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第六十四話

 気持ちを新たに獣人国へと進み出した清雅御一行。リーダーがコロコロ変わるがとにかく清雅御一行なのだ。異論は認める。


 とにかく、彼らは再度魔界の中を進んでいく。時々チラリとプルプルと動くアレが見えたりするが、なぜか襲い掛かってくることは無かった。おそらく一番前と一番後ろにいる二人が原因だろう。この中で性能が桁外れなのはあの二人くらいだ。


「んで、この魔界を抜けるのに何日かかるんだ?」


 清雅は入ったばかりにも拘らず隣にいるフィアに聞いてみる。


 フィアはう~ん…と考えた後、


「2週間あればたぶん」


「そうか……意外とあるんだな。でも確か人間界に行く時って3日じゃなかったか?」


「それはあのオリュ君の移動速度がすごかったからよ。本来あの距離は休まないで歩いて1週間は普通にかかるのよ?それを途中で休憩して大体2日くらいに縮められたんだからね?」


「あ~……そう考えるとすごいんだな」


 今更ながら清花の連れて来たあの狼―――オリュ君の存在に感謝する清雅。だが残念な事にこの場にオリュ君はいないのだった。


「むぅ……2週間か…俺的に長旅…あ、いや。そんなでも無いか。それに、これだけの未知に囲まれてれば退屈する事なんてそうそう無いはずだ。うん。そういう事にしておこう」


 自問自答をする清雅。それを見てフィアは『?』を浮かべるが、まぁいいや。と気持ちを切り替えて前を向いて歩きだす。


 その後ろではシャルス達が話している。


「なぁ、シャルスちゃん。よくよく考えたら、魔界に入るのって、不味かったんじゃないか?」


「……クロ君。それは言っちゃダメ私もちょっと後悔してるけどもう戻れないからついて行くしかないの」


 シャルスに言われ、確かにあの液体のような生物に勝てそうにないなぁ……と思うクロノワール。


 最近、シャルスとの距離が縮まってると感じるクロノワール。今までクロノワールはシャルスと会話をする事は少なかったそのため、彼女の表面しか見ていなかったし、敬語でしか会話していなかった。一番関わったのだって、あの夜の時の事件位だろう。だが、最近は敬語が抜けていた。クロノワール意外と話す時は未だに敬語が入っているのに、だ。それを何となく嬉しく感じるクロノワールなのだった。


 と、そこまで考え、ふと疑問が生じる。


「シャルスちゃん。どうして君は僕を助けようとしてくれたの?」


 クロノワールの質問に一気に顔を赤くするシャルス。それを見られたくないのかクロノワールから顔を逸らし、


「べ、別にいいじゃない。もう過ぎた事なんだし…」


「……そっか。じゃあいいや。別に僕の事を救ってくれた事に不満なんて無いしシャルスちゃんが嫌がってるのに無理矢理聞きだそうとはしないよ」


「うん。それでいいのよ」


 言って、シャルスは安心する反面深く聞いてくれない事を不満に思うのだった。もちろん面と向かって言いはしないが。


 更に少し後ろに下がると、ルーネがルーリスを抱えていた。


「む~……つまんない!」


 ムスッとした表情でルーネの腕の中で暴れるルーリス。それを苦笑いしながらしっかりと抑え込むルーネは、


「ここら辺は歩き回ると危ないからね……皆強いから何とかなると思うけど、それでも勝手に動かない方が良いんだよ?」


「そんなの知らないもん!わーたーしーもーあーるーくーのー!」


「でもルーリスちゃんは勝手に走ってっちゃうからダメ」


「じゃあルーネお姉さんが私の手を掴んでれば大丈夫だよ!」


「……はぁ、仕方ない。ちゃんと手を掴んでるんだよ?後、走っちゃダメ。歩くの。分かった?」


「はい!」


 元気のよい返事に苦笑しながらルーリスを降ろし、左手でしっかりとルーリスの右手を掴む。


 最近自分のお母さんスキルが上がってきているようで少し怖いルーネ。


 そんな事を知る由もないルーリスは、しっかりと言われたことを守ってルーネの手をしっかりと握って歩く。


「(ほんと、なんで私はこんなことしてるんだろ)」


 全ては清雅のせいなのは分かっているが、何とも言えない気分になるルーネだった。


 さて、場所は最初の清雅に戻り、隣にはフィアとさっき前から下がって来た優奈がいた。


「それにしても、奴隷制度があるなんて思わなかったわ…まぁある意味ファンタジーの王道だけども」


「確かに。私も聞いただけで見たことないんだけどね」


 清雅が呟くと、優奈がそれに反応する。


「ちなみに魔界だと奴隷はいないからね。魔界は自由がモットーだから」


「ふぅん?俺の知識だと魔界の方がそういうのが強いと思ってたんだが、そんな事は無いんだな」


 横からフィアが補足を入れ、清雅は元の世界で読んでいた本の事を思い出しながら言う。


「そりゃそうでしょ。そもそも出来た理由が差別解放なんだからさ。奴隷なんてある意味差別の象徴じゃないの」


「あぁ、そう言えばそうか。じゃあ無くて当たり前なんだな。なるほどなるほど」


 うんうん。と何度も頷き納得する清雅。まぁ、本人が分かったと言っているんだからそれでいいか。と思い、二人は周囲を警戒しつつも前を向いて歩くのだった。

 受験などがあるのでしばらく休載します。すいません<(_ _)>

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