第42話 切り札と切り札
チルドとの戦いの最中ですら成長を続けるバンプ。そんなバンプを嬉しく思い、充実した時を過ごしているチルド。2人のせめぎ合いは尚も続く。
「とはとは。言ってもなのだよ。君がこのくらい強いということは、先に行かせてしまった、彼たちも相当強いということなのだよ。後ろに控えている私の仲間たちでも、果たして本当に太刀打ちできるのか怪しいものなのだよ!」
「はは。確かに、その心配はした方がいいだろうな!なんせあいつらは強いからな!イアリ・・・って言っても分かんねぇか。女の方はまだまだ俺の知らない強さを隠してそうだし、ロボットのロボ人は強さっていうよりも、ギミックをたくさん隠してそうだし。正直、俺にもあいつらはまだまだ未知数なんだよな。だから、もっともっと一緒に旅をして、もっともっと知りたい。でも、それだけ危険な目にもあっていくと思うから、もっともっと色んな奴と戦って、俺は強くなる!あいつらが、もしも強敵と戦うことになった時、俺があいつらを守ってやるんだ!だから、こんなところで時間を食われている場合じゃないんだ!俺は、あんたを倒して先へ行く。そして、チッキと一戦交えて、ぶっ倒してやる!そして、もっともっと強くなって、いずれは世界一の剣豪、そしてマジシャンになるんだ!」
「いやいや。素晴らしい心掛けなのだよ!私たちの部下たちにも見習ってもらいたいほどだよ。君の強さをただ才能があるだけだと評価していたけれど、違っていたのだね。君の強さはその仲間を思う気持ちと強さへの欲求から来ているのだよ。そう考えると私は、随分ぬるま湯に浸かっていたようだね。チッキ様を守るためという大義名分を掲げながら、もしかしたら、ただのインドアになっていただけなのかもしれないのだよ。私は、今日君と戦えて、まだまだ世界は広いのだと知ったのだよ。私より強い者なんていないと自負しすぎていたのだよ。退屈という感覚を自己暗示のように自分に染み込ませていただけだったのだよ。それを知れただけで、とても嬉しいのだよ。君の話を聞いていて、私も旅に出てみたいと思いはじめたのだよ。今、私はワクワクしているのだよ!君のような強者たちが、まだまだ世界にはたくさんいる。なんて素晴らしいことなのだよ!そうと決まれば、こうしてはおれないのだよ!君を倒して、私は旅の準備をするのだよ!だから、もう終わりにするのだよ」
インクパフォーマンス
黒血
今度はチルドの掛け声とともに、黒刀の先から大量のインクが溢れだした。そしてそれらはなんとチルドの体内へと入って行ったのである。
ドックン!ドックン!ドックン!
チルドの鼓動が大きくなった。
「はぁはぁ。あえてこの力を説明するのだよ。この力はインクを私の血液と融合させることで一時的に身体能力を跳ね上がらせることができるのだよ。中途半端な技では君にまた追いつかれてしまうからね。私の中の切り札を使って、圧倒的な力の差で一気にねじ伏せるのだよ。さぁ、覚悟したまえ」
「そうか!奇遇だな!切り札なら俺にもあるんだよ!しかも、あんたと同じようなな!ってことは、もっと楽しめそうだな!・・・って言いたいところだけれど、確かにロボ人やイアリのことも心配だな。俺もそろそろ切りをつけるか。切りを」
緒操呂奇真剣
切り札
トリプルアップ
バンプの新技が炸裂した。