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第七十一話

 すでに月明かりしかない状態で、清雅は明かりを生み出しながらフィアに連れられてライラたちの所へ行く。


「ただいま~っと、あれ?どうかしたのか?」


 清雅は、苦い顔をしている皆を見て、聞く。


 そこは広場で、パシアン、ライラ、ルーリス、シャルス、プリムローズの5人がいた。


 と、確認をして清雅は気付く。


「……なぁ、優奈とクロノワールとルーネはどこに行ったんだ?」


「連れ去られた。ただ、ルーネは連れ去られた二人を追って走っていった」


「…は?」


 パシアンの言葉に、固まる。


「…何に連れ去られたんだ…?」


「ん~…悪魔的な何か?」


 ライラが言うので、もしやと思い聞いてみる。


「もしかしてさ、そいつ、全身真黒で尻尾と頭からねじれたような角の生えた奴か?」


「そうだけど…何か知ってるの?」


「さっき襲われた」


 その言葉に、雰囲気が変わる。


「どんな奴だった?」


「えっと、物理攻撃が効かない奴で、魔力込めれば殴れる。でも、魔力に対しても耐性が高いみたいで、氷せても一瞬で壊して出てきた。後は、地面に亀裂入れるだけの威力の拳と魔法を放たないって事くらいだ」


「ん~…あの形で魔法を出さないのか…魔物や人魔は魔法放てるけど、アレは違うのかな…?」


 ライラは考えるが、清雅はそれよりも気になることがあった。


「考えるよりも先に探しに行った方が良いんじゃないのか?」


「いや、ルーネが帰ってくるのを待ってから行くぞ。でないと見当違いの方向に行くことになる」


「うっ…それもそうか」


 清雅が苦々しい表情で呟くと、


「ただいま。見つけたよ」


 ルーネが清雅の影から飛び出しながらそういう。


「お前…いつ影に入ったんだよ」


「今さっき。なんか、セイガの所に行こうと思ったらいつの間にか影の中にいて…でも、時間短縮出来たからいいでしょ」


「お、おぅ。まぁいいや。で?場所は?」


 清雅は不思議に思いつつもとりあえず聞く。


「向こうに見える山の方。中腹辺りに洞窟があって、そこにあいつは入って行ったわ」


 ルーネの指差す先には、確かに山があった。周りにある山より少し大きそうな山くらいのもので、目立つものは切り立った崖があるくらいだ。


「よし、行ってもいいか?」


「全く…まぁ、行かないと何も始まらないからね。でも、何人で行く?全員連れて行っても足手まといがいるでしょ?」


「うぐっ、そ、それは私ですよね…分かってます…!」


 シャルスは唸るが、ルーリスもそうだ。


「俺とルーネの二人で行く」


「ダメ。私も連れて行って」


 清雅の提案を即座に却下して私も連れて行けというフィア。


「…分かった。じゃあ、俺、ルーネ、フィアの三人で行くから、他の人は残ってくれ。朝になっても帰って来なかったらライラだけ来てくれ。じゃ、行ってくる」


 清雅はそれだけ言って、山に向かって走っていく。


「あ、ちょっと!セイガ、待ってよ!!」


 フィアは清雅の後を追い、ルーネも続く。


「三人とも…!!ったく、無事に帰ってきなさいよ…!」


 ライラは三人の後ろ姿を見ながら言う。


「……私がもう少し警戒していれば、こんなことには…」


「何言ってるの。貴方が警戒してたって何も変わらなかったわよ。むしろ、貴方だけでも残ったのが幸いね」


 シャルスが俯きながら言うと、ライラが慰める。


「あんなのまで居るのね、ここ。いやぁ、なんで私一回も遭遇しなかったのかしら。不思議ねぇ」


「まぁこいつは放置で。ルーリス、大丈夫か?」


「ちょ、なんで私が放置されるの!?理不尽!!」


「あぅぅ…プリムおねぇさんうるしゃい」


「あぐぅっ!!」


 パシアンにスルーされたプリムローズは、騒ぐもルーリスの一言で撃沈した。


「ふわぁ…んみゅ…」


「眠いなら寝ちゃっていいのよ。大丈夫。目が覚めたらセイガ達は帰ってきてるだろうから安心して寝て」


「うん……おやすみなさい」


「ん、おやすみ」


 ルーリスはライラに頭を撫でられ、そのままライラに倒れこむようにして寝てしまった。


「さってと…シャルスちゃんも寝ちゃっていいのよ?」


「で、でもぉ…」


 それでも、彼が戻ってくるまで起きていたい。そんな感情が見えた。だが、ライラは、


「別に起きてたってつらいだけなんだから、ここは寝なさい。やつれたような顔して出迎えたってクロ君は悲しむと思うよ?」


「あぅ…すいません、お言葉に甘えさせてもらいます…」


「そうそう。そうやって素直になってればいいの。おやすみ」


「おやすみなさい…」


 そうして、シャルスとルーリスは寝る。


「さってと……二人とも、私がこの子たちを寝かした理由、分かるわよね?」


「当たり前だ。俺だって寝かすさ」


「そりゃあねぇ。これだけ囲まれてるんだもの。この子たちに見せられるわけないじゃない」


 当たり前だろ?と言わんがばかりの表情で、二人は首を振る。


「分かってるならいいわ…よし、じゃあ、条件はこの子たちに触れさせないこと。この子たちを起こさせないこと。以上の条件で、こいつらを屠るわよ」


 ライラが獰猛に笑うと、建物の影から無数の黒いナニカがライラたちに襲い掛かる。


「さぁ、行くわよ」

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