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第八十一話

「それで、そもそもレンカはなんでこんなところに居るんだ?」


「ん…お姉ちゃんを探してる」


 レンカはそう言い、パシアンを見ると、


「パシアンは、何か知ってる?ライラも」


 聞かれた二人は顔を見合わせ、


「いや、知らない。というか、俺もライラも探してる最中だ」


「そう…じゃあ、私は別で探すね」


「そうか。じゃあ、また後で…というか、またいつか、かな」


「そうだね…あ、そうだ。そこの二人」


 唐突に指差されるクロノワールとシャルス。


 キョトンとした表情で二人がいると。


「自分の力で生き残りたいなら、私と一緒に来るといいよ。たぶん、そこに居ても、強くなれないから。ライラが、大体戦うでしょ…?」


 瞬間、全員に電流が走る。


 よくよく考えてみると、確かに高確率でライラが前面に出てぶっ飛ばしていった。いや、清雅も一緒に戦う事はあるのだが、それでもやはりフィアたちが前に出て戦う事は、村での戦闘を除いて稀だ。


「えっと…」


 シャルスとクロノワールが清雅の方を見る。それに気づいた清雅は、


「あぁ、別に、行きたいなら言っても大丈夫だぞ?そもそもこの旅に目的もないし、ただ単にフィアと一緒に世界を見て回ってるだけだ。だから問題は何もないよ」


「そうなんですか…?」


 清雅が答えると、シャルスが不安そうな表情で、今度はフィアを見る。


「そうねぇ…まぁ、大体そういう理由でいいかな。私自身、なんで旅してるのかって聞かれたら、家無くしたからだし。正直外に出て見たかったから特に問題は無いんだけどね。だから、基本は来るモノ拒まず、去る者追わずのつもりよ。何時でも出て行っていいわ」


「家無しって…中々ひどくないですか?一体何が…」


「良いの良いの、気にしなくて。説明は私が魔王だったってところで察して」


 フィアがなんでもないように言う横で、優奈が目を逸らして頬をひきつらせている。


「あ~…そういう事ですか…変なこと聞いてすいません」


「だから気にしないでってば。どうせ皆も生きてるでしょ。あ、兄貴は死んで良し」


「お兄さん…一体何をしたんでしょうか…」


 兄貴言った後のフィアの笑顔が恐ろしく、シャルスが何とも言えないような表情になった。


「で、どうするの…?私と来るの?」


 レンカの言葉に、シャルスとクロノワールが反応し、


「あ、行きます!」


「あの、セイガさん。フィアさん。みなさん、ありがとうございました」


 シャルスが歩いていき、クロノワールはお礼を言ってレンカのもとへ。


「ん。分かった。じゃあ、パシアン。私はもう少し魔界を探してみるよ」


「おう。じゃあ、俺達は獣人国に行く事になってるからな」


 レンカがヘルハウンド――――エンの背に乗ると、シャルスとクロノワールを引き上げる。


「じゃ…パシアン。ライラ。セイガとフィア達も。また後で会おうね。セイガ。次は本気で、ね」


「だから、さっきも本気だったっての…」


「またね~!」


 清雅とライラが返事をし、パシアンやフィアたちは手を振るだけにした。


「みなさ~ん!ありがとうございました~!!」


「お世話になりましたぁぁあああ!?」


 クロノワールが言っている最中に急発進するエン。おかげでクロノワールの最後の方はほぼ悲鳴に近かった。また、村中にいたヘルハウンドもエンに追従するように走って行った。


「お~…エンって言ってたけど、いつ捕まえたのかな。あんな大きなヘルハウンド」


「さぁな。まぁ、楽しそうだったし良いだろ。それより、そろそろ行くのか?」


 ライラの呟きにパシアンは雑に答え、その後の問いに、全員が清雅の方を向く。


「ん?あぁ、俺が決めるのか。そうだな…別にここに留まる理由も特にないし、むしろ他の村を探そうぜ」


「じゃあ、進むって事かな?」


「そういう事。何かある?」


「ん~…ルーリスは大丈夫?」


「大丈夫だよ!!さっきまで寝てたもん!!」


「そ、そうか…え?寝てたの?」


「ぐっすり寝てたわよ。それを見てみんなが襲い掛かってくるから逃げるので忙しかったわ…」


 元気に走り回るルーリスの言葉を聞いて、清雅がルーネに尋ねると、疲れたようなルーネが答える。


「皆が襲ってくるって…なんで?」


 待機していたライラに目を向けると、全力で目を逸らされた。


「いやぁ…寝顔が可愛かったから仕方ないでしょ。可愛いは正義よ」


 ルーリスを捕まえて頬をむにむにしながらそういうルーネ。ルーリスはそれを特に嫌がる様子も無く、受け入れていた。


「お、おぅ…あれ?ルーネってこんなこと言う奴だったっけ?」


「お母さん化が進行してない?明らかに悪化してるよね?」


「ルーネお母さん…ちょっと冗談じゃなくなってきたかも」


 本気で嬉しそうに言うルーネにフィアと清雅は頬を引きつらせている。


 ちなみに、最近姿を現さないシャクナは、お姉さん的地位を獲得していたりする。


「ま、まぁ、ルーネのお母さん化はちょっと考えないといけないとして、とりあえずは問題は無いかな。日もまだ高いし。ここで止まってると何か来そうだから、早く行こうよ」


「おぅ。そうだな。じゃあ、行くか」


 フィアに言われ、清雅は歩き始めた。

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