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第六話

 さて、とりあえず目的地が決まった清雅達はやっぱり村を探していた。


「なぁ、さっき思ったんだが…この森、スライム以外になんかいるのか?」


「ん~とね、一応フォッグウルフとかいるんだけどね…なんていうか…スライムに怯えてるのよ…あいつ、さりげなく魔物の中でも上位の強さを誇るからね…」


「…それだけ強い…のか?基準が分からないからな…」


「まぁ、とにかく要注意生命体だと思っておきなさい」


「そうか…そんなものと戦闘の練習だって言われて戦わされかけたのはなんでだ?」


「え?あ、えっと、その~…忘れなさい」


「はぁ、さいですか」


 そんな話をしながら進んでいくと、目の前に霧のようなものが出始めた…


 すると、横の茂みが揺れ……お前らその登場しかねぇのか!?もうちょっと工夫しろよ!!清雅は心の底からそう思うが、口にはしない。そして、そこから出てきたのは―――微かに輝く白銀の狼だった。


「うげっ」


「な、なんかかっけぇ…」


「で、あいつは?」


「…フォッグウルフよ…一匹だと思ったら負けよ、こいつ、大体群れで行動するから…」


「へぇ…って、あれ?あいつ、なんかふらふらしてねぇか?って、血だらけじゃねぇか」


「え?…あ、ホントだ。なんでだろ?」


「誰かにやられたとか、群れから追い出されたとか、はぐれとか?」


「う~ん、どうだろ、まぁ、とにかく気を付けなさ…あれ?清雅?」


 フィアが振り向くと、清雅はそこにはすでにいなく、焦って辺りを見渡すと、狼の前にいた。というか、狼に話しかけていた。


「なぁ、何してんだ?」


「それは私のセリフよ!!」


 すかさずフィアは蹴りを清雅の後頭部を目掛けて放った。そして、その蹴りは清雅の頭に吸い込まれるように当たり、ゴッと、鈍い音をたてた。


「ゲフッ!!ちょ、何すんだよ!」


「あんたこそ何やってんのよ!!フォッグウルフに話しかけるとか何考えてんのよ!!!」


「え、だって、なんかこいつが俺に話しかけてくるんだよ」


「はぁ?何言ってんの?」


「いや、だって聞こえるし…こう、助けてくれ~って感じのがさ」


「ふ~ん、で?それが本当だとして、あなたはそいつをどうする気?」


「ん~…とりあえずこいつの傷を治してから考える」


「は?魔法も知らなかった奴がどうやって――――――」


 そうフィアが喋っている間に、清雅は狼の傷口に触った。そして、清雅の手から白い光がともると同時に、狼の傷はあっという間に消え去った。


「治ったぞ?」


と、清雅が振り向くと、口をぽかんと開け、硬直しているフィアがいた。


「ど、どうした!?」


「そ、そんな…バカな事が……」


 そう言っているフィアは、まるで心ここに非ずといった感じだ。そんなにおかしい事なのだろうか?と清雅は思った。


 そう考えてると、後ろから引かれてる感覚があった。なんだ?と思い清雅が振り向くと、さっき傷を治した狼―――――フォッグウルフ?が清雅のズボンを咥えて引っ張っていた。


「どうした?」


と言いながら清雅は狼の頭をなでる。扱いが飼い犬の様な気がするが、気のせいだろう。


≪ありがとう、助かったよ。でも、住んでいた所がなくなっちゃったから、これからどうしよう?≫


「ん~、どうしようと言われても…あ、そうだ、俺達と一緒に来るか?」


と言うと、今まで固まってたフィアが、意識を取り戻して、


「な、何言い出すの!?」


「え、ダメか?」


と、フィアを見ると、


「え、あ、ん~…むぅ、じゃあ、これをその狼につけたらいいわよ?」


 そう言い、フィアは黒い首輪を渡してきた。


「これは?」


「それは隷属アイテムの一種よ。その首輪は特別製で、つけてる生物が主人と思ってる者の影の中に入れるようになるのよ。更に食事をする必要がなくなり、しかも魔力検知に引っかからないというおまけつきよ!」


「なんだその性能…」


 そう言いながら俺は狼に首輪を付けた。すると、黒い光が出始め、思わず目を瞑ってしまう位に眩しく感じた。そして、目を開けられる位に光りが弱くなったので目を開けると、自分の右腕に黒い腕輪がついていた。


「……なにこれ?」


「そりゃ、腕輪よ」


「いや、分かるけど…あれか?主人の証とかそんなのか?」


「ま、そういうことね」


 ふ~ん、と言いながら清雅が腕輪を見つめていたら、腕輪は腕に溶けていくように見えなくなった。。


「!?おい、なくなったぞ!?」


「見えなくなっただけよ。消滅したわけじゃないわ」


「へぇ~、そうなのか。で?これで連れて行って良いんだな?」


「え?あ、うん。良いわよ?」


「よし、じゃあ行くか」


「そうね」


「ヴァウ!」


 清雅達は新しい仲間が出来た。そして、清雅は軽い足取りで、フィアは少し疲れたように再び歩き出した。

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