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2-17 結果発表

よろしくお願いします。

本日あと1話投稿します。5分後くらいです。

 巨大クリスタルを壊せば終わりだと思ったが、そうではなかった。

 ポイント獲得でランキングが決まるので、時間いっぱいまで戦闘は続行されるのだ。

 その事実にあと5秒気づくのが遅れていたら、普通に撃破されていたぜ。


 あとは消化試合と思い、俺達は適当にちょろちょろして過ごした。

 そうして、魔王軍侵攻戦が終わった。


 生き残ったオルトさんと共に会場に戻ると、先に撃破されていた連中が拍手で迎えてくれた。


「おお、こういうの嬉しいですね」


 俺がオルトさんに言うと、彼は苦笑いして答えた。


「僕らのことも讃えてくれているだろうけど、やっぱり一番は君達のための拍手だよ」


「なんせったってステリーナちゃんの鬼畜ゲームをクリアしたんだからな! あとでどうやってクリアしたか見させてもらうぜ!」


 オルトさんの言葉に続いて、彼の仲間が言った。

 彼らのパーティは、この二人しか生き残らなかったらしい。彼らは戦闘していたので、俺達のプレイは見ていない。


 魔王軍侵攻戦の動画は、バックナンバーも含めて全て、魔王ちゃんプロジェクトの公式サイトで見ることが出来る。

 しかも一人一人の動画が収蔵されており、プレイヤーの名前さえ知っていれば、その活躍を見ることができるんだって。


「このあとはランキング発表だな」


「50位以内で魔王城攻略に行けるんだよな?」


「ああ。よほど運が悪くなければ、たぶん行けるんじゃないか?」


 オルトさん達は義務冒険者の推薦枠でこのイベントに参加していると帰り路で言っていたので、義務冒険者レベルだとかなり強いはずだ。

 事実、荒野ゾーンで最後まで生き残って敵を倒し続けていたのだから、ポイント減少がよほど偏らない限りランキングは上位だろう。


 ちなみに、最後まで生き残ったプレイヤーは結構いた。

 しかし、その大半が前半の草原ゾーンで敵とやりあっていた連中だ。

 このゲームはさまざまな加点要因があるのは前にも話した通りだが、拠点ゾーンの防衛に専念するのも良い加点要因になるのだ。なにせあくまで防衛戦だし。

 下手に攻めて敵を減らせないまま散るよりもよほどランキングに入る可能性が高くなる。


 そんなこんなで、ランキングの発表が始まった。


 でかいホロビューが現れ、200位から順に名前が表示されていく。

 201位以下は後で個人的に順位を見れるらしい。このイベントはソロかパーティで参加できるので、1500人参加しているけれど512位までしかない模様。

 

 200位は-450点という可哀想な数値だった。

 速攻で撃破された奴はさらに酷い事になるのだろうな。  


 どんどん順位が上がっていく。

 自分たちの名前が乗ったのか、あちこちで悲鳴が聞こえる。


 50位を越えると、悲鳴が歓声に変わる。

 50位以内の奴らは、魔王城攻略に参加できるからだ。


 50位以内まで俺達の名前はなかった。

 っていうか、巨大クリスタルを3人で壊したし、1位だろ。クリスタル破壊系は、破壊に貢献したメンバーにも加点されるので3人で独占したのだから相当なポイント量になっているはず。


 そう思っていると、34位にシルニャンの名前があった。


「あの女……っ」


 ロロが舌打ちした。


 少し離れたところでシルニャンがぴょんと飛んで歓声を上げた。その姿はとてもじゃないが闇に堕ちてはいない。

 そんなシルニャンと目があった。

 すぐさまロロが俺の前に立ちふさがった。


 シルニャンへ心移りするはずないのに。 

 だけど、俺が同じ立場だったら同じことをするかもしれないな。


 ランキング発表は続く。


「おっ、レギウスたちの名前があるぞ」


「まあ奴らなら当然だろうな」


「見ろ、セティちゃん達だ」


「やはり彼女たちは残るか……」


 オルトさん達がスポーツ系のバラエティに出てきそうな玄人みたいな会話を繰り広げる。

 義務冒険者を1年間もやっていれば、同期の凄い奴の情報はそれなりに入ってくるのだろう。


 そして、5位にオルトさん達の名前が入っていた。


「よしっ!」


「まあ妥当だな」


「すまん、俺があそこで落ちなければもうちょっと行けたな」


「気にすんな。あれは無理だ」


「ああ、あれは無理だな」


「うん、無理だった」


 よほど無理だったらしい。


 さらに、4、3、2位と順位が上がっていき。

 1位に。


『ロロティレッタ、コウヤ、フィー』


 と刻まれた。

 ポイントは2位の1090点をぶっちぎりで抜き去って、2440点。


 周囲どころか離れた観覧席からも、歓声が上がる。

 さらに、周りの人から拍手された。


「にゃっふーっ!」


「フゥーフゥー!」


 俺はペコペコと頭を下げ、ロロはそんな俺に抱き着いて頬にキスし、フィーちゃんがフゥーフゥーと腕を振るってダンスする。


 その後、50位までが会場ステージに入る。

 一人ずつ名前を呼ばれ、会場から拍手される。

 ソロの者は一人で応え、パーティの者は揃って応えた。


「第一位、ロロティレッタ・ロマ、イクサキコウヤ、フィー」


 俺達の名前が呼ばれると、拍手の嵐が巻き起こった。

 背筋がゾワリとするような歓喜が俺の腹の奥で沸き立つ。


 俺はロロの手を握り、お互いの手を高く掲げてお辞儀した。

 テフィナではあまりこういうお辞儀の仕方をしないのか、ロロは少し遅れて頭を下げる。

 フィーちゃんはくるんと空中で回ってから、お辞儀だ。


 その後は、ヒーローインタビューやら意気込みやらを語らされて疲れてしまった。

 生の目でいろんな人から見られた俺のHPがガリガリ削られた。


 そうして全てが終わると、会場の上にでかいホロビューが現れた。

 そこには金髪赤目の美少女・魔王ちゃんが映っていた。


『小生意気なテフィナ人共め、中々抵抗しおるのじゃ。ならばよかろう、我が城へやってくるがよいのじゃ。そこがお前たちの墓場となるであろう。特にそこのバカップルとタンポポ』


 バカップル?

 タンポポ?


 一体誰だと俺とロロとフィーちゃんは周りを見回す。

 当然のことながら、会場中が俺達を見ていた。

 ああ、分かっているさ。

 どう考えても俺とロロはバカップルだ。フィーちゃんはタンポポだ。


『よくも我の覇道に傷をつけてくれたのじゃ。貴様らは許さぬぞ! 精々今日は震えて眠るが良いのじゃ!』


「寝ないし」


 ロロがボソッと言った言葉に、俺は耳を疑った。

 さすがの俺もそれなりの時間は寝たいんだが。


 挑発のセリフを吐いて、プレビューが閉じた。

 これにて本日は解散!

 魔王城攻略戦は明日だ。


 俺達は一度会場から出て、クーファ家と待ち合わせをする。

 しばらくすると、クーファ親子がやってきた。


 レオニードさんとステラさんのニコニコ夫婦に、クリスちゃん。

 クリスちゃんは、レオニードさんの腕に抱っこされて顔を胸に埋めている。


「クリスちゃんはおネムですか?」


「いやぁっはっはっはっ、恥ずかしがっちゃって! 痛い痛い、クリス、人をぶっちゃダメだぞ」


 俺の質問に答えたレオニードさんの胸をポカポカ叩くクリスちゃん。


 恥ずかしがる?

 あ……うん、アレか。

 俺とロロが要所要所でチュッチュッしてたからな。

 素敵なお姉ちゃんのまさかの痴態に、クリスちゃんはどうしていいのか分からないのだろう。


 ううむ、なんて言えばいいのかさっぱり分からない。

 5歳児が憧れのお姉ちゃんの微エロ動画を見て混乱している状況の対処の仕方なんて、学校じゃ教えてくれなかったもの。


 レオニードさんが色々察してくれたのか、俺達はすぐに帰路に着いた。

 その途中で、色々教えてくれた。


「いやぁ、君らの活躍にみんな大興奮だったよ! 特にコウヤ君の活躍には大盛り上がりだったね。子供たちなんて、目をキラキラさせて見ていたな。なーっ、クリス? 痛い痛いごめんって」


 レオニードさんがまたクリスちゃんにポカられる。仲良しな父娘だ。


「そ、そうなんですか? いやぁ……そうなんですか!?」


「また照れてるぅ、可愛ーっ」


 俺の反応をロロがからかってきた。

 そりゃ照れるわ! 滅茶苦茶褒められてんだぞ!?


 それから俺はレオニードさんに褒めちぎられながら、ルシェへと帰った。

 凄まじく恥ずかしかった。


「ところでコウヤ君」


「は、はい、なんですか?」


「首筋が真っ赤になってる」


 それはアレだけ吸われればそうなる。


読んでくださりありがとうございます。

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