表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
58/83

第五十六話

 階段を上りきったところでふと気づく。


 ――――そう言えば部屋ってどこだ?と。


 それもそのはず。救助作戦の為に外に出た時、まだ清雅は部屋の場所を聞いておらず、それ以前にライラが部屋を取りに行っている最中だったのだから。


「……フィアに聞いて来るべきだった……」


 しかし、清雅的には今上がって来た階段をまた降りるのは少し面倒だった。


「どうしようかなぁ……」


 清雅がう~ん…と悩んでいると、


「どうしたの?」


 声をかけられ振り向くと、そこには優奈がいた。


「おぉ……神はいたのか…!」


「いきなり何言ってんのよ。ってか、つい最近まで神様と一緒にいたでしょうが」


「いや、そりゃそうだけど……あいつには神の威厳的なモノが無いだろうが。ってか、そういう意味で言ったんじゃないんだが……」


「ふぅん?まぁいいや。で?何の用?」


「あぁ、その……部屋って何所だ?」


 清雅の質問に一瞬優奈は固まるが、なぜその質問が来たのかという理由に思い当たったのか、


「そっか。そう言えば清雅は部屋の場所を聞いてないのよね。うん。部屋の場所を聞く前に行っちゃったものね」


「そ、それは別に言わなくても良いだろうが。で?何所なんだ?」


「あぁ、こっちだよ。ついて来て」


 そう言うと優奈はスタスタと歩いて行き、その後ろを清雅はついて行く。


 部屋の場所は廊下の端の方だった。優奈はその部屋の前に着くと立ち止まり、清雅の方へと振り向くと、


「この部屋だよ。まぁ、この部屋と隣の部屋は私達の部屋で、君の部屋は二つ隣なんだけどね」


 そう言いつつドアを開けようと優奈がドアノブに手を伸ばすと同時、


 バンッ!と勢い良く扉が開き、全力で清雅の腹部に向かって何かが飛来し――――


 ズドムッ!と鈍い音がした後、清雅の身体から力が抜ける。


「う、ぐぅ……な、何だ…?一体……」


 清雅は突然の事に困惑しつつも、ぶつかって来た相手を確認する。


「る、ルーリス?」


「お帰りなさい!お兄さん!」


 満面の笑みで清雅の胴体を締め上げるルーリス。想像以上の力に清雅は冷や汗を流しつつ、どうにかこの状況を抜け出そうと頭を撫でて落ち着かせる作戦を決行する。


「る、ルーリス?別に抱きしめるのは良いんだが、せめて力を弱めてくれないか~?」


 優しい声で言うが、清雅は内心泣きそうだった。


 そして、ルーリスは清雅の言葉が理解できたのか、顔を上げて清雅の事を見ると――――


「ヤダッ!」


 ミシミシミシッと致命的な音が聞こえる。


 あまりの痛みに思わず清雅は声を上げそうになるが、全力で口を押えて堪える。すると、


「ほらほら、清雅が苦しそうじゃない。そろそろやめなさい」


 ルーリスの後から出て来たルーネが、ルーリスを清雅から引きはがす。


「う~……もう少しくっついていても良いでしょ~?」


「ダメ。それは後でにしなさい」


「ぶぅ~……なんで?」


「なんでって言われても……とにかく、今はダメ。それとも、今くっ付いてこれからずっとくっつくの禁止にされたい?」


「うぐっ……それは嫌」


「じゃあ今は諦めて後でね」


「は~い」


「良い返事ね。ほら、分かったなら先にフィアお姉さんの所に行ってなさい」


「は~い!」


 元気良く返事をすると、ルーリスはルーネの腕の中から飛び出してスタスタと行ってしまった。


「……ルーネ……お前、子供慣れしてるな……」


「誰のせいだと思ってんの?元々私はこういう事は苦手なんだけど?」


「でも嫌ではないん――――痛い痛い!!な、何でいきなりそんな事をするんだよ!」


 ギリギリギリッと音が聞こえるくらいの威力でアイアンクローを清雅にくらわすルーネ。


「そりゃ、あんたが変な事を言おうとしてるからでしょ?」


「で、でも当たってるだ――――あがががががっ!!!!割れ、割れる!!死んじゃう!死んじゃうからぁ!!」


「ふんっ。自業自得よ。わざわざあの子の面倒を見ていたのは、他の人や貴方の邪魔をさせないためよ。それ以上はないから」


「は、はひ。そういう事にしておきまふ」


「……何か引っかかる言い方ね……まぁいいや。仮にも私を救ってくれた人だし、これ以上はしないことにするわ」


 そう言うとルーネは手を離す。清雅はまだダメージの残っている頭を押さえて何とか痛みを誤魔化す。


 ルーネはため息を吐くと、


「じゃあ私も下に降りてるから。それと、この村に長居するのはやっぱり難しいってさ。だから、すぐ出れるようにしとけってさ」


「りょ、了解。ってか、俺ってまず荷物が無いんだが?」


「……それもそうか。まぁ、とりあえず用事が済んだのなら下に来てってさ」


 ルーネはそう言うと、清雅の返事を聞く前に行ってしまう。


「あ~っと……その…私も先に降りてるね。元々そのつもりだったし」


「あぁ、ごめんな。付き合わせちゃって」


「いいわよ、別に。そもそものが悪かったんだからさ。じゃあお先に行ってるからね」


「おう。また後でな」


 優奈は清雅の返事を聞いた後、ルーネの後を追いかけるように廊下を歩いて行った。


「ふぅ。とりあえず、二人と少し話してから降りるかな」


 清雅は優奈が見えなくなるのを確認してから、部屋に入って行く。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ