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第五十話

「あぁ、そうだ。セイガ君達に言い忘れてたことがあったんだ」


 不意にライラがそう言い、全員は疑問に思いライラの方を向く。


「どうしたんだ?」


「えっとね、確か、君達の手配書が撤回されたらしいよ?」


 ライラがそう言うと、清雅達は数秒固まってから、


「それ……本当?」


「嘘言って何になるの?ちゃんと本当の事だってば」


「そうか……本当か……」


 清雅はその言葉を何度か反芻すると、


「あぁ~よかった~……さすがに転生したのにほぼ最初から指名手配されてるとかそんな現実とオサラバ出来て……」


「でも、これからそのせっかくはがれたレッテルをもう一度貼られるかもしれない行為をしに行くんでしょ?」


 清雅が心の底から安心を含んだ声を漏らすと、優奈からボソリと不安になるようなことを言われる。


 確かに今から牢屋に捕らわれている人物を救い出そうというのだ。それこそ最初に出された指名手配より凶悪なものが出来てしまいかねない。


「……まぁ……顔を見られなければ問題ないんじゃないかな?」


 清雅は視線を泳がせながらそう言うと、フィアがため息を吐き、


「確かにそうかもしれないけど、そもそもセイガはどうやってその『恩人さん』を助けようと思ってたの?」


「え?そ、それは……正面突破?」


「セイガ……それ、本気で言ってるんだよね……絶対」


「清雅の事だからねぇ……絶対本気で言ってるから。まぁ、このメンバーならたぶん余裕で正面突破できるだろうけどね」


 清雅の強引な案に、バカじゃないのかと言わんがばかりの視線でフィアが、ヤレヤレといった表情で優奈が反応する。


「ブーブー。そんな事を言うなら他に何か案があるっていうのかよ~」


「ん~……そうね、どっかの家を燃やしたらほとんどの人間はそっちに行くんじゃない?」


「あぶねぇなおい!正直俺の案の方がいくらかマシだよ!」


「え~、じゃあ牢屋を崩しちゃうとか?」


「最初の前提をぶち壊す気か!?それだと中にいる助けないといけない奴まで最悪土の下だろうが!」


 ていうか、と清雅は一度区切り、


「お前まともに考える気ないだろ!」


と、全力で突っ込む。


「まぁね。だってそこに行くのは少数が良いでしょ?」


「なぁ、それってつまりさ、別名私は行かないわよ宣言ってことで良いのか?」


「間違ってないからそれでいいや。じゃあ頑張ってね」


 サラリとフィアに見捨てられる清雅。清雅はそれにより心に大ダメージを受けるが、どうにか堪える。


「えっと……誰か俺に付き合ってくれる奴はいないのか?」


 清雅が半泣きで他の仲間に問うと、


「パス」


「面白そうだから放置」


「ルーリスの世話してるから無理」


と、全員に断られる。


「……これが……現実なのか……」


 清雅が仲間の冷たい言葉に打ちひしがれていると、


「別にセイガ一人でもどうにかできる程度の問題じゃない」


と、フィアが言う。清雅はため息を吐くと、


「まぁそうだけど……なんか一人って寂しくないか?」


「何言ってるのよ。そこの依頼人はどう考えても行く気満々じゃない」


 清雅は言われて依頼人であるシャルスの方を向く。すると、そこには確かにやる気に満ち溢れているシャルスがいた。


「……あぁ、つまりお前らは二人で行って来いって言ってるんだな?」


「そういう事。分かったなら二人で頑張りなさい。それと、先に言っておくけど、これ以上仲間を増やしても私は問題ないわよ。まぁ、増えなければそれに越したことはないけどね」


「良いのか?お前が構わないなら良いんだけども」


「だから良いって言ってるでしょ。ほら、早くその子の依頼を済ませてきちゃいなさい。その間私達はのんびりここにいるから」


「分かった。じゃあ、頑張って依頼を達成してくるさ」


 清雅が笑ってそう言うと、


「ん。精一杯やって来なさいよ。私はここで待ってるから」


と言い、フィアは微笑んで送り出し、その後ろをシャルスがスタスタと歩いてついて行くのだった。




「フィア、本当によかったの?」


 清雅達が行ってしまった後、優奈がふと問う。フィアは清雅が出て行った扉をぼんやりと見ながら、


「別に、私じゃ力不足だっただけよ。だって、村人に気付かれない様に行くとかそんな繊細な事出来ないし」


と呟き、視線を自分の手元に移動させる。その姿を見て優奈はふふっ、と笑い、


「そんなこと言っても、行きたいんでしょ?」


と聞く。


「確かに行きたいけど、さっきも言った通り今の私には気付かれない様に行くのは無理だし、今から行くのは論外よ」


「どうして?」


 フィアの返答の一部を疑問に思った優奈が聞き返すと、フィアは柔らかい笑みを浮かべ、


「だって、私はここで待ってるって約束したもの」


と言うのだった。

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