表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

16/40

016 『開墾と甜瓜』 春の一月、九の日

 馬場和子です。


 さすがにお嫁さんという職業はなかったようですね。

 そして、自宅警備はいなかったですが、家事見習いかー。

 引きこもらないことを祈りましょう。



 ――――――――――――――



 ■帝国歴308年 春の一月、九の日(午前)■



 子供さんやお年寄りですが人口が一気に1桁増えましたね。

 それにともない色々な物が必要になってきますね。


 えっとー。お料理だと……さしすせそ?


 なんでしたっけ? 戯語食(ぎごしょく)? あそんで、かたって、たべて……もう寝るだけですね。


 そうじゃなくて、本物の魏呉蜀ぎごしょくは三国志で……ですから……囲碁色……。


 なかなか出てこないです。いごしょく……。ああ! 衣食住です!


 そうそう、衣・食・住ですよ! 着る・食べる・住む。


 近いのに非常に遠かった気がします。



 食べる物、住む所が早急に必要ですね。着る物は都市に行くついでに買ってきましょう。



 そうすると次は食べ物です。

 食べ物は大量に調理できる場所といろんな設備が欲しいですね。

 今後も一気に作ってみんなで食べる事になりそうですし。


 調理場は後日相談ですかね?

 ひとまずはこの館の台所で間に合わせます。


「いいですよね? 姫さま」姫さまが両手の指を繋げて輪っか○を作ります。かなりツーツーになってきましたあたしたちです。


 ツーツーてなんでしたっけ? 通通だったかな? 通といえば、通じるそんな意味だったかと思います。阿と言えば呆というのもありましたね。


 まだまだ人口増を目指さないとなので調理場所は必要不可欠になるでしょう。


 最後に住むところですね。

 ひとまず、始まりの館のスペースを利用して寝泊まりをしてもらいましょう。

 ですがこちらこそ早急に必要ですね。


 そんなわけで、みんなで固まって生活できる簡易的な長屋を作る事になりました。

 これには乗ってきたイカダが役に立ちます。

 材料が足らない分は近くで伐採し持ち込むようです。

 そのために船着場から取りかかるようです。

 主にスペインさんが……。


 食糧は当面購入するとして。

 畑の作成にも力を注ぐことになります。


 子供達の勉強は読み書き計算が出来る様になりましたが、勉強会も大切です。

 午前中は勉強会。お昼から畑仕事の手伝い。

 小さな体で各自、頑張ってくれるそうです。

 たまに自由時間も作らないとですね。

 誰が面倒をみるか? すべてご老人たちにお任せです! 他力本願真っ盛り。

 立てるならば老人でも使え! でしたっけ?

 立つ前に顎で使えでした! 意味は便利な奴は顎で使えるだったかと思います。

 よし! 顎で使います……どうやって?

 口で言うかわりに顎をしゃくって指図をだす……でしたよね?

 顎しゃくれて無いのでどうしましょうか?

 しゃくれている人を探せば万事解決です!

 都合よくいた面長の村長に子守を任命します。


 とりあえず今日もスープを作ります。

 ちょっと遅くなりましたが朝ごはん兼用でお昼御飯です。

 魔女が使っていそうな特大鍋に野菜やらお肉を順番に入れていきます。


 お料理のコツはさしすせそでしたっけ?


 まぁ、調味料はほとんど使いません。

 素材の味で勝負です。

 調味料は希少なので最後の調整に使うのが一般的です。


 最後に柔らかめのお肉を追加で完成です。

 朝昼兼用なので贅沢にチーズありです。

 お鍋にチーズ入りも考えたのですが、一度試験運用してからにします。

 時期尚早ってやつですね。


 みんなで食事をしました。大勢で食べるご飯は美味しいですねー。

 あたしは子供達に笑顔が戻ってきて嬉しいです。


 さてさて、ご飯を食べながら今後の行動予定を話し合います。


 あたしは姫さまというお財布を持って都市に食糧の買い出しに行きます。


 スペインさんとアイスさんはお留守番ですね。

 お二人は残って村人たちの手助けをお願いします。


 村人たちはお勉強会やら畑造りやらですねー。

 姫さま畑ってどこに作ります?


「街の~敷地内ならどこでもいいよ~?」


 と、言われましてもねぇー。

 じゃあ、逆に長屋はどのあたりにします?


「スペインとの間ぐらいかなぁ~」

「近い方が~集まりやすいでしょ?」


 ええ、あたしもそう思います。

 そして、あたしの家は一番遠いです。

 あたしバカ屋……。


 □             ■     □長屋(予定)□    □

 ↑アイス宅(岩)      館(現在地) スペイン屋敷(協会)↑






               ↑

             ←広場→

               ↓







 □←カズコ屋


 しゃがみ込みすねたテイで地面にMAPを書きます。

 こんな感じになりますかね?

 我が家……仰げば遠いし。


「長屋はわたくしが作りますので、カズコ殿は畑を優先してくださいませんか?」さすがはスペインさんです効率が段違いだと思われます。さすがっす!


「そうしましょうか~」姫さまがあたしを見てはニコリと笑います。


 何でしょう? 今! 意思の疎通(そつう)を逃しました。

 ツーカーの関係に早く成らねば! ツーカーといえばたぶんツーツーの上級なんだと思います。


「えっと~畑を全員でやっつけるって事ですか? 姫さま」


「内緒?」またもや疑問形です、なんでなんでしょうね?


 [秘技:内緒]が出ました!

 あたしはもうめろめろメロンです。

 そうだ! メロンも食べたい! メロンが食べたい。作りましょうメロン!


「姫さま! メロンは野菜だと思います!」


「どうしたの? カズコ~」


「えっとー甘いものも食べたいなと思いまして」

「といいますか只々(ただただ)()()メロンが食べたいです!」


 だって高いんですもの~庶民に手が出るとは思いません。

 10(ゴールド)ぐらいしてた気がします。


「そう~じゃあ、一部をメロン畑にするのもいいね~」


「やったー!!」思わずガッツポーズが出ました。


 これで念願の()()()()メロンが食べれます!

 美味しいですよね? あれだけ高いのですから~♪


「私は好きよ~?」


 あたしの事がですか? 嬉しいです。

 えっメロンの事ですよねー知ってます。分かってますとも~脳内変換ってやつです。


『カズコの事、好きよ?』エヘへ。


わたくしも好きですなぁ~」上書きされて現実に引き戻されました。


 子供たちもメロン食べたいって……。引っ張らないでください。

 大盛り上がりです! メロンを知らずに騒いでいる子がいる気がします。


「「「メロン! メロン!」」」「レモン」「ペロン」メロン連呼の中に酸っぱいのと舐めてる子がいます。わからずに連呼するのはやめましょう!


「じゃあ、高級食材の畑作るって事でいいです?」

「苺なんかもいいなぁー。時期的にもピッタリですしねー」


「なるべく~高級な食材の畑にして、産出しましょうか~折角せっかくですしね~」


 マジですか! 「姫さま。愛してます!」

 やりました! 「苺やメロンが食べ放題~食べ放題。ヨロレイヒ~♪」


 姫さまにクスクス笑われました。


「野菜畑()自作しましょう~皆さん頑張りましょうね~」


「は~い!」あたしも含め一同、元気に答えます。



 さてさて、食事も済んだようなので取り掛かりますか? 道具が必要ですね。ありますか?


わたくしの家にきてくださればお貸しできますぞ」


「では! 道具を取りにスペインさんのお屋敷に一度参りましょうー」


「ん」


 全員で向かおうとした所、アイスさんは別行動をするそうです。


 では、約一名を除いて、ぞろぞろとスペイン屋敷に向かいましょう。


 くわやらシャベル、スコップみたいな感じの3種類の道具がそれぞれに手渡されました。

 子供たちはスコップですね。なぜかあたしにはシャベルが手渡されました。ピッタリですね。お喋りなだけに……。自分で言ってて切なくなりますが。


 切なくなりつつもやる気を出して土にしゃべりかけると姫さまから待ったが出ました。


 今、いいとこだったんですけどねぇー? 土に向かって祈願するみたいな語り掛けをですねー。


 ここはプレートの力を借りる? えっとーアレってー畑もつくれちゃうんです?


 スペイン屋敷の隣で姫さまが立ち止まります。

 姫さまは黄色のプレートを差し出します。

 色の違う魔法のプレートが登場しました。今度はジックリと見なければです。


 姫さまがプレートを静かに土地に捧げます。

 どこに居たのか小人さんが現れます。

 俺っちにお任せ! みたいな感じでワラワラと集まってきます。あたしの家のゴッコもやってきています。


「七人だぜ全員集合!」それはお約束なのねー。


「畑を作って欲しいの~」


「ガッテンしょうちでやす!」小人さんがどこからかシャベルやらスコップを取り出します。


「畑はどのように!?」黄色の小人さんが姫さまに質問してきます。


「高級な野菜を育てたいので~土地の質にこだわって欲しいわ~」


「ヘイ!お任せ」


「ヘイ! ヘイ! ヘイよっと!」小人さんが土をドンドンひっくり返していきます。


「ヘイ! ヘイ! ホラよっと!」小人さんが土に何か黒い物体を撒いています。


「ヘイ! ヘイ! ソラよっと!」小人さんが土に何か黄色い液体を撒いています。


「ヘイ! お待ち!」蕎麦屋か! 思わず突っ込んでコケそうになりました。


 あっという間に黒々とした土色の畑が完成です。


 村人達はボカーンです。ポカーンの上級版です。


「なにすげぇ~」

「小人すげぇ~」

「小人かわいい~」

「やべぇやべぇ~」


 子供たちが騒ぎ始めました。



「ここは何の畑にしやす?」小人さんが鼻に手を当てて聞いてきます。


「高級食材にしたいんですよね~種が無いから買いに行ってきますね~」


「お持ちしております」


「あとでお願いね~ふふ♪」



「みんなも~小人さんたちに負けない様に~向こうで畑を作るんだよ~」


「良しみんな! あたしたちも行こう!」みんなに声を掛けます。


「向こうでも畑を作るよー!!」


「「「おお!」」」「「「「は~い」」」」


 勢いに任せて館のそばで畑造りを始めました。


 スペインさんは長屋造りに向かうようです。


 姫さまは村長さん二人とお話をされているようです。


 子供たちもあたしも見よう見まねで土をひっくり返します。

 結構、土が硬いです。見かねたご老人が「水を撒くかいの~」と言いました。

 なるほどです! 水を汲みましょう!

 あたしの出番です! 子供たちもぞろぞろ付いてきます。


「広場の井戸まで駆けっこだよ~」


「「「「「「「わ~い」」」」」」」


 無駄に体力を消費してしまいました。


 井戸からの水の汲み上げを子供たちに任せて、あたしはマジックポーチを広げて待っています。

 こんなこともあろうかと、中身はすべて館に置いてきています……たまたまです。

 都市に買い物に出かけるので空にしたのです。


 余談ですが。

 マジックポーチは便利でした。質量ゼロです。

 これは噂に聞くマジックアイテム? アイテムボックスってやつですよね?

 容量は見た目より多いです。大きいです。

 しわの分が伸びに伸びて。その伸縮により収納できる容量が増えたのです。

 でも、思ったよりもチート感がゼロでホッとしています。


 バシャバシャと水を入れていきます。あたしにかなり降り掛かっていますが我慢です!


 そろそろ入らないようですね。戻りましょうか。


「良しみんな戻るよ~」


「「「「「「「は~い」」」」」」」


 戻ったあたしはポーチを広げ振り回します。いい感じです!

 勢いのままグルグル回転します。人力じんりきスプリンクラーになった気分です。

 子供達がすげ~って感じで見ています。やったね!


 めまいもスゴイですがやってやりました。いい感じにあたり一面が濡れています。


「よ~し、お前たち。やーっておしまい!」


「「おお!」」「「「「は~い」」」」「イエッサー!」アイアイサーは居ないのね。


 今度、指導しておきます。


「お疲れ~カズコ」


「いえ、それほどでもありませんよ。テヘヘ」



「そろそろよ~カズコ」えっと何がでしょう? いえ、わかっていますとも!


「そろそろ出発しますか?」都市に出発するからとの事です。あとは村の人達にお任せしていいようです。


「じゃあみんな~がんばってね~!」大きく皆に手を振り離れます。


 なんだか子供たちが泥んこ遊びをしている気もします。


 一通り畑が耕せたら、次は釣りに行くそうです。

 でも、かなり掛かりそうですね。頑張ってください!!


 その前にちょっと着替えてきますね。

 家に戻り濡れた服を脱ぎます。

 替えの服はあるのですが……干すところがありませんね?

 あたしは二階にあがり窓から横に突き出た腕にお洋服を掛けておきます。

 ゴッコに乾いたら収納してもらうことにしましょう~。



 ――――――――――――――

 【後書き】

 現在の人口:15名(+3名予定)

 やりたいことリスト(今日の達成した出来事)

・達成なし(畑の構築)


 七人の小人さんが凄かったです。

 魔法のプレートは用途で色分けされてるんですかね?

 そういえば、あたしの家の緑の小人さんも頑張ってました。

 普段の様子は寝てるだけです。

 ぐーたらと……。


 正直に言います!

 思わぬところに自宅警備が居ました……コチョコチョの刑を実行しておきます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 「魔女の鍋」って、怪しげな毒草とか調合してるやつをイメージすればいいんですかね……? 壺というか窯というか、的な?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ