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第五十一話

 宿を出た清雅はシャルスの先導の元、牢屋へと向かっていた。


 しばらく歩いて行くと、遠くに異様に人が集まっている場所を見つける。


「シャルス。あそこか?」


「そうです。あそこに彼を閉じ込めてる牢屋があります。それで、そうやって入りますか?」


 シャルスが今になって不安そうな声を出して聞いてくる。清雅はそれに対し、さも当然というような声色で、


「正面から堂々と。それ以外は無い」


と言い切る。シャルスはそう言われ、硬直する。


「…ぇ、えぇ!?しょ、正面から行くんですか!?というか、さっきの本気だったんですね!」


「当たり前だ。それに、その他の入り方なんか考えてない」


「いやいやいや。なんでそんなハッキリと正面突破しようっていうんですか!普通ばれない様に回り道をして行きますよ!?」


「だって、抜け穴を使ってもばれるんだろ?じゃあ最初から正面から行っても変わらないと思うんだ」


「えぇ~……確かにそうかもしれないですけど……でも……えぇ~…?」


 清雅があまりにも堂々としすぎて、シャルスはもはや反論する気力もなくなってしまった。


「はぁ、いいか?まず俺の前提はお前がこの村を出て行くことになるんだよ。助け出した奴も含めてな。ここまで良いか?」


「まぁ、そのくらいの覚悟はありましたけど……」


「じゃあ良いな。次に、これは短期決戦だ。バッと行ってバッと返ってくる。今はまだ睡眠魔法とかあるのかって確認と、あるとしてその使い方を知らないから仕方なくこんな作戦なんだけどな。方法は簡単。光魔法で眩しいくらいの光の球を作って突っ込む。すると全員目をそむけるはずだから俺達が見られる心配はない。……はず。で、その助けたい奴の所まで走って行って、拘束具ごと引きちぎってつれでてくる。これで後はこの村とオサラバすれば作戦完了だ」


「な、なるほど……でも、そんな光を出してたら私達もまともに歩けないんじゃ?」


「それは光を前に置くからだ。自分の背後に作れば何の問題もない。ってことで、この作戦で良いか?」


「うぅ……なんか、不安しかないんですけど……まぁ、少しは期待しておきます」


「よし。じゃあ行くぞ」


 清雅はそう言うと、自分の背後に光の球を創り出す。もちろん電球とか火とかそんな光よりも何倍、いや、何十倍も強い光。そう、例えるなら太陽のごとき光だった。正直そんなものを直視したら失明するレベルの光を清雅は創り出したのだ。


「うわッ!?何この光!すごい眩しいですぅッッ!!め、眼を閉じても明るいのが伝わってくる位には眩しいッッ!!」


 あまりの明るさにシャルスは手で目を覆い、清雅から顔をそむける。


「そりゃ俺の方を向いてたら眩しいだろうよ。ほら、さっさと助けに行こうぜ」


 清雅はヤレヤレと言いたそうな表情をしながら、シャルスを前へと進ませる。


 清雅達が牢屋の方へと進んでいくと、牢屋の周りにいたのは想像していた、屈強な男性達ではなく、なぜかかなり年を取っているおじいさんやおばあさん達が主だった。そして、その人達は、背後から太陽のごとき光を出している清雅の姿を見ると、なんと、目をそむけるのではなく、しゃがみ込み目を閉じて拝み始める!!


「おぉぉ!神様じゃ!神様がおいでなすったぞぉ!」


「うぇぇぇえ!?か、神様扱いされてますよ!?どうして!?どうしてこんなことに!?」


「黙りなさい。ここでうろたえたらばれるだろ?このまま行けばばれないままその『恩人』の所まで行けるんだぞ?」


「えぇぇ~……確かにそうかもしれないですが……こう、すごい恥ずかしいというか、なんというか……」


「大丈夫だ。そのうち慣れるさ」


「何かそれは慣れちゃいけない気がするんですけど……」


「とりあえず立ち止まるな。このまま動かないといつばれるか分かったもんじゃない」


「それは進んでも変わらないような…?」


 清雅の言葉に、シャルスは納得いかないような表情をしながら二人は進んでいく。




 そんな感じで牢屋の入口まで二人は来ると、ふと清雅がシャルスに質問する。


「そういえば、奥深くにいるって言ってたけど、ここの奥ってどれだけあるんだ?」


「え?え~っと、確か地下二階くらいだったと思いますけど」


「地下二階って、どうしてそんなに多く作ったんだよ……どう考えても無駄だろうが」


「それを言われても困ります。そもそも王国の方々の考えなんて私達には分かりませんよ」


「だよな。まぁ、こういう救出系のイベントって、基本奥底にいるから、探すならまずは一番奥だな」


 清雅はため息を吐いて降りていく。その隣をシャルスは出来るだけくっ付いて行く。ちなみに、シャルスが清雅にくっ付いているのは、そうした方が清雅が影となって眩しさが半減するからだった。




 清雅達が階段を降りていくと、下から声がする。


「なんだこの光は!誰だこんなに明るい光を付けた奴!っていうか、そんな事ができる奴なんかいたか!?」


「知らねぇよ!それに、出来たとしてもんな無駄なことしないだろうが!」


「いや、確かにそうだけども、じゃああの光は一体…?」


「ま、まさか……」


 どうやら男が二人、清雅の方を見て話しているようだった。そして、話の内容的に次の言葉は――――


「か、神様か…!?」


「言うと思ったよこの野郎!」


「ほら、あなたもやっぱり驚いてるじゃないですか」


「いや、だっておじいさんとかならまだ分かるんだが、俺より少し上くらいの人達の声だろ?絶対。どう考えても若かったし。とにかく、そういう人達からそんなことを言われるとは思わなかった」


「どういう基準なんですか……もういいです。とにかく襲ってこないなら速く行きましょう」


「それもそうだな」


 清雅達が結論付けて、降りようとした時、下から、


「なぁ、神様を倒せば俺達の格も上がるかもしれねぇぞ!?」


「なんて罰当たりな野郎だ!おい今倒すとか言った奴出て来い!しばき倒してやる!!」


 変なところでスイッチが入った清雅は思わず倒すとかほざいたバカを八つ裂きにする気で行こうとし、シャルスに必死で止めに入る。


「待って下さいって!!今暴れてどうするんですか!もう少し、もう少し我慢してくださいぃぃ!!」





 どうやらシャルスは精神の摩耗速度がマッハになりそうだった。頑張れシャルス。それいけシャルス。お前の冒険はまだまだ始まったばかりだ!

※主人公は清雅です。

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