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3-39 表層思考入力プレイ

よろしくお願いします。

 ワワワッで公演に参加させてもらった後、ククルさんから俺の出禁が言い渡された。


「コウヤ君が来ると番組が成立しないからダメだ」


 これにロロにゃんが、にゃんだとぅ、とキレたが、全くもってククルさんが正しいので俺はこれを受け入れた。


 ロロにゃんは俺と一緒にいると、モラルがブレイクする。

 これはロロにゃんのためにもならないし、ククルさんとせっかく作った番組をダメにするのも忍びない。

 なにより、大勢の人が見てくれているのだから、強制ログアウトを喰らうような事態は見てくれる人にも失礼だ。


 こんな考えをロロにゃんに言うと。


「コウヤ君はまともな時とまともじゃない時の落差が激しいな」


 ククルさんに呆れられた。

 全部ロロにゃんが悪い。ロロにゃんが関わると、心身の制御が利かなくなることがままある。魔性すぎる。


 そんなこんなでワワワッをプレイし始めた俺は、色々な公演を視聴してみた。

 熱いのは、ラブニャーテクニック講座だ。そういう話題専門の村が結構な数あるのだ。

 色々な話を聞けて非常に勉強になる。ロロにゃんも一緒に視聴しているぞ。


 家に居ながら演説や漫才を臨場感あるCVFを通して生で見られるワワワッは、かなり面白い。

 公演はラジオに似てるかもしれない。あるいは、俺は行った事がないけどテレビのバラエティスタジオとか。

 人気がある公演は聞いてるだけで面白いのだ。ククルさんの番組もその一つなんだろうな。


 さらに、パーティ仲間やソーマと夜にお話できるし、ククルさんの仲介でアンゼさんたちとも仲良くなれた。

 テフィナの多くの人が小中高生くらいでワワワッデビューし、その後大人になっても続ける人が多くいるというだけあり、とてもハマるゲームだった。


 そして、ロロにゃんが拗ねた。


「ねーえ、最近の私たちレスじゃない?」


 俺の背中にロロにゃんがもたれかかった。

 俺は今、アンゼさんとその仲間たちが語る自分たちの義務冒険者時代の話を聞いているんだけど……


「レス? レスってなに?」


「ラブニャーレスぅ!」


 ロロにゃんはそう言いながら身体を上下させて、俺の背中にゴシゴシと擦りつけてくる。


「ラブニャーレスってロロにゃん。ついさっき4回もしたじゃん」


「いつもならもう2ラウンド目に突入してるよ!?」


 4回したのに、次回が2ラウンド目とは一体。

 ロロにゃんの中で、小休止するまでが1ラウンドなのだろう。

 たぶん、4回が途切れないのが原因だろうな。


『いつもなら』というセリフ。

 これは真実だ。

 まだ4回してから1時間過ぎた程度だけど、このくらいでお互いに身体が火照ってくる。

 直接的なことはもう少し経ってからの気がするけど、お互いの気持ちをさらに盛り上げるために準備イチャコラを開始していてもなんらおかしくない時間だ。


 う、うーむ。

 だけど……


「ちょ、ちょっと待ってね。今面白いところなんだ」


「やーあだー! 私とアンゼ氏のどっちが大事なのよー!」


 身体ゴシゴシが激しくなる。さらに首チュッチュも始まる。


「ロロにゃんだよ。だけど、ちょっとだけ、ちょっとだけ待って……ぷふっ、あははは!」


「ひゃうぅううう……っ!」


 アンゼさんとルクさんの掛け合いに俺が笑うと、ロロにゃんがショックを受けた。

 ロロにゃんは、背中から退いて俺の太ももに頭を乗っけて、降参のポーズをする。


「にゃん!」


 ぐっ、くそ可愛いな。

 その一撃で、俺の意識はロロにゃんに全力で傾いていた。

 だけど、このまま放っておくとどうなるのだろうか?


 ふつりとSっ気が沸き、俺はロロにゃんの顎と頭を撫でるだけに留めてみる。

 ロロにゃんは嬉しそうに手に頬すりし始めるが、すぐに飽き足らなくなり、にゃんっと猫パンチを俺の頬に放ってきた。甘噛みみたいなパンチだ。


「にゃん! にゃんにゃん! コウヤにゃん! にゃん!」


 一生懸命アピールしてくるロロにゃん。

 可愛いなぁ。


 俺はワワワッから、そっとログアウトした。

 未だ手動入力な俺なので、ギャラリーと一緒に聞いてただけなので誰も気づかないだろう。


 ワワワッの音が無くなったことで一気に室内が静かになる。


 さて。

 勝手に召喚したロロにゃん殺しに猫パンチをし始めたロロにゃんをお仕置きしなくてはならないな。


「にゃっ! にゃにすんのさ! んふ、んふふぅ! うにゃー!」


 ロロにゃんをコロンと回して膝の上でうつ伏せにし、俺はゴッドハンドを使用した。




 ワワワッを始めたことで、俺に重大なスキルがないことが発覚した。

 それはテフィナで割と重要な技術である『表層思考入力』だ。


 テフィナの入力ツールは、今でも地球と同じような色々なキーボードが使われている。

 しかし、その他にもキーボードどころか音声すらも必要のない、この『表層思考入力』という入力ツールがある。


 どちらも一長一短で、キーボードは長時間の作業に向いており、表層思考入力は短時間の高速処理に向いている。短時間というのも、表層思考入力は単純に疲れちゃうのだ。


 表層思考入力の入力速度はとても速い。

 おかげで話がどんどん進んでいく中で、手動入力な俺は2分前の話題にようやっと返答する有様である。まあこれはテフィナのキーボードに慣れていないのも原因の一つとなっているけど。


 で、この表層思考入力。

 コイツは思考の浅いところで考えている言葉を綴れたり、アバターに指示を出せたりするツールなんだけど、慣れていないと思考が駄々洩れになる。


 それを知らないまま、表層思考入力モードでロロにゃんと一緒にワワワッにログインしてみたんだけど、見事に全部駄々洩れた。

 片や、自分がやっているアプリを恋人と一緒に出来てテンションバカ高なロロにゃん。よほど嬉しかったのか、密着しながらニコニコとプレイするものだから、俺のアバターは一瞬にしてロロにゃんへの愛を垂れ流すだけの存在に成り下がった。


 その後、手動入力モードでロロにゃんとククルさんがやっている番組に少しだけ出させてもらったのだけど、ほぼ何も出来ないまま終わった。

 いや、途中でロロにゃんを発情させて強制退場に追い込んでしまったけれど。


 そして、現在。


 俺は素敵椅子に拘束されていた。素敵椅子には拘束用のフォームがあるのだ。

 手足の動きを封じられ、仰向けで拘束されているその姿は、とてもじゃないが人様には見せられない恥ずかしいものとなっている。


 なぜこんな事になっているかと言えば、ロロにゃんが表層思考入力で俺が駄々洩れなのが甚く気に入ってしまったからだ。


 俺の思考を読み取ったゼットと繋がったホログラムウインドウに、今まさに俺が考えていることが文字として凄いスピードで書き綴られていた。


 残念ながら、それを『』で綴る事はできない。

 ひでぇセリフが列挙されているからだ。健全な男子が全力で下品なことを考えていると言えば、その酷さは分かると思う。

 何もかもロロにゃんが悪い。良い女過ぎる上に、上手過ぎる。


 そんなロロにゃんが耳元で俺に囁いてくる。

 残念ながら、これもまたなんと囁かれたのかは綴ることが出来ない。許容できないレベルの単語がいっぱい出てくるからだ! もはや熟練者の言葉責め。絶対ロロにゃんはネットでいろいろ調べてる。


 それに対して俺は言葉を返すことが出来なかった。

 口に変なものがハマっているからだ。素敵椅子を買う時ロロにゃんが欲しがったので買ってしまった。あーとかうーしか言えない。

 これが外される時は、終わりの時か、飲み物を飲ませてくれる時だけだ。駄々洩れの思考を見て、ロロにゃんが口移しで飲ませてくれるのである。完全にロロにゃんの飼育下にある。


 そうして前述した通り、言葉の代わりに、ウインドウのメモ帳にひでぇセリフがガンガン流れて行く。

 それを強制的に見せられている俺。

 文章を指さして、これどういう意味? どうしてほしいの? などと問いかけてくるロロにゃん。

 その問いかけに、また思考が駄々洩れる。スパイラル!


 ロロにゃんが酷い遊びを覚え、俺は禁断の扉を開こうとしていた。


 さらに、そんな遊びを覚えた状態で、お薬をキメさせられた。

 ヤバいお薬じゃない。『性転換24』だ。


 再び女子になった私の思考が、大変にはしたない文字となって駄々洩れになる。

 男になったロロ様は、その文字から私がどうして欲しいのか読み解き、男初心者のくせして凄まじい快楽を私に味わせてくる。

 性転換24は24時間有効なので、素敵椅子の別モードも体験させられた。足プラーンはとぶ。


 そんな苛烈な訓練の結果。

 俺は表層思考入力をマスターできなかったのだった。

 ……うん、ダメだった。


 ロロにゃんへ胸の内を全部曝け出すことに快感を覚える行いだったし、たぶん訓練方法がそもそも間違っていると思う。


 実際に、ゼットで調べてみると。

 これをやると表層思考入力が出来る人も下手をすれば出来なくなる可能性があるという事実が発覚した。

 そんなわけで、是非ロロにゃんにはやってもらいたかったけど、やらなかった。

 あと、この遊びは封印される事になった。俺も表層思考入力が出来なくなるのは将来的に困るからな。


読んでくださりありがとうございます。

ブクマありがとうございます!

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