ひいろちゃん!
クラス一の変人なおかつ自由人。その名も…
「自称世界の美少女、ひいろだよ!」
「それではせーので、サブタイトルコール言ってみよう。せーの『はじめましてのひいろちゃん』」
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「増見さんって知ってる?」
「えぇっと、あ、いつも欠席の」
「なんかね、人殴ったらしいよ」
「え、こっわ! 停学処分?」
「さぁ? まあ、会ったことないけどね」
やがて新作アイスの話題へ移り変わり、二人の女子は廊下を去っていった。
「聞こえてる」
私、『増見 のん』は嫌われ者で、保健室登校ならぬ図書室登校をしている。まあ、人を殴ってしまったのは本当の事だから仕方ない。
そして、今はそんな事よりも…。
「あへへー。カベー、ふへへへ」
目の前の壁にへばり付いて笑っているコイツをどうしたらいいでしょうか?
「あー、こんな所にいた」
「カベー。あれ、モナコちゃんの幻覚?」
「なわけあるかい。ほら、通行人がドン引きしてるから」
「カベおいしい?」
「自分で食えば? もう行くよ」
その人はそんなやり取りをして、首根っこ捕まれて引きずられて去っていった。
「あへへ、カベー」
と、笑いながら。
「怖いわ!」
次の日も図書室登校をした私。
「あ、昨日の通行人だー」
「!?」
ソイツは何故かいた。図書室にいた。
「はじめまして、と言うほどはじめてじゃないわね。前世で会ったことある? まあ、いっか。私はひいろ。自称世界の美少女よ」
「は?」
勝手に自己紹介が始まった。
「でも、安心して。私はこう見えて壁嫌いよ」
「嘘つけ!」
「嘘も下手」
「でしょうね!」
「本日はお日柄も良く…」
「雨だけど」
「飴玉はお嫌い?」
…コイツやばいわ。
「よろしくね。のんちゃん」
「え?」
長髪の残念美少女は笑う。
その時はじめて、私はひいろの顔を見た。それが私とひいろのある意味本当の出合い。
「スリーサイズは、カベ、ウォール、山田さん」
「数字ですらない」
「あ、昼休み終わるね。教室行こう!」
「っちょっと、引っ張らないで!」
ひいろは私を引っ張って歩く。振り解く事は出来たが、私はそうしなかった。
「…お前みたいなやつが受入れられてるクラスなら、大丈夫だろう」
こうして、私は図書室登校をやめたのだった。
今日の空です。
お付き合いして下さり、ありがとうございました!
忙しすぎて、現実逃避に思い付いたギャグです。
あ、しかし、「ふふふ、カベー」と言って柱にへばり付いて笑っている人は見たことがあります。
精進します。