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2-32 休日はイチャコラしまくる

よろしくお願いします。


 俺達はお風呂場で向かい合って正座していた。

 その下には愛月の町で買ったお風呂マットが敷かれている。

 お互いに少しばかり間抜けな姿であったが、やっている俺は最高に楽しい。ロロも目をキラッキラに輝かせ、口が大きな三日月を作っているので楽しいのだろう。


 ゴホンと咳払いしたロロは真剣な顔を作るが、頬が自然と上がってしまっている。


「お疲れさまでしたコウヤにゃん」


「はい、お疲れさまでしたロロにゃん」


 俺達は茶道の礼みたいにお辞儀をしあった。お風呂場で。


 頭を上げると、眼球に重力魔法が掛かったロロが、んふふ、と笑う。

 同じく俺の眼球にも重力魔法が掛かり、かつ待てを命じれた犬が身体に憑依していた。


「昨日今日とコウヤにゃんは大変頑張りましたね」


「はい、とってもとっても頑張りました」


「はい。そこで私は考えました。コウヤにゃんへのご褒美として、私の知る限りの蜜技でフルコースを体験していただきます」


「マジですか。それじゃあ俺は、その合間にロロにゃんにも最高の体験をしてもらえるよう頑張ります」


「んふふふぅ! 今日から1日お休みです。いっぱい楽しいことしましょうね?」


「はい!」


「大変に良いお返事です! それじゃあ手始めに、ビターンをやります、ビターンッ!」


 ロロはレバーを倒し、そして離した。

 支えを失ったレバーが、ビターンッと音を打ち鳴らす。


「にゃっふー! 凄い迫力っ! んふふふふぅ!」


 数日前にふとしたことでやってあげたのだが、『にゃぇええ、なにそれなにそれぇ!?』とロロはすっかりビターンが気に入ってしまった。

 ビターンッ、ビターンッと浴室に音が鳴り、次第にロロの笑顔が真剣なものに代わり、息が荒くなっていく。


 長い戦いの幕が下りようとしていた。


 3時間後。


 ハーフタイムに突入した俺は、ゼットをピコピコ弄っているロロの背中に掛かる長い髪を梳きながら、言った。


「ロロ、俺さ、身体を作ろうと思うんだ」


 俺の言葉に、ロロは身体を起こした。

 ロロはゼットをペッと放り、俺の胸板と腹筋をサワサワした。


「ちゃんと筋肉あるよ? もっと必要なの?」


「必要かどうかは正直分からない」


「そうなの?」


 ロロは人差し指と中指を人の足みたいにテコテコと動かしながら、伝説の秘宝・二つのポッチを探す探索隊を結成した。現在、へそのあたりで活動中。近くには巨大蛇がいて、今にも戦闘が始まりそうだ。


「シルニャンが、俺に少なからず好意を抱いてくれただろ?」


「……うん」


「ロロも俺のことを愛してくれている」


「うん!」


「だけどさ、今の俺は二人の女の子から好意を抱かれるような大層な男だとは思えないんだ」


「そんな事ないもん!」


「うん、ロロが自信をくれたから、昔ほど自分に自信がないわけじゃないよ。だけど、自信があれば良いってもんじゃない。実力が伴わない自信はただの自惚れだ。さっきロロを好きになる気持ちがどんどん膨れ上がるって言ったでしょ?」


「うん、成長し続けてるって。私も同じだったから嬉しかった」


「一緒だね」


「うん」


「でね、そうやって気持ちが成長したら、ロロの全てを包み込んであげられるような男になりたいって以前よりもずっと強く思うようになったんだ。将来、ロロが、心の底から俺と魂の双子でよかったって、幸せだって、そうやって思うような男になりたいんだよ」


「ひ、ひぅうう、そ、そんなこと言われたら私、私ぃ……っ!」


 めっちゃキスされた。

 それと同時に水門竜が行使される。


 30分後。


「え、えっと、そういうわけで、今日から1時間くらいトレーニングタイムを作ります」


「やぁああらぁあああ! 一緒にベタベタしてたいーっ!」


 有無を言わさぬキスの嵐に、水門竜がおかわりされた。


 30分後。


「は、はーはー……ろ、ロロ、そう焦るでないわ。俺のトレーニングは画期的だ。任せておけ!」


 というわけで、再びお風呂場。

 俺は洗い場で腕立ての体勢を取ると、ロロに言った。


「ロロ、この状態で背中に引っ付いて」


「天才現る。だけど体重10キロの私じゃあ重しにならないかも、なんちゃってぇ」


 んふふふぅ、とロロは俺の背中に抱き着いた。

 イベント時のおんぶでは味わえなかったダイレクトな感触が背中にズドン。我ながら、なんて過酷なトレーニングを思いついてしまったのだ。


 ロロは手を回し、早速レバーを弄り始める。


「こら、やめなさい」


「はーい」


 恐らく50キロくらいの重みが背中に掛かるが、レベルアップの恩恵でそこそこ頑張れる。ちなみに現在は魔力交換ブーストは抜けている素の状態なので、結構しんどい。


 俺は腕立てを開始した。


「頑張れ頑張れぇ、頑張れ頑張れぇ!」


 そんな応援を聞きながら50回ほど腕立てを繰り返す。

 目標は100回2セットなので半分経過だ。

 しかし、ロロがムラムラし始めてしまった。


「はわぁ、筋肉カッチカチぃ、男の子ぉ、男の子ぉん、はぅうう、カッコいいよぅ……っ! 男の子すぎだよぅ……っ!」


 めっちゃサワサワし、肩口にチュッチュッしまくってくる。

 俺は腕を振るつかせて、腕立てを続ける。


「にゃーにゃー……にゃーにゃー……っっっ」


 さっきまで両手でしがみついていたのに、片手がどこかへ消えてしまった。さらにガブガブと肩を咬まれる。

 俺は必死で腕立てを続けた。


「ふぅ……次は腹筋です」


「にゃー」


「猫さんは俺のお腹の上に足を乗っけて体重を掛けてください」


「っっっ!?」


 腹筋を始めた俺のお腹に、ロロが戸惑いながらも足を乗っけてきた。


「ロロ、もう少し強く!」


「っっっ!」


「ふん、ふんっ!」


「こ、こここ、これが良いんかっ! こ、こ、このド変態っ!」


「くっ、そんなんじゃない! ふん、ふんっ!」


「嘘おっしゃい! 動かぬ証拠がここにあるわ! 顔を上げて見てみなさい、このド変態!」


「そ、それは……っ、ふん、ふんっ!」


 戸惑いから抜け出したロロが罵声を浴びせてきた。

 俺は返答しつつ腹筋を続けるが、そばに立つ最高の彼女が浴びせてくる罵声にだんだん気持ちがよくなってきた。

 顔を上げて見てみなさい、と言われてグイッと腹筋して顔を上げて見てみれば、確かに動かぬ証拠がそこにあった。いや、凄い動いてはいるけど。ビクンビクンしておる。


「つ、次はスクワットです。ロロはおんぶしてください」


「またおんぶ! ホントおんぶ好きよね、このド変態!」


「いや、それはもうやめなさい」


「はーい、コウヤにゃんコウヤにゃんコウヤにゃーん、しゅきしゅきしゅきぃん。本当は私がおんぶしゅきなのぉ。お外の移動はずっとコウヤにゃんにおんぶされてたい、お家の中は前向き抱っこも織り交ぜてね?」


 トロトロに甘えるロロをおんぶしながら、俺はスクワットを始める。

 汗を舐められ、首にキスされ、後ろ髪をハムハムされ、耳の中までベロベロされ。

 俺はスクワットを黙々と続けた。


「よし、今のをもう一セットやるのを日課にします。近日中にはウェムの腕輪も導入したいと思います」


「過酷!」


「ですが、セットの合間にロロにゃんへのお仕置きタイムを設けます!」


「はわわわわわ……心当たりがありすぎる、観念の時か!」


 ロロにゃんは降参ポーズでころんと寝転がった。

 お仕置きした。



 翌日は、少しだけ外に出てお買い物。

 ウェムの腕輪と調理器具、食材、食器、他思いついた日用品を買い込んだ。

 ドウェムの腕輪というウェムの腕輪の強力なバージョンもあったのだが、俺にはまだ早すぎるようなのでやめておいた。

 料理の初期投資は2万テス弱かかってしまったが、必要経費だ。


 というわけで、今日の夕食から俺がご飯を作ってあげようと思う。


 さらに、日常生活ではウェムの腕輪を着用するぞ。

 ただし、ロロとイチャコラする時はつけない。これをつけてシャイブラすると、そっち方面が強くなりすぎて大変な事になってしまうのは、すでに学習済みだからな。そっちはロロと一緒のペースでトレーニングしていけばいい。


 家に帰り、夕方までベタベタしてから、俺は夕ご飯の支度を始めた。

 テフィナの台所回りは日本のそれ以上に充実しているので、むしろ使い慣れるまで少しばかり時間が掛かりそうだ。残念ながら、俺はIHコンロすら使った事ない人間だからな。


 俺が料理を作っていると、ロロが別室に消えていった。

 ベタベタしたいという割にはたまにフラッといなくなるロロにゃんである。気質が猫ちゃんみたい。

 俺はウェムの腕輪の負荷を実感しながら、料理を続けた。


 そうして、1時間くらいするとロロは戻ってきた。

 裸エプロンで。


「どうかな、似合う?」


 ロロにゃん+ネコミミ+ネコシッポ+裸エプロン=さいかわ。

 魅力の計測器があったなら、ぶっ壊れるのは確定的に明らかだ。

 まあロロは何も料理をしていないんだけどな。

 しかし、そんなこと関係ねぇ!


「ちょ、ちょっと待ってて?」


 俺は鍋の火を止め、手を洗ってロロの下へ行った。


「超可愛い最高に可愛い究極に可愛い! うわぁーうわぁー! なんだこれぇ!?」


「んふふぅ、夢中かよー! んふふふぅ!」


「夢中にもなるわ! 可愛すぎる! どどど、どうしたらいい? うわぁー、どうしたらいいかな!?」


「思うがままにしたら良いぞよ?」


「そうするぞよ!」


 俺はロロをキッチンに立たせ、キュウリとニンジンを持たせると疑似料理をやらせる。本物は危ないからね。

 キュウリを包丁に見立てて、ニンジンをトントントン。キュウリでニンジンは切れません!

 そんなロロのおままごとを滅茶苦茶邪魔してやった。


 そんなこんなで出来上がったのは、俺が好きなもの尽くし。


 まずは、クリームシチュー。

 テフィナにも固形ルーがあったので、それを使用。


 次は魔獣肉のステーキ。

 100グラム150テスで、一人200グラムずつ。

 肉の刺身の方が好きではあるが、料理を作りたいのにほぼそのまま出せる刺身を最初っから買うのは負けた気がするので、今日はステーキ。


 主食は、蒸かしイモ。

 これはロロが好きなので。


 副菜に、わかめサラダ。


 一食当たり、二人で1200テス。

 クリームシチューはもう一食分あるし、あまった食材もあるので、さらに金額は抑えられていると思う。ちなみに市販のドレッシングやソースも買ったぞ。

 慣れたらおかずをもう少し増やせそうだな。


「おー、これが伝説の彼氏飯!」


 テーブルに並んだご飯を見て、ロロが目をキラキラさせた。

 ちなみに、最近のロロは俺の斜め横に座るようになった。イチャイチャ時は俺と同じ場所に座る。その状態で時間が経つとだいしゅきホールド状態になる。


「いただきます!」


「召し上がれ」


 ロロは早速クリームシチューに手を付けた。

 んーっ、と美味しそうな顔をして。


「おいひぃ! んーっ、コウヤにゃんしゅきぃ!」


 ロロはササッと俺の隣へ来てキスして、元の席に戻った。

 その後、ロロは上機嫌で夕飯をもしゃついた。


 俺も自分で作った飯を食う。

 うん、美味い。

 じっちゃんと二人暮らしで俺が料理番をしていたし、まあこれくらいはな。


 それから、あーんをしあったり、一つの肉を二人で両端から食べたり、フィーちゃんが居たらなんと言われるか分からないようなお食事が続く。


「家でご飯って良いね。イチャコラしまくれるし」


 外食ではさすがに過剰なことはできないからな。

 そうして食事が終わると、ロロがこう申し出た。


「あのねあのね、お片付けは私がやろうと思うの」


 俺と付き合う前は大体ゴロゴロしていたロロだっただけに、俺は嬉しくなった。

 ただお互いに愛を貪って堕ちて行く関係ではなく、恋をして人として成長できるのはとても素敵な事だと思う。


 俺はロロをギュッと抱きしめた。

 俺の腕の中で、ロロはもじもじしながら続けた。


「だけどね? 私、上手じゃないから、最初は手伝ってもらっていい?」


「もちろん。一緒にお片付けしよう」


「うん!」


 とはいえ、テフィナの台所には、食器洗い機がデフォでついている。

 軽く汚れを落とし、食器洗い機に並べて行き、ピッとボタンを押して待ち、あとは食器棚に置くだけの簡単な作業だ。

 水回りや調理台の掃除も教え、指導は終了。


「これなら出来そうだわ」


「そっか。だけど、ロロと一緒に台所に立ってさ、凄く楽しかった。俺もお片付け一緒にやるよ」


 俺はロロの腰を抱きながら言った。

 ロロはちょこんと俺の肩に手を乗せて、答える。


「私も一緒に作業して楽しかったわ。お料理もお手伝いしていい?」


「もちろん。一緒に作ろう」


「はぅう、また好きが成長したぁ。にゃうー、キスしよ?」


「すっかりキスが好きになっちゃったね?」


「うん。コウヤは?」


「大好き」


 イチャコラしまくった。

読んでくださりありがとうございます。

感想ありがとうございます!

あ、あと、誤字報告も頂きました。

自分でも読み返していて、あ、ここ間違ってるな、矛盾してるな、と思うんですが、中々時間が取れない次第です。申し訳ないです。

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