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第七十九話

 矢をかわし、槍を逸らして剣を振るうが、素早くかわされ、蹴りによる鋭い反撃が襲い掛かる。


 清雅はそれを寸での所で避けて地面に手を着くと、氷が生まれて少女に襲い掛かる。


 だが、少女はその場で跳躍する、


 そして、少女の影から飛び出す炎。


「チッ!!」


 舌打ちをしながら清雅は後ろに跳び、風を操って炎を霧散させる。


 だが、ちらりと見えた少女が矢を放っていた。


 風を纏っているのか、炎を巻き込みつつ向かってくるソレは凶器以外の何物でもなかった。


 瞬時にバレーボールほどの水の球を作ると、矢に向かって放つ。


 水の球が当たると同時に矢は勢いを落とし、落ちていく。


 が、その奥から飛んできた少女が槍で突き刺そうとしてくる。


 清雅は地面に下りると下から上に上がる様な雷を生み出す。


 しかし、少女は槍を斬るように振るって地面へと叩き返していき、勢いそのまま清雅に突っ込む。


 清雅は寸前で何とか横へと避けるが、それでも少女が地面を抉った時の地面の破片が当たる。


「オラァッ!!」


 炎の刃で攻撃するが、ヘルハウンドが間に入り無効化する。しかも、それだけでなく、炎を吐いて追加攻撃までしてくる。


 清雅は素早く氷の壁を作り、それをおとりに横へ全力で逃げる。


 が、それを予想していたかのように少女の炎を纏った矢が飛んできて、清雅を刺そうとしてくる。


 瞬時に闇で刃を作ると矢を斬り、清雅は更に来るであろう矢に備えて氷で軽い装甲のようなものを作る。


 だが、次の瞬間、迫り来る少女を見て青くなる。


「ッ…ァア!!」


 光を生み出して目潰し。それと同時に雷で追撃する。


 しかし、光が消えて前が見えるようになった瞬間、頬をひきつらせる。


「か、硬くね?」


 雷に当たったのだろう。黒くなっている左手。しかも、全体が黒くなっているのではなく、煤が着いたように黒く汚れている感じだった。


「それで……終わり?」


「いいや、まだだね!」


 清雅は地面を強く踏む。すると、左右に広がる氷。それは凄い勢いで生まれていき、少女とヘルハウンドを囲うように生成されていく。


「…何する気?」


「教えたら対策されるだろうが」


「ん、それもそうだね。じゃ、考える」


 言いながら少女は槍を構える。


「『凍てつけ』!!!!!!」


 瞬間、中心にいる少女とヘルハウンドに向かって急速に作られていく氷の壁。


 作られる氷は全て斬れそうなほどに鋭利で、その氷に若干危機を感じる少女。


「エン。跳んで!」


 少女がヘルハウンド乗ると、ヘルハウンドが大きく跳躍する。


 直後、氷同士がぶつかり、破片が飛ぶ。


「チィッ!」


 清雅は少女が宙にいるのを見て、瞬時に氷の弾丸と水の弾丸を打ち出す。


 そして、両方がその弾丸に気を取られた隙に上空から雷を落とす。


 が、甘かった。


 少女は素早く雷に反応して槍を振るって断ち斬ると、風をまとった矢で弾丸を砕く。


「嘘だろ…!?」


 少女はもう二発地面に矢を放ち、氷を削って危険性を無くす。


 そして、氷の地面に着地する。


「上下からの攻撃は良かったけど、量が足りない」


「ならこれで!!!」


 氷の地面は無数の刃に変わり、少女達を襲う。


 しかし、ヘルハウンドが一瞬にして火を纏い、昇華されてしまう。


 だが、少女は次の瞬間目を見開く。


「影の刃!?」


 氷に紛れて飛んできた黒い刃を受け止めつつ声をあげる少女。


「さすがにここまでは予想しなかっただろ!!」


「うん……だけど、足りない!!」


 ギィンッ!!と金属音をたてて逸らされる影の刃。


 しかし、




 ズダァァァァン!!




 雷が直撃し、少女を焼く。


「ああぁぁぁ!!」


 雷光が消えると、少女は膝をつく。


「よっしゃぁ!どうだ!」


「うぐぐ……失敗した…なら…もう少し本気出す…!」


 少女が立ち上がるとすると、


 ふわり、とその隣にパシアンが降りてきた。


「やぁレンカ。何やってるんだ?」


「パシアン…?」


「……え?知り合い?」


 清雅が言うと、パシアンがやっと気付いたように清雅の方を向く。


「なんだ?戦ってたのか?」


「一応」


「あいつ、ちょっと強い。びっくりした」


「ん~…まぁ、強いには強いが、そこまでか?」


「なんか、本気、出してないみたい」


 はぁ?と清雅は言う。


 彼としては本気だったのだ。罠を作るほどの才は無いが、それでも必死でやっていた。だが、それでも彼女からしたら本気で戦っていないと言う。


「それは買い被りすぎだろ。これでも俺は本気だったぞ?」


「嘘。魔法しか、使ってない。付け焼き刃の戦い方」


「んな!?」


 確かに転生する前は魔法なんて持っていなかったが、そこまでハッキリ言い切られるほど違和感があるとは思っていなかった。


「そうか?センスはあると思うんだがな」


「甘い。種類と威力があっても、囮と本体の差がありすぎて丸分かり。せっかくの魔法が、無駄」


 キッパリ言い切る少女。しかし、


「でも、鍛えれば絶対強くなる。お姉ちゃんには、勝てないと思うけど」


「へぇ?レンカが認めるのか…じゃあかなり強くなるかな」


 パシアンが頷く。そこまで少女のことを信頼しているのだろうか。


「とりあえず、全員集めてこようか。レンカ。ヘルハウンド達を下がらせておけ」


「ん。分かった」


 清雅はそれを聞いて、たぶんすることはないな。と結論付けて擦り傷を治しながら待つことにした。

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