Shark in the spirit world
―――グラン・シャーク王国にて
「魔術師長、準備はできましたか?」
そう金髪のロングヘアーの少女は語りかける。
彼女の名はフィレ・グラン・シャーク。
このグラン・シャーク王国の第一王女である。
「もちろんです。姫様」
そう、ローブの男は返した。
彼の名はシュモク・ハマーヘッド。
若干29歳という若さでありながらこの国の魔術師長を務め上げる王国一の魔術師だった。
そうして互いに何かを確認する二人の足元には巨大な魔法陣があった。
―――勇者召喚。
そう呼ばれる儀式が存在する。
異世界より英雄を召喚する術式である。
彼らはその術式を起動するための準備に取り掛かっているというわけだ。
「これで、世界は救われるでしょう」
そうフィレ王女は感慨深そうに語る。
彼女が英雄を召喚するのにはわけがあった。
言うまでもない、王国は、いやこの世界は危機に瀕していた。
―――『メガロドン』、数百年前に一度現れ世界を滅ぼさんとした『魔王』が再び蘇り、世界のすべてを手中に収めんと征服を始めたのだ。
彼女らはその魔王に対抗すべく、あえなく『勇者』、すなわち異世界の英雄を呼び出すことになったのだった。
「ええ、もちろんです」
そう言って笑みを浮かべる魔術師、シュモク。
だが彼らは気づかなかった。
魔王よりも更に恐ろしい怪物を召喚してしまうことになるとはこの時の二人は知る由もなかった。
そして召喚術式を起動した直後、王国に凄まじい悲鳴が轟いた……
―――『魔王』メガロドンの城
「ククク……あと少しだ……あと少しで世界が我のものになる……」
そう玉座に座り笑みを浮かべる男がいた。
彼は、魔王『メガロドン』、数百年前に世界を征服しかけた男だ。
もうすぐ全てが手に入ると彼はご機嫌だった。
そんな彼のもとに慌ただしく部下のネコ・サーメ現れた。
「た、大変です。魔王様!」
「どうした?ネコよ。その慌てよう、我を倒すため王国がまた勇者でも召喚したか?」
余裕を持って魔王はそれに応える。
前回もあったことだ。
『魔王』メガロドンを止めるため数百年前は異世界から『勇者』を召喚したのだった。
「勇者など恐れるに足らん。前回、我を封印した『聖剣』はもうこの世にはない。勇者ごときこの我が葬り去ってくれよう」
しかし、彼を苦しめた『聖剣』は前回の戦いですでに破壊されていた。
そのため、たとえ『勇者』が来たとしても簡単に倒せるだろうという確信があったのだった。
だがそんな余裕を見せた彼に対して思いもよらない言葉が告げられる。
「魔王様。その……王国が……壊滅しました……」
「なんだと!?……いや、どこかの部隊が先走ったか?ククク……イタチめ……楽しみは取っておけと言ったろうに……」
しかし、驚いたのは一瞬のこと。
すぐさま彼は気を取り直し自らの部隊によって殲滅されたのであろうと予想を立てる。
だが、その予想は裏切られる。
「いえ、『四天王』のイタチ様ではありません……。王国付近に展開していたイタチ様の部隊も……壊滅しました」
「なんだと!奴は『四天王』の中でも我が最強と見込んだ男、何があったというのだ」
『魔王』たる彼は王国殲滅に万全を期すため、魔王軍『四天王』の中でも最強と誉れ高いイタチ・セラチを送り込んでいたのだった
だがその軍がやられたと聞き、魔王は警戒を深くする。
「く、詳しくはわかりませんが正体不明の怪物によって一撃で……その……喰われたそうです」
「……喰われた、だと?」
「はい、なんとか逃げ帰ったオークの話によると、魚のような正体不明の化物で空中を泳ぎまわり、王国の人間を一人残らず喰い荒らしたそうです」
「空を泳ぐ、魚のような化物、だと?なんの冗談だ。ソレは……」
それを聞いて戦慄する魔王。
だが部下であるネコは更に話を続ける。
「そしてその怪物はそのままイタチ様の軍を襲撃、イタチ様は一瞬のうちに喰われたそうです」
「イタチが一瞬でやられるほどの化物……不味いな……すぐに全軍、出陣の用意をしろ、我も出る」
そして彼は全軍に出撃するよう通達する。
そう、この時の彼には油断があったのだ。
たとえ四天王最強であるイタチを一撃で屠った相手であっても最強たる自分と魔王軍の全勢力を持って当たれば倒せるに違いないと、たかをくくっていた。
だが本当の恐怖が迫ってきていることを彼はまだ知る由もなかった。
オマケ
『勇者』と『魔王』のステータス
名前:ホオジロザメ
種族:ホオジロザメ
称号:勇者
HP:9999/9999
MP:9999/9999
攻撃力:5000
防御力:3000
魔力:3333
素早さ:9999
名前:メガロドン
族:魔族
称号:魔王
HP:999/999
MP:999/999
攻撃力:999
防御力:999
魔力:999
素早さ:999
『シャークネード』見てたらなんとなく鮫を書きたくなったので書いてみた(所要時間30分)
間違いなく駄作(B級)
続き書くかは気分次第