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春姫物語  作者: 番茶
3/11

国の秘密







四姫やシェリーたちが住むこの国。

この国には国民も、はたまた王様ですら知らない秘密がありました。





それは、この国は大昔に【科学者達】によって意図的に造られた国だということです。







国の創世記にはこうありました。


『偉大なる父らはこの世界を創り、火の悪魔から世界に平和を取り戻した。』


ここでの“偉大なる父ら”は科学者達のことを指し、火の悪魔は太陽のこと意味していました。


太陽の接近に伴い暑くなりすぎた地上では生活するには無理があったのです。

ですから科学者達は地下に巨大なドームを創りました。




空には映像を、雲発生機に空調を使い、季節の温度を調節し、時には災害に近いような天気を演出していたのです。

そしてその演出は全て、皮肉なことに地上から取り入れたソーラーパワーでまかなわれておりました。



このことは国民はもちろん王様も知りません。全てを知るのはこの世界の季節を任された四姫のみでした。



王様は科学者達の長の末裔です。

しかし、王は普通の人でした。

そして四姫は科学者達によって造られた者たちでした。

四姫たちの体は特殊な構造であるのはもちろん、風邪も引かなければ疲れもない。痛みこそ感じるものの、眠ればとてつもない速さで自己再生するのです。

また姫たちの一番おかしな点は伴侶がいてもいなくても子供を産めることでした。



しかし、生まれるのは女の子のみ。

何故女の子なのか、ここまでお話すればわかっていた抱けるもしれませんが、それは子供を産めるのが女性だからです。皆一様に季節の姫としての記憶を持って生まれ、王から与えられた屋敷で生きるのです。

しかし、始まりの記憶は皆持っていても、ドームの秘密を知るのは四姫のみでした。


そして、王は普通の人として生まれるために国の仕組みや秘密は知りません。




人であって人でない、四姫の一族はそんな存在でありました。






そんな姫たちの役目。

それは季節の装置を動かし見守ること。





初期の国が太陽の熱によって滅び、追い立てられる時、科学者たちはこの国を『科学』が発達する前の時代をモデルに創りした。



そうすることで装置の秘密を隠し、外に出たいと言う欲求を抑え込もうとしたのです。

隣国もあるにはありました。



しかし、そこに行くには鬱蒼と生い茂る不気味な森を通らなければなりません。

もちろんこれも地下でした。




今や国というものは地底をアリの巣のように広げ、様々なドームに守られながら人々は生きているのです。





それがこの国の秘密。

そしてその装置を動かす鍵が、歯車でした。





春姫はネックレスに、

夏姫はピアスに、

秋姫は指輪に、

冬姫は髪飾りに、



それぞれの季節の移り変わりをモチーフにした歯車を持っていたのです。



そんな中で、春姫の花のような、雪の結晶のような形をかたどったネックレスの歯車は割れてしまったものだからさぁ大変。





春姫は旅に出なければなりません。

新しい歯車を取り戻す旅に。

不在を悟られぬよう妹を身代わりにしながら、彼女の旅は始まりを告げるのでした。










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