悪夢をダシにさめざめラブニャー
お久しぶりです。
よろしくお願いします。
「はわぁ!?」
「にゃふぁ!?」
俺は身体を弾ませて目を覚ました。
それに連動して、お布団役をしていたロロにゃんが悲鳴を上げる。
「んぇえ? にゃぅう? ……どうしたの?」
半分寝ぼけた様子で目を覚ましたロロにゃんは、敷布団役の俺の顔を両手で撫でながら、瞳を覗き込んで問うた。
愛しいその瞳を見つめて、俺は自然と涙がポロポロ流れた。
「んぇええ!? な、ななな、どうしたの?」
ロロにゃんがあたふたした。
とりあえずキスすれば間違いないとばかりに、ムチューとキスしてくる。
俺は励ましてくれるロロにゃんを強く抱きしめ、夢中でキスをした。
泣いてるだけあって鼻が利かず、息継ぎ多めのキスである。
しばらくして落ち着いた俺は、同じ枕にロロにゃんを寝かせて、お話をした。
密着度が高いので、俺の太ももがガッツリ食い込んでいる。
「どうして泣いてたの?」
俺はため息交じりに苦笑いをして、話す。
「怖い夢を見た」
「ふひっ」
俺が言うと、ロロにゃんは口をもにゅもにゅした。
まあ夢が怖くて泣いちゃうとか笑うよなぁ。
俺だって、ロロにゃんがそんな事言ってきたらキュンキュンして、そのままそのキュンキュンを全力解放するわ。
「ど、どんな夢? ほら、お姉ちゃんに話してみなさい」
可愛いと思われたのか、ロロにゃんがお姉ちゃんに大変身。
「ちょ、やめ、お姉たん、しゃわしゃわしないれ! お話れきないよぅ!」
「はわ、ごめんね?」
「うん……お姉たん、涎」
「じゅるっ!」
凄いニヤケ顔だったロロにゃんは、涎を啜ってキリっとした。
口を閉ざすも、しかしその口はもにゅもにゅ動いている。
俺はロロにゃんの頬を撫でながら、話し始めた。
人に夢の話をするのは難しい。
当人は凄い夢を見たとドキドキだけど、夢なんてものはオチがないのが大半だし、聞き手からしたら大した話に感じないのだ。
だから俺は誇張せず、引っ張りもせず、淡々と話した。
夢は、こうだった。
俺が何らかの現象で日本に戻ってしまう話。
魂の双子だから例え次元を超えて離れてしまっても、魔力交換が切れれば転移してお互いの下へ戻れるのだが、夢ではその効果も発揮されなかった。
俺はロロにゃんと離れ離れになったことを知って絶望するけど、どうにもならない。
しかし、数日後、ロロにゃんが俺を迎えに来てくれる。
それは俺よりも30歳も年上のロロにゃん。
変わらない美しさのロロにゃんだけど、それはテフィナ人だから。
そう、地球とテフィナでは時間の流れが違ったのだ。
現実では時間の流れは同じだけどな。あくまで夢の話だ。
ロロにゃんは、30年間、必死で俺を探してくれていたのだ。
いっぱい勉強して、次元の学者さんになって、一生懸命俺を探してくれた。
再会して、そんな話をしてくれるロロにゃん。
そこで夢は終わるのだけど……
「俺を探してくれたロロにゃんの30年間を想うと、悲しくて、切なくて、愛おしくて……あ、あわわわわわわわぁ!?」
「ふぐぅうう、にゃによ、しょのゆめぇ……ふあぁああんあんあんあん!」
俺の夢の話を聞いたロロにゃんがベンベン泣き始めた。
俺がロロにゃんの30年間を想像して泣いちゃうくらいだ。泣き虫なロロにゃんが自分の30年間を想像して泣いちゃってもおかしくはない。
俺はロロにゃんを抱っこして、よしよしとあやした。
うーむ、人の夢でこれほど泣けるとはロロにゃんもやるな!
とはいえ、ロロにゃんが切なさのあまり泣いちゃってる姿が、胸を絞めつけてくる。俺も涙が出てきた。
俺達は、二人でしくしく泣いた。
ほっぺを擦りつけ、キスをして、夢のように離れ離れになるもんかと抱きしめ合い。
そうして涙が小降りになって、盛り上がった気分のままラブニャーをしてみると。
技も使わず愛だけを込めた単調なラブニャーだったのに、小宇宙が見えた気がした。
「これをさめざめラブニャーと名付けます!」
事が終わり、ロロにゃんが宣言する。
さめざめラブニャー。
「愛を再確認するには良いけどさ、好き好んで心をそういう状態には持っていきたくないな」
「まあそうね」
「アニメとかを見て、感情移入した時にやるとかかな?」
「うーん、私、ハッピーエンド至上主義だし、そういう話ってあまり好きじゃないのよね。感情移入し過ぎちゃうのよ」
「分かるわぁ!」
そんな話をしながら、ロロにゃんはまだ寂しさを引きずっているのか、俺に一生懸命身体を擦りつけてくる。
俺もそんなロロにゃんの背中を長い髪と一緒になでなでする。
「コウヤにゃん気づいた?」
「気づかなかった。何が?」
「途中でね、ラブリング外したいなって思ってた」
「さめざめラブニャー恐るべし」
レベルアップや日々の苛烈なロロにゃんとの生活により、シャイニングブラスターの威力は凄い。
ラブリングを外してロロにゃんDayがばっちりなら、超高確率で着弾するだろう。きっと確定に近いはず。
「んふふっ、外さないわよ。まだまだ早すぎるしね」
俺はホッとする反面、それも良いかもしれないなって気分にもなった。
くすくす笑うロロにゃんの頭をなでなでしつつ、俺は話を変えた。
「夢のことを話してた時には言わなかったけどね」
「うん?」
「俺の心の中には、ちょっとだけ願望があるんだよ」
ロロにゃんは首を上げて俺の顔を見つめた。
少し目がうるうるしている。
「帰りたいの?」
「まさか。じっちゃんと過ごした世界に懐かしさはあるけど、帰りたいとは思わない。今の暮らしが凄く楽しいもん。そうじゃなくてさ」
「うん」
「故郷の友達に、ロロにゃんを自慢したい願望」
「にゃ、にゃにおぅ!?」
ポンを顔を赤くしたロロにゃんの瞳を見つめ、俺はニヤリと笑う。
「テフィナ人は、俺の目から見てみんな美人だって言ったよね? 特に女の子は凄い。俺の故郷に行けば、誰でも注目の的だよ。そんな中でロロにゃんは特に凄い。シュッてしてキリリってしてて、最近は胸も大きくなって、最高に良い女なんだ」
「しょ、しょなの?」
ロロにゃんの口がもにゅもにゅしまくる。
自分でもそれを自覚しているのか、俺の首元に顔を埋めてチュッチュハムハムしてきた。
「俺のお嫁さんはこんなに美人なんだぞって、自慢したいんだよ。どうだ、羨ましいだろって」
特にバトミントン部エース。
高1の夏休みに小動物系女子と一緒にクラスチェンジしたアイツは、俺達に大層自慢してきたからな。何が、コウヤは社会人になってからっぽいな、だよ!
そして、あのワンランク下のヤツらを見るような目ぇ!
ついでに、隣の席のギャル。
いつもいつも俺のことをおちょこりやがって。
俺の童貞な反応を見て、友達とキャハキャハ笑いやがってぇ!
「ふふふっ、ロロにゃん、顔見せて?」
「ハムハムチュー!」
俺の要望にロロにゃんは恥ずかしがって顔を見せずに、首チュパに勤しむ。
「まあさ、そんな自己満足のために危ない橋を渡るのもアホらしいし、テフィナでロロにゃんとこれでもかってほど幸せになれれば、俺はそれだけで良いんだ」
そう言いながら頭や腰を撫でていると、ロロにゃんの首チュパが激しさを増していく。
身体がポカポカしてきたぞ。
再戦の時は近い。
さめざめラブニャーを終え、愛はマグマのように熱く煮えたぎっている。
それを証拠にロロにゃんがどんどん下へ降りていく。
バトミントン部エース。
貴様はわずか4ヵ月程度で別れた小動物系女子に、こんな風に愛してもらっていたか?
隣の席のギャル。
お前の男は、俺のように細マッチョで、色々と上手か?
お前が笑っていた男は、最高の女にメロメロにゃるきゅんにゃんさせているんだぞ?
俺はロロにゃんの身体をくるんと回して、マウントを取った。
真っ赤でニヤケまくったロロにゃんのお顔がこんにちは。
あまりテフィナでは人気な系統の顔でないロロにゃんは、べた褒めすると恥ずかしがりながらも、とても喜んでくれる。
俺はロロにゃんのニヤケ顔をもにゅもにゅと手で揉み、少しサディスティックに笑う。
「嬉しい?」
「べ、別ぃ?」
「綺麗だよ」
ロロにゃんはもにゅもにゅと唇を動かしながらプイッと横を向く。
しかし、チラッ、チラッとこちらを見てくるぞ。
「こ、コウヤにゃんもカッコいいけどぉ?」
「綺麗なロロにゃんの旦那だもん。そりゃカッコいいよ」
「にゃぅう!」
ロロにゃんは恥ずかしさのあまり枕で顔を隠す。
よし、それじゃあ始めようか!
ふっふっふっ、いつまで枕ガードをしていられるかな?
読んでくださりありがとうございます。
評価やブクマも頂き、遅くなりましたがありがとうございます!




