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COFFEE BEANS  作者: 豊十香
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第63話 言いたいだけでしょ?

そんなこんなで、最後の四天王ズンドルマンドルコンドルトンドル・パタリライライズッコケーノナンデヤネン3世も一撃で倒したモカは、いよいよダストの待つ玉座へとたどり着いたのであった。


ギィィィィィィイィイィイィイィィィィィ!!!!!!!


「フハハハハハハ!!!!よく来たな紙袋よ!!!」

ダストが玉座に座ったままモカへ声を掛けた。ダストの右隣にはチッキが四つん這いの状態で首輪をつけられた状態でいた。その首輪には鎖が繋がれており、その鎖の持ち手の部分はダストが握っていた。そしてダストの左隣にはハイキが立っていた。


「もっと早く来ると思っていたのだが、随分と時間がかかってしまったのだな?」


「あぁ、せっかくなので楽しみながらここへ来ようと思って、一つ一つの戦闘を楽しませてもらっていたのさ。おかげでとても時間がかかってしまった」


「お前は気がついておらぬようだが、もう既にあれから半日が過ぎておるのだぞ!」

あれ、そんなに戦闘に時間かけてましたっけと思った方もいらっしゃると思うが、その謎はついさっきの最後の四天王ズンドルマンドルコンドルトンドル・パタリライライズッコケーノナンデヤネン3世との戦闘に隠されているのである。実は最後の四天王ズンドルマンドルコンドルトンドル・パタリライライズッコケーノナンデヤネン3世の得意技は創作落語魔法というもので、攻撃を食らったものは最後の四天王ズンドルマンドルコンドルトンドル・パタリライライズッコケーノナンデヤネン3世が作った創作落語をオチまで聞かなくてはいけないというもので、その数はなんと30本!1本あたり平均25分!よって、30本×25分=750分=12.5時間という具合に、最後の四天王ズンドルマンドルコンドルトンドル・パタリライライズッコケーノナンデヤネン3世との戦闘だけで半日が過ぎてしまっていたのである。最後の四天王ズンドルマンドルコンドルトンドル・パタリライライズッコケーノナンデヤネン3世は一通りの創作落語をモカに聞かせた後、2週目を話そうとしたのだが、くどいというモカの一撃であえなく撃沈。しかし、結果としてモカの時間を稼ぐことに大貢献する形となったのである。モカはモカで、創作落語という今まで触れてこなかったジャンルの芸に興味をそそられ。じっと聞き入ってしまっていたのである。


「どうやら最後の四天王ズンドルマンドルコンドルトンドル・パタリライライズッコケーノナンデヤネン3世が上手く時間を稼いでくれたようだな。総合力で言えば、圧倒的に四天王の中で劣るやつではあるが、今回のような場合においては最高の戦力として活躍するだろうことはわかった。やはり、最後の四天王ズンドルマンドルコンドルトンドル・パタリライライズッコケーノナンデヤネン3世を四天王に任命した私の目に狂いはなかったのだ」


「さすがです!ダスト様!」

ハイキが横で太鼓を持った。


「結果、チッキはホレ!」

そういうとダストは鎖を引っ張った。


「グルゥゥゥゥアアアアアアワワワワワワワアアアア!!!!!」

ダストの奴隷となったチッキは、ダストの横からモカを威嚇するように大きな声で吠えた。


「ククククク!こうなればもう怖いものなど何もない!貴様がどれだけ強かろうが、取るに足らんわ!さぁ、軽く相手をしてこいチッキよ!」

そういうとダストは持っていた鎖を放した。


「ガアアアアアアアアグルルルルッルルアアアア!!!!」

激しい雄叫びを上げながらチッキがモカへ襲いかかってきた。


ガキィィィィィィィィィィィィイイイインンンン!

モカは襲いかかってきたチッキの攻撃を杖で受け止めた。


「そういえば、チッキには牙など生えていなかったような気がするが、これはどういうことだ?」


「ククククク!よく気がついたな!死神寄生虫に寄生されたものは私の奴隷になる以外に、獣化するという特性も持っているだ!要するに」


ザクッッッッッッッ!!!!!

モカの体はチッキの爪によって軽く切り裂かれた。


「牙だけではなく、爪も獣のようになるということだ!フハハハハハハ!」

ダストの勝ち誇った声が広間に響き渡る。


「ガアアアアアアアアグルルルルッルルアアアア!!!!」

その声を切り裂くかのようにチッキは雄叫びを上げ、なおもモカへ攻撃を続ける。


ザンッ!ザンッ!ザンッ!ザンッ!ザンッ!

ザンッ!ザンッ!ザンッ!ザンッ!ザンッ!

ザンッ!ザンッ!ザンッ!ザンッ!ザンッ!


キンッ!キンッ!キンッ!キンッ!キンッ!

キンッ!キンッ!キンッ!キンッ!キンッ!

キンッ!キンッ!キンッ!キンッ!キンッ!

チッキの鋭い爪による引っ掻き攻撃をモカは全て杖で受け切る。


「ガウゥゥゥア、ガオォォォウ!」

何かを訴えかけるように吠えるチッキ。それを見て。


「まさかお前との初めての会話が、そんなよく解らない言葉でのやりとりになるとは・・・。何とも残念だ!」

モカは寂しそうに言った。


「ガァァァアアァァアアアァァ!!!!」

まるで、モカの言葉がしゃくにでも触ったかのようにチッキがモカに大きく口を開け突進をした。それは、モカに噛み付こうとする動作以外の何物でもなかった。


ガチィィィィィィィッィィィンンン!!!!!

噛み砕こうとしたが空振りしたチッキ。しかし、その自身の歯と歯がぶつかる音はとてつもなく力強く。普通のものなら一度噛まれただけであの世行きだということは容易に想像できた。


「ガァァァアアァァルルルルルルルアアアァァ!!!!」

今度は爪で引っ掻き攻撃を仕掛けてきたチッキ。その両手での攻撃をモカは杖で受け止めた。


ググググググググググググググ!!!!!

チッキの攻撃を杖で受け止めるモカ。しかし、チッキも力でモカの杖を押す。そんな時であった。


「わ・・た・・・し・・・に・・・・・・・気など・・・・・つ・・・か・・・う・・・な」

なんと辛うじてチッキが自我を取り戻し、モカに話しかけてきたのである。彼女もまたデスク軍幹部としての意地とプライドがあった。簡単に誰かの奴隷になどなってたまるかという強い意志が、辛うじて自我を保たせていたのである。


「た・・・・の・・・む・・・・・わた・・・・・し・・・を・・・・・・・こ・・・・ろし・・・て・・・・・・く・・・・れ」

獣の目をしたまま、なんとか人としての言葉を話すチッキ。

その目からは涙がこぼれていた。

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