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第四十七話

 清雅達は清花と別れた後、獣人国のあるであろう方角に進んでいた。


「え~っと、今日でアトランタルを出てきて何日目だ?」


「五日目くらいじゃない?」


 不意に清雅が質問すると、優奈が答える。


「意外と日数が経過していた…!って、五日経ってあれが初の村?」


 今清雅達の前には村が見えており、清雅はそれを見ながらそう呟く。


「そうだね。あれが五日ぶりに見た民家だよ。っていうか、基本村と村の間を徒歩で行くならこれくらいするでしょ?」


「そんなもんか?まぁ、お前らがそう言うならそうなんだろうけどさ」


 はぁ、とため息をつきつつ五日ぶりに見る人工物になぜかホッとする清雅。


「とりあえず、今日はあそこに泊まるってことで良いんだな?」


「まぁ、未だに太陽は高い所にあるけどそれでいいんじゃない?」


「意義なーし」


「同じく~」


 清雅の疑問にライラが答えると、フィアと優奈が同意する。ルーリスは最初から聞いておらず、気まぐれで出てきていたルーネの上にシャクナと一緒に乗って楽しそうにしていた。


「じゃあ、泊まるって事で決まりだな」


 清雅はそう言うと、ルーリスをひょいっと持ち上げる。そして、ルーネに影の中に入るように言い、ルーリスを地面に降ろす。


「むぅ。ルーネさんが入っちゃった……」


「しょうがないだろ。そうした方が良いんだからさ」


 ルーリスが少し残念そうにそう呟き、清雅がそれに対して言い返すと、


「……ねぇセイガ?確かルーネって人化できなかったっけ?」


と、フィアが聞いてくる。清雅はそれを聞くと数瞬固まり、


「そう言えば出来たな……」


と気付く。


「じゃあルーネに人化してもらえば別に影の外に居ても良いんじゃない?」


「良いのか?やめろって言ったのはフィアだろ?」


「それは人化出来るのを知らなかったからに決まってるでしょうが。知ってたら言わないわよ。……たぶん」


「最後の部分が異様に引っかかるんだが?」


「気にしない気にしない。したら叩くわよ」


「それは何か理不尽だろうが」


「そんなの知らないわよ。ほら、さっさとしなさい。ルーリスが待ってるわよ」


 言われて清雅がルーリスを見ると、ルーリスは目をキラキラさせて今か今かと千切れそうなくらい速く尻尾を振って待っていた。


「はぁ、ルーネ。もう一回出てきてくれ。人間の姿の方で」


 清雅がしょうがないなと言った表情でそう言うと、清雅の影からルーネが飛び出してくる。前に一度見た、ケモ耳ケモ尻尾の生えた白いワンピース姿で。


「全く、この姿はちょっと疲れるんだよ?主に清雅から魔力を奪う所が」


「え!?俺お前がその姿になる度に魔力とられてるの!?初耳なんだけども!?」


「騒がないの。ほら、行くんでしょ?あの村に」


 とんでもないことをサラリと言ったルーネは、驚いている清雅にヤレヤレという態度をして、飛びついてきたルーリスを持ち上げながらそう言う。


「セイガ君。やっぱり君、面白い事してくれるよね。普通人化する魔獣なんて使役してないって。やっぱり――――いや、なんでもないや」


「なんだよそれ。っていうか、そんなに珍しいもんなのか?人化する魔獣って」


「いやいや。人化する魔獣が珍しいんじゃなくて、それを使役していることが珍しいんだよ。正直獣人のほとんど近くは獣化できるんだし」


「なるほどな。意志のあるやつらを使役するのは難しいよな。まぁ、その場合使役っていうより雇うって方が正しい気がするけども」


「う~ん、雇う…っていうのかな……あれは皆自分の意志でついて行ってたしなぁ……」


 清雅は何か変なスイッチを押したようで、ライラは一人悶々と悩み始めた。


「まぁ、ライラが何で悩み始めたかは置いといて、とりあえず村に着いたら宿屋探そうぜ?正直もうライラの宿屋みたいなのが無い事を祈る」


「ちょっと待ってそれはどういう意味?」


 清雅の言葉に思わずライラは無意識に清雅にアイアンクローをかける。


「あががが!!あ、頭が!頭がッッ!!わ、割れるッッ!!割れるってばッッッッ!!!」


 自身の頭からミシミシと音がなり、それによるダメージで清雅はライラの腕を力なくペチペチと叩く。もちろんそんな攻撃が効くわけもなく、じわじわとライラの手に力が入っていき、痛みも増加していく。


と、ライラが清雅の事を締め上げていたら、ライラの事を優奈が横から指でつつき、


「その辺でやめといてあげたら?それでホントに頭が割れたらそれはそれで面白そうだけど、さすがにルーリスの教育上悪いって」


「むぅ。まぁ、それはそうだけども……はぁ、しょうがない今日はここまでにしておくよ」


 そういってライラは清雅の頭から手を離す。すると、手を離されあまりの痛みに清雅はうずくまったと同時に、


「なんで今の言葉だけ反応したんだよ……この前はサラリと流してたくせに」


「セイガ?なんか言った?ねぇ、なんて言った?」


 ぼそりと呟いた言葉に満面の笑みでライラが聞く。


「イ、イエ!?ナンデモゴザイマセヌデスヨ!?」


 清雅は顔を真っ青にしてそう言う。


「ライラ、その辺にしておいてって。っていうか、セイガの言うとおりなんで今回に限ってそんなに怒ってるの?」


 先ほどまで話に参加せずにルーリスと遊んでいたルーネが清雅をかばうように話しかけ、ついでに怒ってる理由を聞いてみる。


「え?そりゃ、なんか宿屋として馬鹿にされたっていうよりも、ただ単にストレスが溜まってたから?最近モンスターとかにも全く遭遇しないしさ。だからこの中で一番頑丈なうえに心がそんなに痛まないセイガに八つ当たりしてるってわけ」


「理不尽だよね!?俺ほとんど悪くないじゃん!!」


「いや、悪いには悪いと思うけど?」


 清雅の半泣きの反論はフィアの手によってバッサリと切られる。そもそも清雅が変なことを口走らなかったらこんなことにはならなかったのだから当然だろう。


「っていうか、何時まで村を目前にしてグダグダしてるのよ。さっさと行こうよ」


 半分呆れを含んだような表情をしてフィアは全員に言う。それを聞いて清雅達は顔を見合わせると、それもそうか。といった感じで歩き出すのだった。

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