう?

 やっぱり飛行機の折り紙にして、飛ばすのですかね?


「本来は飛ばす要素では無かったのですが、飛ばすのに大変都合がよくなっております」そういってスペインさんが一枚の紙を取り出すと、紙の角を人差し指中指と親指で摘まみ、指にグッと力を込めました。

 するとどうでしょう~ペロンと垂れ下がっていた、灰色の紙が真っ黒になりビシっと起き上がります。

 触ると鋼のように固くなっています。で? 飛ぶんですよね?

 そう思っていると、馬車の外に「ソイ!」と投げつけました。

 まるで折り紙の手裏剣が飛ぶように回転し、外にあった木に刺さります。


「アシュリーさま、あれを取ってきていただけますかな?」


「はいなのー」といって飛び立ちます。


 木に命中した紙は、灰色に戻りしなだれています。アシュリーがしなだれた部分を引きちぎり、戻ってきました。灰色であったはずの紙は、白くなり単なる紙になっています。


 食べ物ではなく、残念がっているアシュリーがいますーーが。ほっときましょう。

 スペインさんが新しい灰色の紙を下さいます。見よう見まねで紙に力をこめると、紙が黒くなり硬質化します。

 さらに見よう見まねで投げてみます。おそらくコツは手首の返しかな? そう思い投げつけてみました。

 やはり、あたしには才能が無いようでした……前には投げれるのですけどね?


「前に飛ばすだけなら、紙飛行機でもいいと思うんですよね-」


 スペイン先生に単なる普通の紙を頂戴して、あたしは紙飛行機を折ります。

 まずはやり飛行機で前に飛ばします。病室でも遊んでいたのでお手の物です。

 御者をしてくださっていた姫さまも、食いついてきました。

 スペイン先生もあたしが折るのを、真剣な目つきで見ています。


 更に先尾翼風の翼のあるイカ飛行機を折り、姫さまに手渡します。

 肘から上だけを、前に差し出して投げるのがコツです。


 姫さまがシャッと投げた、イカ飛行機にアシュリーが飛び移ります。


「ひくーなのー!」飛行機です……たしかに低空ですけども。


「なるほど、興味深いですな」

「他の紙も使い方を考え直してみますかな」


 結局、あたしの新しい攻撃手段には、至りませんでした……。


 その後、都市に到着してからの、各自の動きを相談しました。

 スペイン先生が御者を交代し、姫さまとあたしは毛布にくるまれて就寝します。

 都市に付いたら、真っ先に大きな毛布を買うことを提案したいと思っています。


 だって……コレ、一人用なんですもの~。



 ――――――――――――――

 ■後書き■

 現在の人口:18名

 やりたいことリスト(今日の達成した出来事)

・外で紙飛行機を飛ばす(攻撃手段の発注)


 正直に言います!

 あたしも……飛行機に乗りたいです!

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