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第六十八話

「さて。もうすでに夜となってしまったわけですが、なんでこんなことになってるんでしょうか」


 ちょっと真剣な顔をして清雅はそういう。


 外は日が暮れ始めると同時に霧が出始め、宿屋の中に入って食事が終わった後ぐらいから、1メートル先すらも見難い状態だった。


「なんかね、怖い人たちが扉を叩いてね、私たちを襲おうとしてるの」


 下から響く気の軋む音を聞きながらルーリスが答える。


「うん。ルーリスの言う通り、今現在襲われてこの宿屋の扉を全力で封鎖して二階に逃げ込んでるんだけど、これはどうして起こったのかって事だね」


 ちなみに、ルーリスの言う怖い人。どう見ても意識が無く、呻き声を上げながら全力で壁を叩いてくるので、かなり怖い。


「プリムローズちゃんから一言」


「ん~…アレ、グールよ?」


「…つまり?」


「吸血鬼に吸血された弱い人間の結果?」


「ふむ。つまりお前が悪いと。なるほどな」


 デコピンの用意をしながら、清雅は満面の笑みで言う。


「ち、違う違う!!私じゃない!!確かに原因は吸血鬼だけど、私じゃないわ!!」


「じゃあ、他に居るのか?」


「いる!っていうか、私がここに来た時点ですでに手遅れだったの!」


「ふぅん?ってことは、犯人はまだここら辺にいるのかな?」


「いると思う。グールは力がとても強い代わりに頭が悪いの。ただし、近くにそのグールを生み出した根源の吸血鬼がいると、かなりの知性を持つ。というより、グールになる前の知性を取り戻すって感じ。ただ、あくまでも知性を取り戻すだけだから根源の吸血鬼の命令には逆らえないわ」


「なるほど…だから今窓ガラスを割って中に入って来ようとしてるんだな」


 真っ青な顔で言う清雅の言葉を聞き、全員はその部屋の窓を見る。


 そこには、窓に向かってくる梯子(はしご)の姿が。


「……どうするの!?」


「じゃあ梯子を倒す方向で」


 言いながらライラは即座に窓を開けて梯子を倒す。


「終了ッ!」


 窓を閉め、ピースサインを送ってくるライラ。


「よし。これで少しは時間稼ぎができるだろ」


「でも、これじゃあ逃げられないんじゃない?それに、火をつけられたら終わりよ?」


 フィアのもっともな発言に、皆考える。


「ん~…どうにかして逃げられたらいいんだけどな…」


「そうねぇ…飛んで逃げるとか?」


「いや、どうやって飛ぶ――――あぁ、そうか」


 清雅の言葉と共に、皆は一点を見つめる。


「…………なんで、こっちを見る?」


 パシアンは、その視線に耐えられず、顔を背けながら聞くのだった。



 * * *



「だよな!!やっぱりこうなるんだよな!!知ってた!空を飛ぶって言ったときから察してた!!」


「諦めて飛んで!!貴方大きいでしょ!?」


「人を乗せて飛ぶのは面倒なんだ!」


「大丈夫!人気が無ければ村の中でいいから!」


「クッソォォォォ!!」


 窓の外に投げ出され、元の大きな鳥の姿になったパシアンは、また窓のそばまで戻ってくると、背を向ける。


「ほら、乗っちゃって!乗り心地は微妙だけど信頼は出来るわ!」


「なんか、ライラが言うと不安になるな。あ、俺は最後な」


「じゃあ先にルーリスと私が乗るわ」


「じゃあ次シャルスちゃんとクロノワール君!んで、私、優奈ちゃん、フィアちゃん、清雅ね!」


「んじゃ、乗り込め」


 清雅の言葉と共に乗り込む皆。


 直後、








――――ズガァンッ!!



「おわぁ!?」


「セイガ!?」


 清雅が乗る前に背後の扉が破壊される。


「チッ!先に行ってくれ!後から追いかける!!」


「で、でも!」


「全滅したら元も子もないだろうが!!」


「…パシアン!行って!!」


「ライラ!?」


 フィアは驚きで声を上げ、それと同時にパシアンは飛んでいく。


「はぁ…さて。どうやってここを切り抜けるかね」


 腰に差した剣の柄に手をかけつつ、清雅は窓枠に立った。



 * * *



「ライラ!なんでパシアンに行かせたの!!」


 フィアはライラの事を睨みながら言う。


「セイガ自身も言ってたでしょ。全滅したら元も子もないって。それに、セイガはあんな雑魚連中にやられるほど弱くないと思うわよ?」


「でも…!」


「それに、親玉を先に消せば、解決でしょ?」


「!!」


 ライラの指摘にフィアは目を見開く。


「……どこに居るかわかるの?」


「もちろん。今周囲を漂ってる霧がどこから発生してるのかくらいは分かるわ」


「そう。なら、急いで行って倒す。それでいいわね?」


「あったりまえよ。パシアン!急いで!!」


 キュイィィィーーーーー!!と高い鳴き声を上げ、パシアンは速度を上げる。



 * * *



「はぁ…枷が無いって良いな。この村に居る住民全員がグールならこんなことしても良いってわけだ」


 清雅が呟きながら歩くと、サクッサクッサクッと軽い音が鳴る。


「もうすでに死んでるっていうのに無理に動かされるって…ゲームだと定番だけど、現実だとむかつくな。犯人はどこにいるのやら」


 ゆっくりと一階に下り、扉を開けると、風を生み出して霧を払っていく。


「…プリムローズより上かな。さて…とりあえずフラフラと歩いてれば合流できるだろ」


 清雅はそう言って、パシアンが飛んで行って方向に歩き始める。

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