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2-33 いつだって君が自信をくれるんだよ

よろしくお願いします。

昨日は休んでしまい申し訳ありません。

 休日が終わって2日間は、割と忙しく動いた。


 2日とも朝から夕方少し前まではクエストへ行き、それからいくつか予定をこなした。


 一つはオルトさんたちとの打ち上げ会。

 仲間たちも少しばかり落ち着いたのか、そこまで地獄ではなかった。しかし、ふとした拍子にあーんが始まったりして、オルトさんの目からスッと光が消えていたけれど。

 シルニャンもロロと仲良さげに話していた。ロロが俺とイチャコラしても、苦笑いしたり、イチャつくなと怒ったり、闇闇はしてなかった。


 もう一つは、俺の身だしなみを整える作業。

 髪を切りに行ったり、ちゃんとした服を買いに行ったり。

 そう、以前、ロロにお願いしたご両親への挨拶のためであった。


 そして、2連休に突入。

 今日はロロの家族と会うことになっている。




「ロロ、ロロぉ、うぅうう、ロロぉ、よしよししてぇ?」


 朝から緊張しまくりな俺は、お風呂場でロロの胸に顔を埋めて甘えまくった。

 ハッとしたロロは、俺の頭を膝枕すると身体を少し前に倒して俺に母性の象徴を与えた。


「うーロロぉ、ロロぉ、ちゅきぃ、ロロにゃーん、んちゅーんちゅーっ」


 甘えまくる俺にロロにゃんは優しい声で語り掛け、両手がそれぞれ俺の身体をよしよしと撫でる。

 風呂場特有のしっとりした静寂の中、ロロの声が俺の脳へ沁み込んでいく。


「コウヤにゃんなら出来るよ、コウヤにゃんは素敵な男の子だもの。コウヤにゃん。コウヤにゃん。コウヤにゃん。ありのままの君が好きよ。だから自信を持って、コウヤにゃんはテフィナで一番素敵な私の愛した人なのよ。好きよ、大好きよ。コウヤにゃん、コウヤにゃん、愛してるわ」


「んちゅー、コウヤにゃんは出来る……んちゅー、コウヤにゃんは素敵な男の子……んちゅー、ありのままの俺で良い……ふ、ふぐぅ、ひっく、うぐぅ、んちゅーんちゅー……ロロ、ロロ、ロロォーッ」


 シャイニングブラスター! ニャー、上手にできたねっ!


「弱った男性を癒すため圧倒的な母性をその身に宿す……これぞ蜜技は弐の愛が一つ、天昇羽化! 汝一度童心に還れ。そして、弱音を吐きだした時、失われた勇気と自信を取り戻すであろう。さあ羽ばたけ男の子!」


 ロロに補助されながら俺は身体を起こした。

 立てた片膝に腕を掛け、ふぅっと息を吐く。


「良い顔つきになったわ。さすが私の好きな人」


「ふっ、そうか? 自分じゃ変化は実感できないもんだな。だけど、ロロがずっとそばにいてくれるのだけは分かる。もう何も怖くない。……ほう、まだ時間はあるな。ロロ、抱くぜ?」


「にゃ、にゃー、好きにして……」


 ロロは降参のポーズでコロンと横になった。

 待ち合わせはお昼から!


 2時間後。


「やっべ夢中になりすぎた! ロロ、急がないと!」


「はわわ、待って待ってぇ! ぁああああ!?」


 お風呂で洗いっこし、現在は寝室でお着替え。

 今までは別々の部屋で着替えていたけれど、今では一つの部屋で着替えているぞ。


 ショートパンツを穿こうとしていたロロがバランスを崩して倒れそうになる。

 俺はすかさずロロを受け止めた。


「あ、ありがとう」


「まったくロロにゃんは。しょうがないから穿かせてあげる」 


「彼氏が優し過ぎる件、んふふふぅ。にゃん、やめて、何でそこ触るのっ、んふふぅ。さてはお主、それが目当てだな? 白状せい!」


「バレたかぁ。あれ、前からだとボタン留めにくいな」


「外すのは上手に出来るのにね?」


 俺はロロの背後から手を回して、ボタンを留めた。

 そして外した。さらにまた留め、またまた外した。


「おっ、何事も一生懸命練習する彼氏であった」


「ロロにゃんに関わる事には常に最高のパフォーマンスで挑みたいからね」


「ふむ! よい心がけだ。褒美を与える。脱がせて良し!」


「ははぁーありがたき幸せ!」


 ショートパンツを下げようとして、ハタとする。


「いやいや、もう時間ないからダメだ」


「ぬぅ、まあ仕方ないか。じゃあ早く早く、ハイソックス穿かせて?」


「自分で穿きなさい!」


「だけど転んじゃうかも。あーあ、やだなぁ、転んじゃうかもなぁ」


 なんてわがままな女だ、くそくそっ、最高に可愛い。

 俺はハイソックスを穿かせた。

 そんな俺の顔面をロロが足を使ってヘッドロックしてきた。


「にゃん、すぐ顔埋めるぅ」


「むがーもがーっ」


「にゃふん、喋らないでぇ! んふふふふあにゃーん!」


 ………………

 …………

 ……ハッ!?


 おかしい、服を着せていたはずなのに振り出しに戻っている。

 なんだこれは、まさか知らず内にスタ○ド攻撃を受けているのか?


「んなわけあるか! ロロ、早く服着て! マジで時間がない!」


「平気よ、別にお店で会うわけでもないんだから。ゆっくり行けばいいんだって」


「いや、ロロの家族には時間にルーズな男だとは思われたくないんだよ。ロロがしっかりした男を選んだって思われたいんだ」


「ほらまたそうやって誘惑してくるぅ。そんなんじゃいつまで経っても服着る意欲なんて湧かないわ。全部コウヤにゃんが悪い。責任取って!」


「ダメーッ! ほら、帰ってからいっぱいしようね。だから、ほら着替えて?」


「むぅ、分かったわよ」


 ロロは渋々と着替えを始めた。


 今日の俺は、ロロにコーディネイトされた服装一式だ。

 黒のズボンに薄青のワイシャツ、紺のジャケットだ。

 アクセサリーで、ぶっといベルトを着けさせられた。日本とは違うのだし、こういうのもありなのかな。

 髪も好印象を与えるようにセッティング。


 ロロは、当初ショートパンツで行こうとしたのだが、行く前に何故か汚れてしまったのでロングスカートを履いた。ショートパンツは洗濯機へGO。

 ロロのスカート姿は何気に初めてだ。

 上半身はノースリーブの上にカーディガン。全体的に明るい色だな。


「うわうわ、スーパー可愛い。そう言う格好もやっぱり似あうなぁ」


「そう? コウヤもカッコいいよ。お母さんたちビックリしちゃうわ、んふふっ」


 俺はロロをギュッとした。


 そうして玄関で靴を履き、最後のイチャコラ。

 もはや我が家の玄関は外と内との境にあらず。第2の戦場だ。モモニーにおいては最前線と言っても良い。いつもキスしながら割と必死なロロであった。




 ご家族と会うのは、ロロの実家でだ。

 ロロの実家は、ルフルという町にある。


 次元を超え、やってきましたルフルの町。

 ルフルは常冬の町と言われており、ターミナルの展望台から見る景色も、その名に違わず辺り一面雪景色だった。


 ロロの話を聞いて雪の町というのは知っていたので、俺達はマフラーや手袋を装備しているぞ。

 とはいえ、町の中は結界により0度程度に温度調整はされているみたいで、尋常じゃない寒さというわけではない。

 雪遊びを売りにしている町なので、そこそこの寒さがいいのだろう。


 ターミナルから実家近くのゲートへ跳ぶ。

 雪の積もる町に降り立ったことで、ロロの背景もまた雪景色に変わった。


「っっっ」


 ゲレンデマジックなどという言葉があるけれど、雪景色を背負ったロロの可愛らしさは天元突破する勢いであった。


「どしたの?」


「う、うん、雪景色の中のロロが可愛くて。ドキドキしちゃった」


「それは大変! 私の部屋行く?」


「早い早い。後で見せて欲しいけど、さすがにご家族がいる家でエッチな事は出来ないよ」


「チッ、確かに無理か……」


 貪欲な彼女だぜ。


「ハッ、そう言えば、町の外れに休憩するところがあるのよね。帰り寄ってく?」


「寄ってく!」


「んふふふぅ、仕方ないわねぇ。それにしても、昔は近寄りがたい場所だったけど、まさか私が使う日が来るとは。私も偉くなったものね」


 ロロは感慨深げにうんうんと頷いた。

 今日一日頑張れる気がしてきたぜ!


 しばらく歩くと、色白のお姉さんがロロに話しかけてきた。


「あらあらぁ! 誰かと思ったらロッテちゃんじゃないの!」


「あ、おばさん! こんにちは!」


「見たわよぉ、魔王城攻略戦っ、凄い活躍だったじゃない! それにロッテちゃんてば、フェーディだったんだってねぇ! あのロッテちゃんがねぇ……あらまあ、そちらが噂の彼氏!? あらあらあら! 良い子そうねぇ。良かったねぇ、ロッテちゃん!」


 この人、お姉さんじゃないな。

 外面はともかく内面が完全におばちゃんだ。ロロもおばさんと言っているし。

 テフィナは20代前半の見た目が80歳くらいまで続くから、外見じゃ分からねえんだよな。

 当のテフィナ人たちは、不思議な事に割と分かるみたいなんだけどね。


 ロロはおばちゃんときゃっきゃっとお話し、家の中から出てきたお孫さんと俺達4人で記念撮影。

 せいぜい40歳くらいのおばちゃんかと思ったら、12歳の孫がいる人だった。ガチで分からねえ。


「はわぁあ……しゅごい」


 俺とロロのサインが入った写真を掲げてお孫さんが目をキラキラさせた。


「それじゃあおばさん、私、実家に行かなくちゃならないから」


「あら、ごめんね、引き留めちゃって。実家……実家……あらあら、もしかして彼氏を紹介するの!?」


「う、うん。コウヤがご挨拶したいって言うからセッティングしたの」


 まあまあまあまあ、っつって話がなげぇ!

 挙句の果てには、おばちゃんのでかい声に誘われて近所から仲間がやってきた。


 みんなで記念撮影した。


「ふぅ、おばさん相変わらず元気いっぱいだったわ」


「あ、ああ、そうだな」


 精神に軽いダメージを与えてくる元気さだったぜ。


「ちなみに、あのおばさんが私にかけっこ上手だって言ってくれたのよ」


「そうか……言いそうな人だったな」


 余計な自信を与えおってからに。


 ロロの実家はそこからすぐだった。

 庭は広く、三角屋根の可愛らしい外見の家だ。


 庭の前に立ち、俺はマフラーを外して、襟をピッと直して気合を入れる。


「お、おかしくないかな?」


「大丈夫よ。コウヤは素敵な男の子だもん。自信もって、ねっ。好きよ」


 チュッと俺の頬にロロはキスをした。

 ニャーッと未だ俺達を見ていたおばちゃん達が鳴いた。

 その姿はまるで年若い女子。


「ちっちゃい頃から知ってる人に見られると結構恥ずかしいわね。早く入ろ。あっ、あそこが私の部屋だったのよ」


 俺の手を引いて歩き出したロロが2階の右手の窓を指さして言うけど、俺は緊張して返事が出来なかった。


 キョロンキョロンキョロンッと謎のインターホンの音が鳴る。

 胃がキリキリしだす。

 ロロとの関係を認めてもらうためにセッティングしてもらったのだから、しっかりしなくては。


 ガチャリとドアが開いた。


 そこから現れたのは、真っ赤な髪をしたロロだった。


 あれぇ?

 ロロは隣にいるよな? あれぇ?


「お、おお、お、お、お姉ちゃん……っ!」


 ロロがガクブルし始めた。

 この人はお姉ちゃんらしい。そっくりであった。


「こここ、こんにちは。生咲洸也と言います! よろしくお願いしましゅ!」


 俺はすぐに頭を下げた。


「うん、よろしくね。私はロディナ・ロマ」


 少しばかり気だるげな口調で言ったロロのお姉さんは、ロディナさんと言うらしい。

 ロディナさんは凄まじい速さでロロの額に手を置き、アイアンクローを始めた。


「いーたいいたいたいたいいたい! お姉ちゃん止めてぇ!」


「愚妹が世話になってるわね。ここで話すのも寒いだろうし、中に入りなさい」


「ひぎゃぁあああ痛い痛い痛いってぇ!」


 ロディナさんがアイアンクローをしながらロロを連れて中に入った。

 俺はあわあわしながら、その後について行った。


 いよいよ、ロロのご家族とのご挨拶イベントが始まる。


 俺は靴を脱ぎながら、さっきやってもらった天昇羽化を思い出した。

 コウヤにゃんは出来る子なんだ……俺は頑張れるっ!


 ……天昇羽化は凄く良かったな。またやってもらおう。


読んでくださりありがとうございます。

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