第四十八話
結局あの後もワイワイ話しながら村へと入っていった。ちなみに、村に入る時ルーネは尻尾を服の中に隠し、耳は伏せることで髪の毛に見せていた。
「さてと、宿を探すんだっけ?」
清雅が確認するようにフィアに聞く。
「そうよ。出来るだけ早く見つけてのんびりと村の中を見てまわろ?」
フィアは清雅の質問に笑顔で答え、宿屋が無いかとキョロキョロと周りを見ながら歩く。
「宿屋ねぇ……なんか、この世界に来てから宿屋でほぼ確実にイベントが発生してる気がするんだが……気のせいだよな?」
ぼそりと清雅が呟くと、
「そういえば確かにセイガと会ってからここまで宿屋に入って何か起きなかったことってないわね」
「だよな。最初に言った村で優奈に会って、その次の村ではライラ。その後一度も宿屋に行ってないから何とも言えないが、なんか、この村でも宿屋で何か起こる気がする」
「やめてよ。清雅がそれを言うとシャレにならない気がするから」
フィアと清雅のやり取りを後ろから眺めていた優奈が突っ込む。
「そう言われても事実なんだし、何ともいえない気分なんだよな」
「っていうか、城を崩されてから初めて入った宿屋ってセイガと会った後なのよね」
「え?って事はお前一か月近く野宿だったのか?」
「あんた達の昔話は興味ないから。それに、そんな昔の話での無いでしょ?大体一週間半くらい前の事じゃない。そんな事よりも宿屋を探しなさいよ」
不意に話が逸れてく二人に優奈は突っ込み、話を元に戻す。
「あはは。優奈ちゃんって苦労しそうな性格してるね。あの二人をまともに相手するのは何となくだけどびっくりするくらい疲れると思うよ?」
「そんなの知ってるわよ。正直一番疲れるのがいなくなったからこれでも楽になった方よ?」
「まぁ確かにそうよね。清花さんがいるのといないのじゃ負担は雲泥の差だからねぇ。全く。あの人はいつになっても問題児やってるんだから振り回されるこっちの身になれっていうのよ」
「ら、ライラもライラで苦労してるんだね……お互い気楽にいきましょ」
ライラと優奈は苦笑いをしながらお互い顔を見合わせる。と、
「ん、宿屋ってあれで間違ってないよな」
清雅が指さす先には確かに宿屋だった。ただ、あまり人の気配がなく少し不気味でもあった。しかし、よくよく辺りを見てみると、村全体に人の気配があまりない。
「……この村……人がそんなにいない様に感じるな」
「確かにそう見えるけど、家の中に籠ってるとかそんな感じじゃないの?」
「う~ん……なんかそんな感じじゃない気がするんだよなぁ……」
「まぁまぁ、とりあえず宿屋の中に入ろうよ。部屋を取ってからでも話は遅くないでしょ」
清雅が悶々と考え始めるが、その思考を遮るようにライラが清雅達を進ませる。
ギイィ…と音を立てて清雅が宿屋の扉が開く。清雅が宿屋の中を見ると、先ほど感じた通り人がほとんどいなかった。というより、宿屋の主人であろう男と、ルーリスと同じくらいの見た目の少女が一人店の隅の方にあるイスに座っている程度だった。
「思ったより人が少ないんだが……まぁ良いか」
「私が部屋を取ってくるからそこらへんで待ってて」
「ん、おう。分かった」
後ろからライラがやってきて清雅達にそう言って宿屋の主人がいる所へと行ってしまう。
「その辺でって言われても……まぁ、テーブルがあるから良いけどさ」
清雅はそう呟きながら近くにあったイスに座り、フィア達もそれに続いてイスに座る。すると、
「あの……少し良いですか?」
と声をかけられる。清雅が、ん?と思い声のした方へを顔を向けると、そこには先ほどまで店の端にいたはずの少女がいた。
「どうした?何か用があるのか?」
「は、はい。そうなんですけれども……」
少女は少しおどおどとしながらそう言う。清雅が頭に?マークを浮かべながら言葉の続きを待っていると、
「一応部屋取って来たわよ~っと、ありゃりゃ?これはもう少し会話を長引かせるべきだった?」
異様な早さで部屋の鍵を手に入れたライラがやってきた。
「おおぅ、早すぎんだろ。想像以上だよ全く。まぁいいや。ライラもそこら辺の椅子に座って話を聞いたら?」
「え、あぁ、うん。そうなんだけど……まぁ、その子の話を聞いてからでも別にいいや」
清雅に促されてライラは近くにあったイスに座ると、少女の方を向く。
「っと、ごめんな。話を遮っちまって。で?用ってなんだ?」
清雅は改めて少女にそう問う。少女は数秒悩んだ後、
「えっと、そのですね……」
もごもごと言った後、少女は意を決したような顔つきになり、
「私の命の恩人を助けるのを手伝って下さい!」
そう、言い放った。




