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第七十七話

「さってと。どこまで通用するか……」


 清雅は一匹のヘルハウンドを見ながらそう呟く。


 先に動いたのはヘルハウンド。


 一気に距離を詰めてきて、口の中に火を保ったまま噛みついて来る。


 清雅が右へ避けると、ヘルハウンドは勢いよく口を閉じ、瞬間、爆発する。


「グッ…!爆発!?」


 噛まれたら不味い。そう思わせるには十分だった。


 生み出された爆煙から火球が飛んでくる。


「っらぁ!!」


 地面から飛び出た氷が、炎を防ぐ。


 しかし、防ぎきると同時に氷の壁が消え、ヘルハウンドが再び突っ込んでくる。


 清雅は氷の剣を作り出し、回避しながら斬る。


 ジュッ!と響く蒸発音。


 見ると、氷の剣が溶けている。


「簡単に溶かされるか…なら、これで!」


 右手を横に振るう。すると風が生まれ、鎌鼬(かまいたち)となってヘルハウンドに襲いかかる。


 だが、ヘルハウンドは瞬時にそれを避け、火球を吐いてくる。


 清雅は鎌鼬で火球をかき消し、右腕を降り下ろす。


 直後ヘルハウンドに落ちる雷。


 ヘルハウンドはまともにそれを受け、フラフラとしている。


「止め!」


 脳天に降り下ろす踵。


 ゴスッ!と鈍い音がし、ヘルハウンドは倒れる。


「はぁ…案外時間かかるな…集団だと難しいか…?」


 清雅はそう言って、また別のヘルハウンドに向かっていく。



 * * *



 優奈は囲まれていた。


 三匹なのだが、想像より強く、手こずっているのだった。


「アッハハ…ちょっと不味いかな?」


 正面、左右後ろの計三匹。剣を構え、次の攻撃に合わせて逃げようと考える。


 直後、正面から襲いかかるヘルハウンド。それを紙一重でかわし、


「『水の刃よ!彼の者を断て!』」


 生み出された水の刃と共に剣を振るう。


 それは見事にヘルハウンドを斬る。しかし、ヘルハウンドの死体が影となり、向かってくる火球に気づけない。


 死体が退いたときには、すでに回避不可。魔法も発動できない。


 優奈は咄嗟に剣を盾のように構え、反射的に目を瞑りつつ衝撃に備える。





 しかし、衝撃は来ない。



 恐る恐る目を開けると、


「プリムローズ。ちゃんと戦ってよ?」


「バカにしないで。これくらいなんとかなるって。たぶん、きっと」


 フィアとプリムローズがいた。


「二人とも…なんでここに?」


「追ってきたけど、誰がどこにいるのか分からないから走り回ってたら優奈がいたの。とりあえず、さっさと終わらしていきましょ」


 フィアは一気に前に出ると、持っていた槍の穂先で突く。


 しかし、ヘルハウンドは素早く横に避けると、口の中に火を保ったまま噛みついて来る。


「意味無いわ…よっ!」


 フィアはそれに臆しもせず、むしろそれを狙っていたかのような動きで、槍を口の中に突き刺す。


 ドンッ!と爆発音がすると、ヘルハウンドが黒煙を昇らせながら倒れる。


「正直オススメできないやり方だけど、大体必殺ではあるのよね。ただ、武器が耐えられなくてすぐ壊れちゃうけどね」


 槍を引き抜き、穂先を下に向ける。


 プリムローズもヘルハウンドと戦っている。


 ヘルハウンドの飛びかかりを飛翔してかわし、ヘルハウンドが着地したところに魔力で作った槍を投げつける。


 ヘルハウンドはそれを紙一重でかわし、火球を吐いてくる。


 プリムローズはそれをかわすと、急降下し、生えている翼を刃のように変質させて斬りかかる。


「ギャウッ!」


 ヘルハウンドは悲鳴をあげながら距離をとる。


 斬られた腹部から、火が漏れるように出てくる。


「ありゃ、一撃で仕留められなかったか…まぁ、すぐに終わるかな?」


 プリムローズはそう言うと、ヘルハウンドの吐いてきた火球を切り裂き、その影から襲いかかってくるヘルハウンドを蹴りあげる。


 口の中に火を持っていたヘルハウンドは、蹴りあげられた衝撃で勢いよく口を閉じ、爆発する。


 だが、 ヘルハウンドは両前足に火を纏い、振るってくる。


 それをプリムローズは許さず、瞬時に刃の翼で顎から上に向かって一気に貫く。


 翼が引き抜かれると、ヘルハウンドはその場に倒れて動かなくなる。


「ふぅ…こんなものかな?案外時間かかった感じ」


 プリムローズが呟くと、優奈が何とも言えない表情で、


「二人とも早くない?私の半分以下でしょ」


「そりゃ一対一で戦ってるし。優奈もそれならもっと早いでしょ?」


「ん~…どうかな。今なら行ける気がしなくもないけど」


「まぁ、それは次ので試せば良いよ。じゃ、行こう」


「了解」


「え~?私も~?」


 プリムローズがそう言うと、フィアは微笑み、


「嫌ならついてこなくても良いわよ?」


「むぅ…分かったよ。ついていくよ」


 普通に怖かったのでついていくことにした。


「よし、じゃあ行こうか」


 そう言って、三人は走り出す。



 * * *



 清雅がヘルハウンドと格闘していると、突然遠くから、




『ウオオォォォォォォォォォォン!』




 響く遠吠え。瞬間、ヘルハウンド達が瞬時に距離をとり、遠吠えの響いてきた方を向き、清雅をチラリと見てから遠吠えの響いてきた方向に向かって逃走する。


「……なんだ?今の遠吠え…見に行くか」


 彼はそう呟き、逃げたヘルハウンドを追って走り出す。

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