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1-29 強化訓練 5

遅くなりました。

よろしくお願いします。

 次にロロが選んだのは、水を生み出す杖だった。

 魔法は、近くにある自然物を使用した方が難易度が下がるので、こういう属性杖が魔導装具には多い。


 ロロは杖の真ん中を両手で持ち、くるんと身体の横で回した。

 太ももを強打した。痛そうでないのは別にやせ我慢ではなく、VF専用魔導装具はフレンドリーファイヤ防止で当たっても見た目ほど痛くないのだ。


「……」


「カッコいいのに憧れがあるの?」


「ふぐぅ……ちょっと」


 俺の魔導装具は、さっきロロが使った円月輪だ。

 実は、ちょっと使ってみたかったのだ。


「アンタ、それ使えるの?」


「ううん、使い方教えて」


「魔力パスを繋げながら投擲すれば、思いのまま動かせるのよ」


 魔力パスの繋げ方は、知っている。

 これはテフィナで生きていくなら割と必須技能なのだ。


「ただし、地面に叩きつけなければ?」


 杖で脛を殴られた。

 フレンドリーファイヤが防止とはいえ、脛はさすがにそこそこ痛いんだけど。


「あれはちょっとビックリしちゃっただけだし」


 まあ、危険な機械が足元に落ちて、それがギャオンギャオンしてたらパニックになってもおかしくないか。地面で荒れ狂ってるチェーンソーを拾えって言われたら、誰だって嫌だし。


 というわけで始まったレベル3の訓練だったのだが。


「ふんっ、呆気ない」


 瞬時に終わった。

 ロロが強すぎるのだ。


 コノハスライムが現れたそばから土の槍で串刺しにしたり、ちょっと遊んであげようかしらなんて言って水の矢でめった刺しにしたり。

 終いには水の玉座に足を組んで座り、まるで女魔王みたいに片手間でぶっ倒す始末。


「ろ、ロロティレッタさん。俺の分を残してください」


「あらペチ。じゃあ、あれを倒してきなさい」


「わんわん!」


 俺は円月輪に魔力を込めた。

 ギュオンと光のブレードが出てきて、ぶっちゃけちょっと怖い。


 円月輪の投げ方なんて知らないが、とりあえず横投げで投擲。形がフリスビーっぽいからな。

 ギュオンと飛んだ円月輪は、コノハスライムの遥か頭上を飛び越えたが、コイツは俺の意のままに操れる。


 背後から地面すれすれでコノハスライムを切断するように操ると、円月輪は半ばまで予想通りに動いたが、その後地面にぶっ刺さった。

 操るのが思いのほか難しいんだが。


「プーッ! なになに、地面に叩きつけちゃダメなんでしょ!? ん、ん? あれはどうしちゃったのかな!?」


 ロロが玉座から身を乗り出し、鬼の首を取ったように囃し立てた。愚王みたいな感じになっている。


「ほらペチ! 取ってきなさい!」


「わ、わんわん! きゅーん!」


 ロロは残ったコノハスライムを水の矢で屠り、俺に命じた。

 俺は必死に走って円月輪をゲットすると、ロロの前でチンチンした。

 そんな俺の頭をロロは、おーよしよし、おーよしよし、と撫で、円月輪を奪う。


「なるほどね。横投げすれば良いのか」


 俺の技を盗んだロロは、フリスビー投げで円月輪を真横にぶん投げた。

 手を離すタイミング悪っ!


「お前、投擲武器はもう二度と使うな」


「ぐぬぬぬぬっ!」




 ところがロロはやっぱり近接戦闘に憧れがあるのか、ちょいちょい近接戦闘向きの魔導装具を選択する。

 思い出したように魔法系の魔導装具も使うけど。


 俺も色々と試しながら、コノハスライムを倒しまくる。

 そして、現在レベル10。


「はぁー、はぁー」


「コウヤ、私もうダメ……ちょっと休憩……はぅっお尻ばっかり!」


「俺だって休憩させてやりたいけど、止まんないんだよ!」


「ひぅううう……にゃあん! ひぁっ!」


 あまりに激しい攻めにロロがおっぱいを押さえて鳴き声を上げる。

 おのれぇ、おっぱいを攻めるなんて……っ! しかも二連打。ポインポインッとゲッツーだ。しまってこー!


「ひぅ、にゃう、みゃーっ!」


 そして今後はたった今マーキングされたお尻へトリプルプレイ。完全に弄ばれている。


 訓練レベル5になると、それ以降コノハスライムが10匹で固定された。

 この辺りまではロロの魔法無双が通用した。いや、俺単騎でも普通に倒せただろう。なにせコノハスライムは基本ザコだし。


 しかし、それ以降の難易度がヤバかった。

 コノハスライムの戦闘能力が上がり始めたのだ。


 まず、レベル6に上がると全個体の強度が上昇。

 ロロの通常魔法一撃では倒せなくなった。魔導装具で威力を高めれば一撃で倒せる感じ。

 さらに、触手が出てくる時間が短縮。


 レベル7になると、魔法攻撃の間隔が短縮された。

 マーキングされなければそもそも魔法を使ってこないが、された瞬間、集中砲火を喰らう。

 この回でロロは無謀にも近接戦闘をして、ぼろ雑巾にされて最初のゲームオーバーを喰らう。


 そんな付加がどんどん搭載されて、現在レベル10になり、コノハスライムに搭載された付加は俺の予想だと5つ。

『強度上昇』『触手攻撃短縮』『魔法攻撃短縮』『リポップ時間短縮』『移動速度上昇』

 もはやコノハスライムじゃないじゃん、と思えるくらい手ごわい相手になっていた。


 しかも、レベル10からは明らかに他よりも強い個体が混じり始めている。『リポップ時間短縮』以外の4つのブーストが他の個体よりも5割増しくらいで掛かってる。

 たぶん『精鋭個体出現率上昇』みたいなのがフィールドに付与されたんだと思う。

 

 しかし、ここで勘違いしてはならないのが、現実の魔獣でもこういった精鋭個体が出ることがあるということ。ゲームのように、全ての個体が同性能というわけではないのだ。

 個体レベルが上がったヤツはどんどん強くなる。コノハスライムも例外ではない。


 つまり、この訓練はスパルタ仕様だったという、ね。

 ついこの前まで普通のコノハスライムすら倒せない俺達になぜこんな訓練をつけるのか……っ!


『ロマさんが10回の有効打を受け、敗北しました。休憩に入ります』


 体中を凌辱されたロロは、草むらに仰向けに倒れ、荒い息を吐いている。

 その目は空に向けられているものの虚ろだ。胸の上下がやけに生々しい。端的に言えばエロい。


 俺はそんなロロの傍らに座った。


「大丈夫か?」


 そういう俺も相当に息が荒い。

 汗もびっしょりだ。


 ロロは声を掛けた俺を見ると、くしゃっと顔を歪めた。


「ひぅうぅう、アイツら私のお尻ばっかり狙って……うぐぅ……」


「うん、まあ、隙だらけだし」


 敵の飽和で俺も途中からロロのお尻を守る事が出来なくなったが、幸い、18禁待ったなしな砲撃はシステム上ガードしてくれているよう。

 本当に良かった。こんなアホな事で俺の予約が無断でキャンセルされなくて。

 また、攻撃の威力はレベルに反比例して下がった。フルボッコ前提の調整である。そのおかげで、ロロが痛くないのだから喜ばしい事ではある。


「で、今回のはどうだった?」


 俺は、草むらに転がっている筒を見て言った。


「ぐずぅ。ダメ。隙がありすぎ」


 常に隙だらけな女の口から偉そうな評論が飛び出てきた。


 今回ロロが使ったのは、魔法の威力自体を高める杖の魔導装具だ。

 魔法特化のロロには合ってそうだが、コイツは魔法型のルビカンテと言われているらしく、全ての魔法が強力になる反面、魔法の出が遅くなる。

 これはテフィナ人からすると非常に違和感のある現象みたい。腕を動かそうと思って、その2秒後に実際に腕が動くみたいな感覚なんだって。


「ほらっ、立てよ。ロッカーに行こう」


「ひぅうう、私の魂の双子の片割れが頑張り屋さんだった件について」


「カスみたいな男じゃなくて良かっただろ?」


「そりゃそうだけど……ふぐぅ、分かったわよ……じゃあ、コウヤ、立たせて」


 武器選びをしようと立ち上がった俺に、ロロが両腕を天に向けて言った。


「え、あ、ああ。まったく、しょうがないなぁ」


 唐突な甘えに面食らうも、ロロと出会ってからスキンシップ大好きっ子に変貌を遂げている俺はすぐさまご馳走に飛びついた。


 俺はロロの両腕を掴み、ぐいっと引っ張りつつ後ろに下がっていく。

 ロロは、んーっと脱力したまま起き上がった。増強した筋肉のなせる業だ。


 と、そんな俺達の下へガリオン教官からのお知らせ。


『あー、三人とも。本日は次で最後だ。全力で行け』


 それを聞いたロロは、よしっと気合を入れた。


 三人ともってことは、フィーちゃんもレベル制の訓練をしているのかな。どんななんだろう。


 お尻をフリフリしながら魔導装具を選ぶロロの姿を眺めて、疲れた心身を癒す。

 はぁ、あの部分はツルツルなんだよなぁ……しゅごい。


「うーん、大体どれも似たような感じねぇ。有名どころしかないってのがなぁ」


 ロロが言う通り、ロッカーに入っているのは有名どころの魔導装具ばかりだ。

 まあ、有名どころの魔導装具は訓練にはもってこいなので仕方がないと言えば仕方がない。くそマニアックな武器を置いておいても仕方がないからな。

 ちなみに、ルファードは割と有名な魔導装具の範疇だ。


「あっ、これにしよ!」


 と、ロロが奥の奥から一つの筒を取り出した。


「じゃあ、次は俺だな」


 さてさて、俺はどうするかな。

 剣、槍、斧、投擲、殴り、大鎌……武器系統で言うなら一通り使ったように思える。

 実を言うと、ルファードも使ったのだ。クソ難しかった。難しすぎて戦闘の途中で武器を変えたわ。


 と、そこで俺は一つの魔導装具を発見した。

『ヴァルドナの鎖』と書かれている。


 鎖。

 実と言うと、この鎖って武器はテフィナではポピュラーだ。

 魔獣を封縛してよし、叩きつけてよし、鎖に魔法を流してよし、と昔から活躍している。

 ルファードの鎖フォームも、ただカッコいいからつけられているわけではないのだ。たぶん。


「コイツにしよう」


 すぐに魔導装具を展開してみると、鎖と言っておきながら手袋だった。

 どう使うんだ、これ。説明書求ム。


「なにそれ」


「ヴァルドナの鎖だって」


「おお、ヴァルドナ!」


「知ってるの?」


「うん、アニメで見たことあるもん。手から魔法を放射すると強制的に鎖になる魔導装具よ」


「なにそれカッコいい。やべぇ、超使いたい」


「アンタ、捕縛師になりたいの?」


 捕縛師とは、冒険者の職種の一つだ。

 剣士とか、魔法使いとか、そういうの。

 捕縛師の役割は、その名の通り魔獣の捕縛。何十人も導入される大型の魔獣討伐の際には、キラリと光る役割の人達だ。


「いや、これと言ってこだわりはないけど。憧れは魔法職」


「ふーん。まあ訓練なんだし、とりあえず使ってみれば?」


「うん。ダメだったらごめんね」


「別に。あー、あとさ、魔力交換しない? 戦闘でも使えるように訓練しないと」


「ハッ! そう言えばそうだ」


 魔力交換すると身体能力にブーストが掛かるのだ。

 日常的に使っているから、ただおトイレやお風呂を別にするためだけにあるもんだと錯覚してた。


 だけど待てよ……


「いや、やっぱり今日は止めておこう」


「え、なんで?」


「この訓練は武器選びを兼ねているんだし、魔力交換でブーストが掛かると武器が良いのか自分の調子が良かったのか分からないだろ? 武器が見つかってから、魔力交換での戦闘訓練した方が良いと思う」


「なるほど、一理あるかも。じゃあそうしよっか」


「因みに、お前の得物はなに?」


「今回のはビットオーブよ」


「ビットオーブ? 知らないな」


「あのロッカーの中で比較的にマニアックな魔導装具だもん」


 ロロはそう言って、魔導装具を展開する。

 すると、3つの球体がロロの回りにふわりと浮いた。


 うん、高確率で魔法系の魔導装具だ。これなら安心。


「じゃあ最後の訓練頑張ろう」


「うん!」


 こうして、本日最後の訓練が始まった。

読んでくださり、ありがとうございます。

ブクマありがとうございます、嬉しいです。

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